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悪役・追放?令嬢 短編集など  作者: 平泉彼方
5/8

ウホッ系な令嬢

 読者の皆様どうもこんばんは。


 さて、今回少しだけベーコンレタスを臭わせる描写があります……本当に軽くなのですが。絶対駄目な人は逃走して下さい。後、行の調整は後日行います。申し訳ないです。


 それでは本編をどぞ!



 生まれ変わって直ぐに気付いた事は色々人生詰んでいるという事実だった……

 何度振り返っても記憶の中の自分の行動が破滅√へと一直線に突き進んでいるのが分かる…色々思う所はあるが、ある意味私だけのせいとも言えないので何とも微妙な気分だ。

 全ては電波の見え透いた罠嵌まった間抜けで根性無しな“今まで”の私が駄目だった。

 幸いまだ婚約者の第一王子から嫌われていなかった様子だが、それも時間の問題…いつ捨てられ断罪され貶められるか分からない。最悪のケース(=ヒロインのハッピーエンド)だと、私は“戦闘”奴隷として戦場で肉壁となって文字通り散る事になっている。

 ……一応断っておくが、この物語は18禁であった。それもグロ注意・残酷描写有りの方向に18禁。エロや桃色は一切とまではいかないものの少ない、微糖気味の戦闘メインあった。

 だからこそ油断出来ない…いつ私が戦場や紛争地帯へ追いやられるか。それとも未来、私の現状を愁えた今世の父親が反乱を起こした事を発端に戦乱の世、通称『血塗れエンド』になる事だってあり得る。


 それを望まないならば、今日から変わるか…


 さて、一応こんな自体となってしまったが自己紹介をしておこう。

 今世の私の名前は『フィリア・ルージュ・リリー・オブ・コリンズ』、某ライトノベルの悪役兼ライバル令嬢。そしてこの国の筆頭公爵家の長女である。


 そして私はこんな諢名でも呼ばれていた……『ゴリラ。』と


 何故これ程までに令嬢として不名誉な渾名が付けられていたか……それは偏に小説内の彼女の行動と姿形へ起因する。

 身長が高く、顔も何方かと言えば男勝り。

 王子とヒロインの妨害をする際も腕力や脚力等と物理的な力を駆使して卑怯な真似をせず正面から立ち向かって行った印象を受ける…けど、その堂々とした方法がどうもゴリラ臭かった。いや、言ってしまえばゴリラそのものだったのかも知れない…

 例えば王宮や屋敷の庭に植えてある木の上から王子とヒロインの逢い引きを邪魔しようと窓へ特攻を仕掛けて行ったり、木からジャンプして王子の横へヒロインを退けに行ったり…木の枝を器用に移動しながらリンゴを丸かじりしたり握力のみで握り潰すシーンまで有った。

 断罪の時も、何故か…何故か彼女は上半身の衣服を破り捨てて晒し1枚の胸を晒し勝負だとヒロインへ言うなり取っ組み合いをしていた。


 それらの光景に、ネット上では『ゴリラ。』と言われてしまった。


 実際行動や頭の中身がある種ゴリラなのだが……顔と身体はちゃんとホモサピで尚且つ女性、それも令嬢である。ただ1つ思うのは少しだけ逞しいと言うか著しいと言うか…それも令嬢にしてみればって一言が付け加えられるべきだろう。

 そして身長が高くて木上移動出来る程の身体能力と更に遠くから王子とヒロインの逢い引きを見れる程の目。


 そう、身体機能が著しい……それを全くと言っていい程活かせない状況に身を置いている事自体が色々敗北した原因だと私は乙女ゲーをしながら考えたものだ。

 もし彼女がこうであったら…そう言ったに二次作品も数多に存在した。

 事実、彼女の陰険さの微塵の感じられない行動や言葉に多くのファンが出現して彼女のエンディングを愁えた人も多い事多い事……ネット上で公式ブログが一度炎上して収拾着かなくなった程である。

 かく言う私も彼女の幸せを願った1人。何と言うかな…アホの子程可愛いと言うか、王子マジ死ねと言うべきか。ま、まあ1つ確実なのは私も情熱を滾らせて筆者と編集者へ抗議した一ファンであったって事だ。

 だからこそ、こうして私は記憶が目醒めた日にある決断をした。




◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆




 その日、またもや王宮は騒然とした。



ドゴンッ!!


ギャーギャーワーワー!


マタデタカー!


ドロボー!


ツカマエロー!


ソッチニイッタゾー!



