悪役令息×悪役令嬢
読者の皆様新作出来たんでお送り致します。行に関しては見にくいと思いますので後日訂正致します。
さて、今回は令嬢ならぬ令息視点からお送りしてみました。それでは本編をどぞ!
忘れもしない……アレは3歳の冬の事。
ヴェイナール公爵家の次女、ティアローザ・ルージュ・オブ・ヴェイナール3歳。母親譲りの銀紫色をしたウェーブのある髪に父親譲りの深緑色の猫目。第一印象は多分最悪。
彼女は女子に珍しく発達は私より遅く、しっかり者では無かった…少し意地悪で置いて行きたい妹タイプと言えば分かり易いだろうか。半泣き状態で後を追って来るのが最初こそ様子を見るのが楽しかったが段々苛立ちの方が強くなった。
そんな時期だったと思う…
ある時、彼女が背後から駆けて来て運悪く足を滑らした。
彼女が転んでぶつかった机には花瓶が乗っており、衝突した拍子に机ごと倒れてしまった……対角線状には私。当然逃げられない。
頭に衝撃を受けると意識がログアウトしたのは多分同時だったと思う。ただ、そんな事より衝撃的な事がこの時脳内で発生していた。
彼女が転んだ瞬間何故かデジャブを感じ、そして一気に懐かしい様に感じる初対面の筈の映像が流れたのだった……まるで“映画”の様に。
映像はある人物の幼少期から始まり、成長して事故で死ぬまでの生涯を全て映していた。情報量が多く、処理し切れていない感覚が兎に角強かった。
脳の回路が焼き切れそうになった時、私の意識は闇へと飲まれた…多分そのお陰で生存したのかも知れない。
そして、夢から覚めると私は『俺』の記憶を引き継いでいた。
始めから存在した私を呑み込む事無く『俺』の記憶は個別として在った…そうだな、図書館の本棚によく整理された自叙伝が各個人の項目ごとに置かれているイメージで分かるだろうか。
御陰様で精神的な成長は著しく、以前と比べて大人の会話や勉強の内容、それ以外にもマナーが何故必要か等常識を知る事が出来た。
私のそんな様子を親は心配そうに見守っていたが、特に何か態度に変化は無かった……ただ強いて言うなら前から私へ期待を寄せていた親父の期待度?まあ、そんなものがより強くなった感じはした。
結構うざったい事もあったが、それ以上に得るものは大きかった。
例えば早いうちから領地経営を一部任されるようになった事とかはかなり大きい……複式簿記の導入や数値で見る経営状態の報告等、高評価を得る事が出来たと言える。
それ以外にも前世が会計士だった事もあってそうした書類を読み解く事は得意だったので、不正を見付けたり法律スレスレの税金対策を領内で行ったり…やり過ぎた感はあった。
まあ後悔しなかったけど。
そんな風に親父曰く『天童』振りを披露していたせいなのか、王宮に目を付けられた…
何か急に私を王宮へ連れて来いと国王陛下直々に親父が言われて親父小躍り状態で家帰宅して私を強引に連れて行った……取引、上手く行きそうだったのに、チッ
へそを曲げた私は国王陛下の御前で結構失礼な事をした…かもしれない。確かに3歳の時私の心は押し潰されなかった者の、社会常識や道徳観は現代日本に生きた『俺』のものに大分毒されていた事は言うまでも無い。
貴族として多分異端で異質な価値観を有している事は理解していたし、注意していたんだが…と言うか、今まで親父以外の前でボロ出した事は無かったんだが。
だからまあ、色々やらかした……結果、何故か国王陛下に気に入られた件。
いや、マジで意味分かんないから…
そう思いつつ、王宮の狸親…ゲフン、国王陛下が割り振った執務室で業務をいつの間にか押し付けられている私……親父は私の行っていた領地経営を肩代わりしている。
私の前までの目標は経済的な豊かさを保持出来る領地でのんびり税金暮らしをする事だったのに…平穏何処行った……
王宮で書類整理をしていると、出るはでるは不正の数々…貴族ってこんなんばっかりで嫌になる。バレたら不味いのに何故不正をするし…仕事増やすなと怒り心頭カムチャッカ炎である。
ストレス発散でまたもや色々やらかした事は言うまでも無い。
途中、何か私へこの任を押しつ…ゲフン、任命した国王陛下や宰相殿がその豊かなお腹を抑えて顔真っ青になっていたけど知らん……自業自得、因果応報だ。
けど、雀の鼻クソ分位は割安でウチの領の胃薬売りまっせ〜纏めて買えば更に易くなるよ〜
敢えて宣伝したら例外約2名以外王宮の皆さんがこぞって買って行った…まいど。例外は部下から取り上げる式みたいです…パワハラだけどそんな法律ないし最高幹部(=国王、宰相)には逆らえないか。
