ファンタジーロマン実食
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「ああ~~ヒヨ子がモフモフするんじゃぁ~~~」
『コケ……』
「……もふもふ……」
「じ、自分も! 自分もモフるっす!」
『コ、コケッ、コケェッ!』
お稽古が終わって、全員クタクタの状態になって動くのも億劫になってしまったので、先日ゴールデンコッコに進化したヒヨ子の身体に縋って癒されることに。
ダチョウくらいの大きさで、かつこの肌触りの良さと絶妙な弾力はただごとではない。こんな素晴らしいクッションがこの世にあったのか。
つられてアルマとレイナも身体をあずけて生羽毛布団を堪能している。重いのかヒヨ子がちょっと抗議の声を上げているが。
「あー最高。低反発クッションなんか目じゃないわー」
「柔らかくて、あったかい」
「最近はちょっと肌寒いっすからねー。組手やってるとすぐに暑くなってくるんすけど」
『コケッ! コケェェエッ!』
「そう言うなよ。たまにはスキンシップも大事だぞー。それにもう一回進化したらまた小さくなっちまうし、今のうちに堪能しておきたいんだよ」
「え、次の進化は大きくならないんすか?」
「ああ。次はプラチナムコッコっていう、白金色で普通のニワトリサイズの魔獣になるみたいだ。コイツの親がそうだったな」
≪『プラチナムコッコ』の他に『ラージコッコ』、『ナイト・ウコッケイ』等の進化条件も満たしている≫
え、なにそれは。どゆこと?
もしかして、取得してる称号とかスキルによって進化の選択肢が増えたりするの?
≪肯定。ちなみにラージコッコはさらにサイズが大きくなり筋力・防御力・生命力が大幅に上昇するが、素早さ・器用さ・知能が成長しづらい。ナイト・ウコッケイはメドゥコッコとほぼ同サイズで、プラチナムコッコに比べ素早さ・器用さが高く筋力・防御力が低い≫
……どっちも微妙だなー。特にラージコッコなんかデカくなっていい的になる未来しか見えん。
ナイト・ウコッケイも肝心要の筋力・防御力が低いのはちょっと……。元々素早さ特化の魔獣だし、プラチナムコッコが無難かな。
スキルや称号が増えればさらに進化先が増えるかもしれんが、今から獲得を目指すのは厳しいかな。
まあ、まだ伸びしろは充分あるし、気長に成長するのを待つとしよう。
『コキャァアッ!!』
……とりあえず、どの進化先を選んでもヒヨ子をクッション代わりにするのはほどほどにしてあげよう。
キレたヒヨ子に【気功・発徑】を使われて、全員仲良くぶっ飛ばされながらそんなことを思う今日このごろ。
今晩はアルマママにアルマが一撃かました記念にステーキを作ることに決定。
例の肉を食うタイミングに悩んでたけど、この際思い切って使ってしまおう。
厚切りにしたブロック肉のスジをとり、赤身と脂身の間に切り込みを入れておく。
フライパンを強火で熱して、マウンテンブルの牛脂をひいてからお肉投入。
焼いてる最中に、アイテム画面に入れておいた溶けた牛脂とバターのブレンドオイルを少しずつ肉にかけながら焼く。
これもちょっと反則技っぽいけど、もう使えるもんはなんでも使うようにしよう。便利だし。
ひっくり返して焼き色がついてたら塩コショウで味付けして、両面ともある程度焼けたら取り出す。
焼いた肉を2、3分休ませたら食べごろのステーキの出来上がりだ。
付け合わせにキャベツとロックオニオンの炒め物を添えて栄養バランスをとった気になっておく。
元々充分旨味の強い肉だけど、味変のためにソースも作っておこう。
ロックオニオンのすりおろしをベースに赤ワイン・ソイソ・砂糖・レモン汁・おろしガリク・水を少々加えてよく混ぜて完成。
主食はアロライスか白パンかそれぞれ自由に選んでもらうことに。
いつも俺の都合でお米ばっか押し付けるのも悪いし。みんな別に気にしてないみたいだけど。
「できたよー。運ぶの手伝ってー」
「はわわわわ、と、とんでもない厚さのステーキっす……!」
「……なんて、贅沢」
『ピィ……!』
豪快かつ豪勢な料理を前に、皆ちょっと戸惑い交じりのリアクションをしている。
ステーキってなんとなくお金持ちの食べ物ってイメージあるからね。……あるよね?
