40話
話は、まだまだ続きます。
「まぁ、人魚の肉はなんと無くわかるげど、涙が真珠になるってのは、どこから来たんだろうね?僕には、そちらがの方が疑問かな」
「それでしてら人間との取引の対価として、真珠を貨幣の変わりに使っていまして、人間達が、『これ程大量の真珠を、どうやって手に入れたのか?』と聞かれた時に真珠は我々の涙から出来てると冗談で答えたのが、噂の元かと…」
それは……命がけの、冗談になりましね。
「じゃあ。人魚の涙は真珠にならないの?」
「はい。真珠は竜宮で養殖しており、簡単に大量に作れまして、人間は海産物より、真珠や珊瑚での取引の方が喜んで応じますし、真珠は取引にもっとも使っていました」
まぁ、真珠や珊瑚は宝石で高価ですからね~。
「じゃあ最後の噂の人魚の歌声が船を沈めるって言うのは?」
「我々には、空気や水を振動させる能力がございまして、その力を使う時は特殊な音が発生いたします。
人魚を捕まえる為の船や捕まった人魚を助ける為に、その能力を使いましたので、その音が歌声と間違えたもの思われます」
ほほう~。それが噂の真相ですか。
「処で、お嬢様。お話はこれくらいで、せっかくのお料理が冷めてしまいますよ」
そうでした。
話に夢中で、ちょうちん草料理の事すっかり忘れましたよ…。
「こちらは、ちょうちん草の葉のおひたし。こちらは、果実の身のお刺身、種の唐揚げ、皮の細切り炙り、根っこの酢の物でございます」
見た目は、どれもすご~く美味しいそうですね~。
でも、さっき薬草は苦いって言ってたし…。
と、とりあえず、お刺身から食べてみましょう。
パクッ。
こ、これは、舌触りは、ねっとり滑らかで、ほのかな甘味、まるで、極上の大とろ!!
続いて唐揚げ、塩味が絶妙でサクサクのころも、種は一口大きさで、噛むとコリコリして、この歯ごたえが癖になりますね!
おひたしは、葉に繊維や固さは無く、柔らかくて、出汁の風味と葉の独特の風味が、お口の中で広がって美味しい!
細長く切った皮の炙りは、香ばしくて、弾力のある歯ごたえがたまりませんねぇ!
根ッこの酢の物は、シャキシャキの歯ごたえ、爽やかな酸味と根っこのほのかな甘味が、絶妙です!
「どれも美味しい!!」
「お気に召して、よろしゅうございました。ちょうちん草は、一年中食べられますが、冷たい水で株が、引き締まった冬が、もっとも美味しいです。今度は是非、冬に召し上がってくださいね」
竜宮の名物になるのも納得ですね。
「今は、地上のみならず、天界や冥府からも、食糧を調達してるんだし、もう、この草は必要ないんじゃないかな?」
??、父様、ご飯も食べずに、ちょっと機嫌悪そうです。どうしたんですかね??
「そもそも、人魚狩りで地上から食糧調達が困難になった時に、一時的に食料として造った訳だし…。もうそんな問題は起こらないだろう」
へぇ~、ちょうちん草は非常食みたいな感じですか?
「主様。それは困ります。ちょうちん草は、今や竜宮を、代表する名産品で料理は、勿論、園芸の分野でも愛好家が沢山います。
因みに、ちょうちん草愛好会の会員は、すでに二千人を超えています」
(あ、愛好会が、あるんですか?!びっくりですねー!)
「えっ?!愛好会?なにそれ僕は聞いて無いんだけど……」
父様も驚いて焦ってますね?!
「主様の造られた、素晴らしい、ちょうちん草を、世に広めるべく、私とキシル殿とスー、キヌの4人で発足いたしました。
ちょうちん草は、食用の巨大な原種から、近年では、観賞用の小型な株まで、すでに様々な品種改良がなされており、竜宮は勿論。天界、冥府でも愛好家が沢山いらっしゃいます。
しかも5年に一度は竜宮で料理や園芸の品評会も開催し、天界、冥府からも沢山のお客様がこられ、大規模な祭典になっております」
わたくしが、今日キヌさんと収穫した巨大なちょうちん草は、原種てしたね。
大規模な祭典…。ちょうちん草の人気はすごいんですね。
「そんな大会があるのは知って居たけど。そこまで大規模だったなんて…。僕はアレを人目に晒したく無かったんだけど……そうだ!今からでもこの世から消そう!」
自分で造った、お化け植物を、沢山の人に見られるのが嫌なんですね!
父様にとっては、黒い歴史でしたか……そうですか。
ん?!
なんだか視線を、感じると回りを見れば、ジェノを、初め側に控えている人魚の皆さんが、わたくしに目で訴えてます。
『お嬢様。早くお父様を止めてください!ちょうちん草をお守り下さいと』
人魚の皆さんの視線が、とても痛い…。
ちょうちん草の運命が、わたくしに託されてしまいましたよー!