そして…
悪い事やった貴族達を成敗していたら、いつの間にか暴れん坊税務官とか訳分からん芝居が市井で流行していた件。
何か主役、何処かで見た事が有るな〜若いな〜(大体10歳前後)とか思っていたらモデルが自分だと楽屋の皆さんに言われた…どうリアクションすれば良いか滅茶苦茶迷った。
何と言うか、劇で途中気障っぽい台詞とか言わされてウガーってなった事は言うまでも無い…完全無欠な黒歴史確定ですね、本当にありがとうございました。
御陰様で親父、国王、宰相の3大原因に大爆笑された。
当然報復はしましたとも……我が母、王妃様、宰相の奥さんにこそっとある“小遣い帳”をそれぞれ渡した。そしたら予想以上に3人とも良い笑顔をしていた。
ウフフフフフちょっと夫へ制…お話が必要かしら、だと。それぞれの背後に般若がドスを振り回す姿を幻視した……やっぱり女性、怖い。
翌日見たら前日の爆笑が一変して青通り越して灰になっていた。
うん……………将来嫁さん蔑ろで野郎の付き合いだからって如何わしい店行くのは止しておこう。決定事項。
深く、心のそう誓ったのだった。
それから暫くして、3歳の時『俺』のデータベースを復活させた少女に王宮で出会った。彼女は私の後を追わなくなると、今度は王子の後を追う様になっていた様だ。
一瞬前を走り去って行く背中を見ただけ。
別にいいやと私はそのまま背を向けて自分の執務室へと戻る…特にフラグを立てた覚えもないし、少し思う所は在っても忙しいし。
そんな風に思っていた時期が私にも有りました。
追いかけられていた第一王子がある時私の執務室へ逃げ込んできた。そしたら当然彼を追っていた来た彼女が入って来た………結果、雪崩現象が起こった。
私や私をサポートする人達を含め、全員埋もれた事は言うまでも無い。
更に最悪な事に、その日提出の重要書類が埋もれてしまった…重要な取引相手との関税引き下げに関する交渉で絶対に必要なものだったというのに。
王子、公爵家次女、そして何故か私は全員滅茶苦茶怒られた。
当然ヘソを曲げそうになった事は言うまでも無い……ヘソを曲げなかったのは偏に少女、ティアローザが自分に責任があると言って髪を切ろうとしたからである。
彼女がその行動に出るのは二度目…私の時はマジで髪を切ったとか。
貴族女性にとって幼くとも髪を切る事は割と御法度。本当は若い頃ある程度弱い髪に関しては切った方が髪の健康を保てるのだが、ここではそれ程科学が発展していないので仕方が無い。
代わりに魔法があるけど…書類も実際それで何とかなったし。
少し余談になるのだが、この世界の人々には元から宿った固有魔法と後天的に身につける属性魔法が存在する。そして普通固有魔法は1人につき一つなのに、私に宿っていた魔法は2つ…明らかに『俺』の影響だろう。
確信を持ってそれだけは言える……何せ、魔法名は【記録書庫】。
この世界で読んだり見たりした事のある書類が全て記録されるナニソレチートな魔法だったりする…効果は地味だが、地味に効力が強い。特に私の現状にはぴったりである。
御陰様でよく国王や宰相の紛失書類を一言一句文字まで正確に再現させられるが……ちくせう。
今回、徹夜でそれやりました……正直時心折れそうになった。
国王へ王子を二度と私の執務室へ入れないように制約作ってもらった上で、宰相(=ヴェイナール公爵)に娘押し付けられた…何でもじゃじゃ馬だから何とかしてだって。
自分でしろよ…とか最初思っていたけど彼女と接して1週間で見解が変わった。
完全に私や『俺』が好む女性に将来なる予定の少女だって気付いたので。
その理由は説明すると割と長くなるな……元は『俺』のデータと私の出生にまつわる話しになる。
いやね、『俺』は生涯独身だったんだけど一度だけ結婚出来そうだったんだよ……ただ、相手が直前に交通事故でお無くなりになったんだけど。
その相手さんが実は重度の乙女ゲーム好きで、まあ後は分かるな。
この世界ってその世界と結構一致するんですよね〜登場人物とか。
いや、かなり驚いた…というより納得の方が大きかったか。彼女を見て『俺』の記録が修復された理由ってそれだったんだなって。何せ彼女は悪役令嬢“だった”からね。
ちなみに俺は悪役令息で本当の親父は現国王で妾の子供だったから親父の家へ養子に出されたらしい。それ知って野望抱いて国家転覆を狙うらしい。
で、最後にヒロインの前で何か第一王子と試合…つか、死合してヒロインへの愛?哀?に目醒めて死ぬらしい。
うん……それ誰?