 丁度2年前、第一王子のバカ可愛……ゲフン、愛しんでいた婚約者がいきなり蒸発した。最近しょうもない事件で第一王子も生気が戻り、王位継承権が他の兄弟へ移らず周囲の勢力はある意味ほっとしていた。

 だが問題はあった…それは最近起こった事件である。

 ここ数日第一王子に同じく2年前から張り付いている電…自称ヒロイ…ゲフン。失礼、頭の少し沸いた男爵令嬢とその従者が王子のパ…下着盗難疑惑が掛けられている事だろう。

 発端は、第一王子が何やら目線を感じて休めないと言った事件だ。曰く、自分の貞操を狙う目であると……そして自分はノンケだし心に決めた女性が居ると。

 護衛を強化し、万全を尽したと思った所へパン…下着紛失事件であった。


 これはもう、オチオチ正気をとばしている場合ではない。


 王子は、それはもう必死であった……最近寝静まった時間にも舞踏会等で感じる令嬢の妙な視線と怪しいねっとりした視線(♂)を感じる。毎回悪寒と妙に下の穴がむずむずした感触になるのだった。

 朝起きると寝汗びっしょりでベッドシーツも濡れている有様である…こうなって来ると体調を崩す未来しかもう見えて来ない。


 ホント、誰が助けて……


 そんな彼の心と身体の悲鳴に応える様に、最近騎士団隊員の中で頭角を現す凄腕の人物が1人出て来た。それもその人物、噂に寄ると“女性”で有る事を偽っているとか。

 元は傭兵だったのだが余りにその剣術が美しく戦う姿以外も凛々しい、それこそ傭兵ギルドでは『戦姫』と言う2つ名が着けられていた位だった。

 現在嫉妬した隊員は彼女?彼?を『ゴリラ』と称している。

 だが強ち間違いではなく、森林等の木のある場所では無敵。それも気配を遮断して背後から狙う様な騎士の嫌う“暗殺スタイル”で敵を〆るのだそうだ。

 だがそれは木の無い所でも最近活かす様になったと…

 切っ掛けは彼女の回された貴族の特に忌み嫌って避ける『特殊任務部』と呼ばれる部署であり、主に諜報や潜入を行う部署である。そして戦い方は正に『卑怯千万』。

 目つぶし喉潰し金的、それ以外にも逃走する時撒き菱を撒いたり、落とし穴を仕掛けたりする等。それは正に騎士の嫌う典型的な姿であった。

 彼女がその部署に配属されて直ぐ、更に彼女の戦闘能力は飛躍したと言う。


 今では、彼女の行けない潜入先は無いと言う。


 色仕掛け等の女性ならではと言うべき方法は一切取れないが、その身体能力と頭脳によって見事な戦果を上げていた。

 任務成功率上昇でその部署を蔑んでいた人々も、嫌味を吐く事も出来なくなった…単純に色々後ろ暗い事まで知られているため富もう言うが。


 王子はその話しを聞くなり仕事をさっさと済ませて、件の人物を呼ぶ事にした。




◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆




「え?それマジですか…」


「マジらしい……だからすまん、この通りだ!!」



 見事に禿散らかした頭を下げて来るのは、特殊部隊、別名“諜報部”のコッパー・ハルゲレテルーニ。代々髪の薄さに悩まされている事が玉に瑕の敏腕な諜報隊長である。

 そして私にとっては最早育ての親と言っても差し支えない…何せ、傭兵としてギリギリ生活していた時に声をかけてくれた人だから。


 “君、国に仕えてみない?”って。


 最初こそ戸惑った。けど、戦い方も真っ正面堂々としたものより私に合った暗殺者スタイルを紹介してくれたり、実際の闇ギルド出身のジャック・グリムドットさんを講師として招いてくれたりと、本当に親身になってくれた。

 それに私は王子から逃げたけど、決して彼が嫌いだった訳ではなくて……結局今世に生まれてからの記憶や人格はそのままである訳で、好意だって持っていた。出来れば側でずっと見守っていたい程。

 事情は話していないけどコッパーさんにだけは話した。


“遠くからでいいから一目見守れればいい…だから護衛等で王子の側に配属しないで欲しい”


 私の気持ちがこれ以上大きくなってしまえば彼に迷惑が掛かる。私は仕事に私情を一切混ぜたく無い。公私混同で判断を鈍らせていざ大事な人達が死ぬ姿を見るのが嫌だ。

 そんな心を込めて言った言葉は見事届いた様で、本当に王子が関与しない仕事を旋回してくれた。

 けれど、恐らく今回そうも言っていられなくなったのだろう……噂は聞いていたけど本当だったって事か。


 第一王子のケツが狙われている♂って


 ねっとりした視線を常に感じており、舞踏会でもじっとり視線を投げかけて来る男性がいるそうで…いつの間にか消えているんだとか。

 その上2年前からストーカーな電波令嬢に追っかけられているとか……何でもこの間起こったばかりの事件への関与を疑われているらしい。

 最近警備強化したばかりなのに使用済みのパンツが盗まれて大混乱が起こったとか…被害者本人は夜、怖くて眠れないそうだ。


 このままだと国務に支障が出るので助けて欲しい…



「……仕様がないですよ、本当。頭上げて下さい。」


「すまんな……」



 そしてその話しが最近任務を全て成功させた我ら諜報部隊へとたらい回しされて来たと……押し付けられたとも言う。まあたしかに“真っ当”な方法ではそう言う犯行捉えるのは無理難題だろう。

