12話
他の人は、色々と噂話をしていますね。
『まだ生きていたとは』
『人質として、なんの役にも立たなかった王子か』
『この間、国は滅んだ。あの王子もさっさと消しまえばいいのに』
『相変わらず、みすぼらし』
『まともに、会話も出来ないとは』
『最早、亡国の王子だ。生きていてもなんの意味もない』
『陛下も存在を忘れていたのでは』
耳をすまして噂話を聞くと、どうやら、あの子は、この間まで戦争をしていた国の王子様みたいです。
その国の、王族は皆処刑されたとの噂を聞きましたが、生きてる方がいたんですね。
この国は、従属した国や、和平を望む国から、人質を取っている。
まあ、人質だけで、必ずしも平和が保たれてる訳では、ありませんが…。
当然、祖国が、背いたら、人質の命は無い訳で……。
祖国にも、家族にも見捨てられ、この国でたった1人で生きているのだとしたら、とても可哀想です……。
あの子の贈り物のは、かわいい本物の子うさぎちゃんです。
白いフワフワの毛と赤目が、けんちゃんと同じで、親近感が湧きますね♡
「かわいい、うさぎたんあーと」
わたくしは、うさぎのかわいい姿に心を奪われ、何気に、お礼を言ってしまったので、周囲は、再びざわついてしまいました。
『まあ、姫様が、お礼を…』
『今まで、誰の贈り物にも、興味を示されなかったのに…』
『姫様に取り入って、国の再興でも狙っているのか…』
父様も、わたくしの、喜んでいる様子をみて、あの子に言葉をかけます。
「娘もとても喜んでいるよだ。ありがとう。えっと…?………。まあ、ともかく、僕からも礼言う」
あらら、父様も、あの子が誰かわかって無い??
あの子の存在忘れてました??
わたくし、余計な事を言ってしまったでしょうか??
ここで、目立ってしまって、あの子が、亡国の王子様だと、思いだされて、処刑とかされた大変です!
(父様、そのまま、ずっ~と忘れててね~)
わたくしは、心からそう、祈るのでした。
そうして、疲れた、わたくしは、お部屋に帰ることに…。
まあ、主役、無しでも、大人達は宴は、続けてますよ~。
(う~ん。疲れたました)
お部屋に戻って、やっとゆっくりできます。
「あ~。疲れた。来年は、もう少し考えて無いとな……」
一緒に、お部屋に戻った、父様もお疲れのようです。
うんうん。来年は、もう少し質素にお願いいたします。
父様は、部屋の机の上に置いてあった、箱を開け、わたくしの所に持って来ます。
「セリ、誕生日おめでとう」
箱の中には、綺麗な、花の形をした薄桃色珊瑚の髪飾りが、入ってます。
珊瑚の花には、小さな真珠がちりばめられ、とても素敵です♡
「ふぁぁ♡ちれー、とーたま、あーと」
「喜んでくれて、良かったよ」
そう言って父様は、頭を撫でてくれます。
まさか、父様も贈り物を用意していたとは…。
びっくりです!
それにしても綺麗な髪飾りです。
特に、この花は、とても素敵。何の花なんでしょうか?
「このおはな、なーに?」
「ん?髪飾りの花の事かな?」
「うん」
そう、髪飾りの花ですよ♡
「薔薇だよ」
「ばら、ちれーね♡」
「気に入ったのなら、庭に薔薇を沢山、植えてあげるよ。まあ、残念ながら、春にならないと花は、咲かないけどね」
「ほんと?」
「ああ。そのくらい、いくらでもきるよ」
ふぁぁ♡この素敵な、お花が沢山、咲くお庭、とても楽しみです♡
宴は、疲れただけでしたが、最後に、父様のお陰で、素敵な誕生日になったのです♡