大体俺の髪は確かに国王陛下と似ているし(白金色)、事情も知っているけど(親父に火酒飲ませたら文字通り色々ゲロッた)。で、その上で国王陛下と王妃とも良好なお付き合いをさせて頂いてます。
そも、私の生みの母親って元貴族兼元娼婦(=スキャンダル、ではなく割と良く有る話し)。で、不治の病を患っていたから余命幾ばくも無くて国王に予め王位継承権を私に与えずどこか穏やかな家に養子に出して欲しいって希望されたとか。
いや、その話し聞いて私は恵まれていると思ったよ。
王族とか面倒だし“良く有る話し”でも立場にもの言わせて足引っ張る奴いるし。それにアレだ…今の親父と母親は最早私の家族だから。
けど、多分親父の遠縁の親戚だったんだろうとは思う…何せクロルフォード侯爵家は皆共通して碧と翠のオッドアイだから。
ちなみに生みの母親…確かヒルデガンドさん、は現王妃様と学生時代は親友?親衛隊長?(王妃様がファンクラブ作ったらしい…)だったみたいです。公爵家だったけど、実家の借金が原因で没落→身売りコースで娼婦になったとか。
絵画を見せてもらったけど、確かに滅茶苦茶美人だった……現国王も学生時代嫁にしようと色々していたみたいだけど実家がアレ過ぎて無理だったそうだ。本人は正面な人だったみたいだけどね。
で、先程の話しに戻る訳だが……私、国狙いませんから。
つか、今からでも良いから隠居したいです…隠居是非させて下さ「(バタン)この書類国王陛下が紅茶こぼしたそうだから複製宜しく。」………隠居(´;ω;`)
けど、これだけ部下を扱き使っていたら確かに深夜テンションで国家転覆狙ったりするかもしれないよね…私は『俺』の小市民さのお陰でそんな事考えないけど。
けどあれだ、未来の嫁に立てられるフラグはきっちり折らせてもらいますかね。
簡単な話し、私と婚約すれば万事解決。
「……という訳で末永く宜しくね。」
「…どう言う訳かは分かり兼ねますが、私こそ宜しく願いいたしましゅ!?」
照れたように頬を真っ赤に染めて、今年で12歳になるティアローザちゃんは舌を噛んで涙目になっていた……可愛い。○リコンでは無いが、彼女限定なら欲情しそう。
そんな風に油断していたらヴェイナール公爵から殺気が送られて来た。自重せねば…将来ぽっと出の訳分からんビッ●ヒロイン選んでティアローザ捨てる馬鹿王子にはやらんからな。
数日後に第一王子が何度か私の執務室の廊下へ突撃している姿を見かけたとか……大方結界で多分そこが私の居場所だと誤認しているのだろう。
王妃様直々にお仕置きされていた、ザマァ
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あれから数年後、私達は同輩として王立学園へと入学した。
ここでは身分差等関係なく学ぶ事が大事だとされている。だが同時に貴族子息にとっては社交場、豪商子息にとってやっぱり人脈とビジネス。そして平民身分は出世や玉の輿だろうか。
そこには身分差はやはり存在する。それぞれが自分の義務を果たし、筋を通す所は通している。
まあ当たり前の話しだが、平等社会は実現しない。
人にはそれぞれの領分?まあ厳密には能力があり、長所短所に合わせて職業とは選ぶものである…けどまあ、貴族社会はそれを許していない事も事実だけど。
でもだからと言って貴族だからさぼっている訳でもないし、能力が無ければ何れ淘汰される運命にある。
逆も然りで、平民身分から功績によって貴族になる場合もある。
結局はだから、その人の努力次第だと言う事だ。