アルマの御両親はなんの肉か察しがついているのか、落ち着いた様子だ。
まあ、このお二人ならもしかしたら飽きるほど食べたことがあるのかもな。
「む、この香りは……もしやアレの肉かね?」
「ええ。一週間前くらいに斬り落とした、『ブラックドラゴンの尻尾肉』ですね」
「ドラゴンの、お肉……!?」
「え、あのめっちゃ怖い顔した黒竜さんの尻尾なんすかコレ!? ひえぇ……!!」
「……あれ? アルマはドラゴン食べたことないのか?」
「小さいころにお母さんにドラゴンのお肉を食べさせてもらったことがあるけど、それっきり。……跳び上がるほど美味しかったことは、今でもよく覚えてる」
「うふふ、あの時のアルマちゃんは今じゃ絶対見られないくらい、おいしいおいしいって嬉しそうにはしゃいでたわねー。懐かしいわぁ」
ふむ、幼少のころとはいえアルマがオーバーなリアクションをとるほどの美味しさなのか。
これは期待がもてそうだ、早く食べたいしさっさと合掌してしまおう。
「では、アルマによる初の一撃の祝いに、身を削ってその肉を提供してくれた黒竜に誠に遺憾ながら感謝を込めて、いただきます」
「「「「いただきます」」」」
『ピッ』
「……黒竜さんへの怒りが隠しきれてないっす……」
肉をくれたことには感謝している。
でもそれとこれとは話が別だ。いつかボコる。
ついに念願のドラゴン肉実食である。わーわーどんどんぱふぱふー。
お、弾力があるのにすんなりとナイフが入るな。硬く感じない程度に噛み応えがありそうだ。
では、パクリとして、モグモグ、と、咀、嚼………
~~~~~~~~っっ!!!
【速報】俺氏、悶絶。
無言のまま、思わず膝を掌で乱打する。
美味すぎて。
旨すぎて。
言葉で表せない代わりに身振り手振りで表現せざるを得ない。
以前食べたクリムゾンスケイルのが霞むほどの、圧倒的美味。
多分、一切味付けしなくても肉の旨味だけでご飯3杯は余裕だと思う。
噛んで肉の繊維がほどけるたびに赤身と脂の強い旨味が、野性味溢れるしかし決して獣臭くないパンチの風味が、パサつきなど微塵も感じさせない肉汁溢れるジューシーな食感が、容赦なく口の中を蹂躙していく。
予想以上、いや、想像もつかない味だった。
「……うますぎる」
「はぅ……!」
「じ、自分、もう今死んでも悔いはないっす……!」
『ピヒィッ………!』
「はっはっは! 私たちも初めてドラゴンを食べた時はそんな感じだったなぁ。なんだか懐かしいよ」
「ふふ、みんなとても幸せそうねぇ」
多分、どう調理しても絶対美味く仕上がると思う。
それでいて、ソースなんかをかけてもその味を殺すことなく調和して、より美味しくいただくことができる。懐の深い味わいだな。
……今だけは本当に黒竜に感謝しておこう。ごちそうさん。
いつか他の肉も食わせろお願いします。
「……満足」
「至福っすー……えへへへー……」
『ピー……』
「うーむあの黒竜の肉、高レベルのドラゴンなだけあって旨味が強くてジューシーだったな」
「あら、それだけじゃないわよ? 仕込みとか焼き加減や味付けもいい塩梅だったし、ソースも本当に合っていたわ。ごちそうさまでした、ヒカルさん」
おそまつさまでした。皆さん満足そうな顔でなにより。
……竜の肉、いつかまた食いたいなー。いや、絶対にいつの日かまた食ってやる。腹が破れそうになるくらい食いまくってやんよ。
「アルマちゃんの誕生日にも、是非ドラゴンのお肉を出したいわねー」
「……そのためにも、黒竜を倒せるくらい強くならないといけませんね」
「まだ、黒竜のこと怒ってる?」
「……ああ」
いい加減しつこいと思われるかもしれないが、アルマが死にかける原因をつくった黒竜とその飼い主はマジ許さん。
とりあえず黒竜は一通り肉を剥がす刑に、飼い主は腕を雑巾絞りしてやる。震えて眠れ。
「あー、ごめんな。せっかくのアルマが一撃入れたお祝いなのに、雰囲気悪くしちまって」
「……お母さんに攻撃を当てられたのは、私だけの力じゃない」
不意に、話しながらアルマが俺の手を握ってきた。
え、……え?