 真っ当であればね。



「御受け致します、早速護衛対象へ顔見せしましょう。」



 ………いつかばれる事は分かっていたし、今更だ。それに国外追放されても生きて行く地盤は出来たし、傭兵として異国の土地で暗器片手に生きればいいさ。



 そうして向かった執務室……



「本日護衛を務めさせて頂きます特殊部隊所属、『フィニアス・コーネル』です。精一杯勤めさせて頂きます。どうぞ宜しく御願いします。」



 初対面の忠義を誓う臣下の礼をする私……もう一度言うが、令嬢の礼ではなく臣下の、男性の礼をした。

 王子は唖然としてこんな表情を浮かべていた↓


(゜Д゜)


 間抜けで笑えたが、そっと腹筋でそれをやり過ごす……あの完璧紳士面した王子がこんな表情浮かべるなんてマジ受けるんですけどw

 オサレに固まったままの王子を無視して、私とコッパーさんは私発案の彼曰く予想の斜め下を行く作戦を実行する事にした……それは“成り代わって王子の敵を見付けよう”作戦である。



「では殿下、この部屋から一歩も今日は出ない様に御願い致します……いいですね、では。」



 オサレ化した王子へ慇懃無礼にならない程度の礼をしてから私は部屋を出た。


 さて、状況開始。






 結果から言うと、半分成功半分失敗と言った所か……犯人現行犯逮捕は出来たんだが、護衛対象と接触させてしまったからね。

 まあ王子が悪いんだけど。

 だってさ、部屋を急に出て来たと思ったら王子に仮装して敢えて狙われている♂私へ向けて突進して来て抱き締めたんだよ?御陰様で逃走寸前の怪しい魔導具もった電波令嬢と変態従者がその瞬間鼻血ブッパして気絶してくれたから逮捕出来たんだけどさ。


 そして、身ばれしちゃいました…テヘ……



「こんの馬鹿娘が!!!どんだけ心配したと、心配したと…うわあああぁぁぁああああああ!!!!!!!!」



 飛んで来た子供離れ出来ていない今世のパパ上が号泣して顎をジョリジョリさせて来たり、背後でウフフと不気味な笑い漏らす母上が私と親父を拳で撃沈させたりとか。

 その様子見ながらオサレに固まっている王子と王様とか……その隣に居たコッパーさんの髪がサラサラ〜って消え去るとか。


 ホント収拾着かない感じのカオスが出来上がったんだけど、結局撃沈した私を王子がパパ上説教されている間に拾い上げていつの間にか寝室のベッドでアハンな事されていたりとか…うん、その後の親父が怖かったりした。



 でも取り敢えず言える事は、今も私王宮で働いています……今度は何故か王妃として。



 1発でね、出来てしまったみたいなんですよ…これが。しかも魔法で診断したところ男の子だって。

 第一王子…ルーファスがこれはもう結婚しか無いでしょ!とか言って来たけど、私一応1人で生きていけるだけの財産は稼いでいたりします。

 それ言ったら、今度は前から好きだったんだから今度は逃がさないために専用のポーション飲ませたんだと告白して逃げるなら監禁するとか……ホラーな顔して言われたから思わず頷いていた。

 うん、真面目にアレは怖かった…


 まさか病んじゃった何てね……


 その後、子供が生まれて間もなく再び子供を孕んだりとか脱獄した変態2人組(電波って実は腐だった…)が突撃して来て撃沈させたりとか中々刺激フルな生活送る訳だが、まあこんな人生も悪く無いかなって思えた。

 そして私の諢名が『ゴリラ王妃』なった件……


 出世出来たのか出来ていないのか微妙な気が…って、広めていたのが我が夫のルーファス?!これはOSHIOKI☆確定だな。



―――王宮では毎日何かしら騒動が合ったが、その時代の王妃と王は共に歴史上の評価は高い。特に王妃の結婚には多くの傭兵達が号泣した記録が有り、彼女がどれ程好かれていたのか窺える。傭兵経験を持つ彼女自らが兵の訓練を行った結果兵の質が上がり、隣国との戦争では犠牲者を数名に留めたと言われる。王は賢王と名が高く、特にその美麗な見た目を巧みに使って相手国の男性達を籠絡した等逸話に欠かない。

 ただ、1つだけ確かなのは彼らの肖像画を見て分かる様にとても幸せな家庭を築いた事だろう……非常に仲睦まじく子宝に恵まれ、何と32人産んだそうだ。




 王子は幼少期から活発だった少女を気に入っていたのですが、上手くそれを表現出来ない不器用な人でした。


 特にショタコンによって形成されたトラウマで人へ好意を示す事を怖がる傾向が有り、可哀想な人だったんです。原作ではヒロインがその愛らしさと包容力で彼を包み込むって設定ですが……そのフラグ、特に前半部分のトラウマを多少今作のゴリ令嬢が折りました。


 なので、寧ろトラウマから庇ってくれた令嬢の広い背中に憧れた王子。突然消えられてショックだったそうです。


 それでは次回いつになるか分かりませんが、どうぞ宜しく願い致します。

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