スタート地点は違っても学び舎の設置等は義務であるので学習意欲さえあればちゃんと評価される。ある意味封建制というより限りなく民主制に近い所が有るのは言うまでも無い。
違いが一つ有るとすれば、投票権か?だけど革命で首がすげ変わった歴史もあるからそう言う意味では過激な投票権を彼らは有しているし……やっぱり一族経営で有る事以外はほぼ民主制に近い感じだな。
だからこそ、弁えない相手は大嫌いだ。
「……ティア、行こう」
「…ええ、ベリオ様。」
何故か廊下を行く度に絡んで来る電波の男爵令嬢……触れるな、見るな、近寄るな…何度も注意しているのに脳味噌空なんじゃない?
私のティアは幸い誤解何てしないから良いが、そんな事になった暁には…フフフフフ
「…相変わらず黒いな、ベリオット」
「仕様がないでしょ、こんな状況なんですから…それよりルナティア嬢の誤解はちゃんと解きましたか?このままだと振られますよ?」
「…今度……」
「僭越ながら殿下、ルナティア様相当お怒りでしたわよ?このまま隣国へ帰国した上で婚約解消も視野に入れているとか…」
そして王子は風になった……何てね。
誤解を解きに行って中々説得出来ず激情に任せて既成事実作ろうとして返り討ちにあったらしいけど知らん。だが取り敢えず私のティアを巻き込んだら半殺るのでと笑顔で言ったらブルっていた。
いつの間にか電波がいて冷徹ベリオタソ、ハア、ハアとか言ってキモかった……貴様、何時から居たからの無礼討ちしたいが、もう少し泳がせます。
どうもこのままこの国に居させたら駄目な予感がするんでね。
そして案の定、私の勘は当たった。
私以外の血筋だけ有利な連中がこぞって電波に靡いて行った。
…持っていて良かった第2の固有魔法【壁】。文字通り自分の希望した壁を生成する能力だが、当然ながら心の壁とかも作れます。御陰様で私と私のティアの心は無事保護されている。
一応言っておくが、現段階で私はチートです。と言うか、コレをチートと呼ばず何とするか…
精神・物理双方の『最強の盾』を常備している状態に加え、『俺』と【記録書庫】の2コンボで他魔法に関して始めから科学無双している状態。他事務処理能力と各種英才教育(物理含む)も合わさって色々酷い。
もう敵対者は泣いていいと思う…私自身若干自分のチート具合いに引いたから。
国家転覆?やろうと思えば別に1人で制圧出来ると思う…面倒だしやらないけど。あ、でもティアが求めれば話しは別。国一つくらいどうってことない。
まあ彼女はそんな事しないか。
では、そろそろ目の前の茶葉劇を終わらせるか。
「……よって、ルナティア嬢。其方との婚約は「ハイストップ、一旦止まって〜」」
話しを遮ると、顔紅くした王子がワナワナ震え出した……ああ、余計な事言われるの面倒だしそもそも私に色々劣っている癖に生意気だな。
だから少し殺気を送って当事者全員白眼開眼させた。
次いでに周囲も制圧。バタバタと会場には倒れる音が響いたが無視だ、無視…教師も見て見ぬ振りしたから同罪。終わるまで床で眠っていなさい。
そして次々王子と側近達を起こす為に服の下を殴った上で悪魔の囁きの刑を実行。
「いい加減起きて下さい、馬鹿王子…王妃様に㊙本の隠し場所密告しま「それだけは真面目に止めて!!?」はいお早う御座います。」
まあこの年代だと色々互いに欲求不満ですからそれくらいは使いますよね?私も婚約者に今手出ししたら宰相殿に殺されますから……この前も半殺しにされたし。
けど、やっぱりこの脅しは効くね…流石『俺』。
そして、次々晒されたく無いアレコレを耳元で囁けば主要人物達は次々目覚めた。
殴ったのは単なる八つ当たり……多分肋骨折れたけどスルー。