「お父さんに剣術を、お母さんに魔法を教わって、ヒカルから魔法剣や直接操作のやり方を教えてもらって、レイナやヒヨコに助けられて今の私がある。だから、ヒカルが強くなりたいのなら、私も力になってあげたい」
「お、おう?」
「だから、なにか助けてほしいことがあったら、遠慮なくいつでも言ってほしい。強くなるためにどうしたらいいのかって悩んでいるのなら、一緒に考える。黒竜を倒したいのなら、私も一緒に戦う。いつも言ってるけど、一人で抱え込まないで」
「う、うん……」
あー、俺がアルマパパに一撃入れられなくて落ち込んでたのを見かねて、励ましてくれたのか?
……まあ、確かに伸び悩んでいるところはあったが、ここまで真剣な眼差しで迫られるとはなー。俺本人よりも真面目に考えてないかこの子。
てか、いつまで手を握ってるつもりなんですかね。
嬉しいやらなんだか恥ずかしいやらで顔が熱くなってきたんですががががが……!
「あらあら、うふふ」
「おほんっ……!」
微笑ましいものを見る目でこちらを向くアルマママと、不機嫌そうにわざとらしく咳きこむアルマパパ。
こっち見んな。頼むからこっち見ないで。お願いします。
お読みいただきありがとうございます。
>そのうち蜘蛛型災害級魔獣アトラナートとか―――
他の上級精霊も軒並みその手のヤツばっかという恐怖。いあいあ。
アザ様はヤバい。宇宙すら現象にすぎないとかマジヤバい。
>一撃入れられた人は、アルマパパ以外じゃ―――
果たして修行中に一矢報いることはできるのか。どうしよーかなー。
ちなみにもう既にその手の自主練をしているようですが、いまだに拳法Lv5~6程度のようで。
>魔力パイルバンカーを大量に出した上で―――
魔力や生命力のように実体のない力は収納不可能です。
ただ、硬い物質で出来た杭なんかを収納してパイルに使うことはできそうですね。ご意見ありがとうございます。
あと主人公は生命力が残っていれば強化の負荷は無視できます。なんだこのオッサン。
>前回、アルマパパに一撃入れたと思ってたら―――
オッサン予備軍は割とデリケートなようで。
アルマがパイルを使えるようになったように、他のキャラも新技なんかの成果を出してみたいですねー。
>ヒエッ! 邪神様!? あばばばばSAN値が―――
なお、他の上級精霊も邪神まみれな模様。くとぅるーふたぐんー。
見ても発狂したりはしませんが、圧倒的な力を見て恐怖することはあるかも。
>………よかったぁ。―――
読者の皆様あってのこの小説ですゆえ。いつもありがとうございます。
修業するぞの元ネタは、……知らなくていいかと(;´Д`)
>ふんぐるいむぐるうなふくとぅぐあふぉ―――
SANチェック失敗してるコメがちょくちょくあって草。
不定の狂気か、一時的発狂か。
>小技案
魔力とか見えないなら腕とかだけ一回り大きくして距離感バグらせたり
まるでる〇剣の般若のような。いやあれは大きくなってるんじゃなくてただの目の錯覚ですが。
ご両親相手じゃなければ非常に有効でしょうねー。なおご両親は目に見えなくても余裕で対応可能な模様。もうやだこの夫婦。