「さて、国王陛下から報告だけど……『愚か者共、全員追って罰を下す』だそうです。良かったね、一応廃嫡とか免れたみたいだよ〜まあ評価は下がったけど。」
唖然としてパタリと倒れる連中…同情の余地はあるけどやっぱり自業自得だな。あれ程しつこく私は忠告した分けだしな、精神系統の防護陣でも買っとけって。
自分の状況を正確に把握しているらしく、土下座して御免なさいを連呼しながら今までの自分を罰するかの如く床や壁へ向かって頭を打ち付ける馬鹿共…止めさせるのが至難の業でした。
で、全員理解して私の作っておいた精神防護魔法陣を額へ貼付けてから電波を起こした。
彼女は状況が分かっていなかったので分かるように説明…何てせず、無理矢理分からせた。
すると、何故か泣かれた……こんなの私の〇〇じゃないとか言われて。
そもそも私はティアのものであってお前のではない。
そう突っ込む前に逃げられ、慌てて衛兵共に捉えさせた事は言うまでも無い……そして判明するのは仮想敵国と彼女の実家が連携していた事。
精神汚染系の魔法陣を彼女が持ち出したのは今学期に入ってから…それは彼女の実家へ怪しい商人が出入りしていた時期と重なった。
直ぐさま出兵からの制圧→逮捕という流れになった。
電波から話しを聞いた所、『俺』の婚約者の好んだゲームの続編で私がどうも攻略対象になっているらしい。曰く、トゥルーエンドだったらしい。
そんで、ある時自宅で寝ていたら急にこの世界で目覚めたらしい。取り敢えずトゥルーエンドに辿り着けばゲームが終わって夢から覚めると勘違いしたとか…いや、普通気付くだろ。
いや、多分気付いたんだろうけど認めたく無かったんだろうな…いきなり16〜18位のガキが見ず知らずの場所にしかも身体が小さい状態で意識が戻ったら誰だって現実だって思いたく無い。
これは長い悪夢だ…そう思ったとか。
そして自分の名前と出生、そして学校に通う事になってこの世界がゲームと確信したとか。だから攻略者の好むタイプに台詞ごと演じた、と。
端から見たら完全にキチガイじみていて怖かったがな…
だが、ある時から自分でも操られている様なおかしな感覚に陥ったらしい……台詞を言わないと脳内でその台詞が無限ループしたらしい。
怖くなってその通り行動していたら、最近では意識が薄れて夢と現実の区別が付かなかったとか。
まあ話し終わって彼女も最初から悪意が在った訳ではなかったらしいので病院へ隔離する事になった……私は兎に角ティアに近づけないようにするのみだ。後は医者と神官に任せよう。
もしかしたら地球へ戻れるかも知れないしな。
その数年後、元電波からエクトプラズムが文字通り抜けて中から幼い子供の記憶と心が出て来たとか…地球に無事帰れただろうか?
事実は全て、神の味噌汁。
そうして大きくなった騒動も終わり、学園も恙無く過ごして卒業した。
直後、当然私は結婚しました。
初夜の後、夢の中で『俺』と彼自身の婚約者が現れて私達を祝福してくれた気がする…じゃあなって言いながら去っていた『俺』の後ろ姿だけは画像の様に記憶に残っている。
きっとここからは自力で歩めと叱咤してくれたのかも……勿論『俺』は糧にさせてもらうが。
まあこれからも彼女と一緒に頑張って生きて行きますかね。
結局追放はされなかった電波ちゃん……もしかしたら何処かの物語の彼女達もまた世界の被害者だったのかもしれないです。地球へ帰れたかどうかは本編では語りませんでしたが、この事件の数日後に地球のある病室で患者家族の歓喜した様な声が聞こえたとか聞こえなかったとか。
次回は何時になるか分かりませんが、どうぞよろしくお願い致します。