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準決勝 アイザワvsアルマ ②

新規の評価、ブックマーク、誤字報告、感想をいただきありがとうございます。

20件以上もの誤字報告、本当にありがとうございます。自分の不甲斐なさを痛感しておりますorz

お読みくださっている方々に感謝します。


今回始めはアランシアン・アイザワ視点です。




「は、ははっ……!」



思わず笑みがこぼれる。

なにが可笑しいのか、もう自分でもよく分かんねぇ。


急に強くなった、目の前のアルマに笑うしかねぇのか。

その女に防戦一方の立ち回りしかできない、不甲斐ない自分を嗤うしかねぇのか。

あるいは、こんな不利な状況なのに、楽しくて仕方ないからなのか。


これまで俺が勝てなかった相手は、師匠のジジイだけだった。

負けた相手は何人いるか、もう数まで覚えてねぇ。

だが、成人前に負けた相手でも、成人してから死に物狂いで鍛えて必ずリベンジして勝ってきた。


ジジイ以外の相手のリベンジが終わったころには、いつの間にか天才だの勇者の先祖返りだの言われるようになっていた。

才能や血筋なんてそいつの一部に過ぎねぇだろうに。まあ他人がなにを言おうとどうでもいいが。



だから、負けそうになっているこの感覚が、新鮮なような懐かしいような、なんとも言えない気分にさせてくれる。

全身に切り傷ができて、眩暈がして、血がどんどん無くなっていくのが実感できる。

アルマも左腕に傷を負ってはいるが、魔法で傷を凍らせて血を止めてやがる。

長期戦は無理だな。なんとか、短期戦で勝負を……



「ゲホッ……! はぁ、はぁ、はぁ………!!」


「……はっ!」



一旦、息を整えるために距離をとった俺に、アルマが魔刃・遠当てを放つ。

でけぇなオイ…!? 俺の遠当ての軽く倍はデカくて、しかも速い!


相殺は無理だ、回避をしねぇと。



!?



「うおおぉぉっ!?」



飛ばされた斬撃が、複数に分かれた!?

魔刃分閃? いや、違う! 魔刃分閃は斬撃を追加して攻撃範囲を広める技能だ。

こいつは、斬撃そのものの形が変わって、分かれてやがる!



「ちぃっ!」



分かれた分、威力も弱まってるはずだ。これなら相殺できる。

……いや、やっぱり回避だ!



「……惜しい」


「ぜぇ、ぜぇ、……容赦、ねえな……!」



遠当てと同時に、別方向から縮地を使って攻撃してきやがった。

一息つく暇もねぇ。判断を誤ったらそこで試合終了だ。



「容赦、してほしいの?」


「ははっ! そりゃわざと手加減して負けて、俺のモノになりたいってことかよ!?」


「嫌。全力で倒す」



それでいい。手ぇ抜かれて勝つなんざ、負けるよりもみっともねぇからな。

しっかし、随分とつれねぇなぁ。顔にはそこそこ自信があるつもりなんだが、アルマの好みじゃねぇのかねぇ。



……もうこっちは限界だ。失血のせいか、目が霞んで全身がだるくなってきた。

向こうは片手だってのに、本気を出した途端まるで歯が立たねぇ。


手加減していた、というより能力値そのものが上昇したかのように、あの細い身体からとんでもない力で剣を振り回してきやがる。オーガも真っ青だ。

しかもさっきの遠当てみてぇに、状況に合わせてスキル技能の形状や威力を自在に調整する始末。

多分どちらもマスタースキルの類だと思うが、汎用性が高すぎんだろ。なんで今まで使わなかったんだよ…。



って、やべぇ、ふらついてきた。次の攻防で、最後だろう。

……こんな無様な状態になるまで追いつめられるとはな。





「おぉおらぁっ!!」



縮地で一気に距離を詰めながら、伸魔刃と魔刃分閃でリーチと攻撃範囲を広げて攻撃。

これなら回避はできねぇ。剣を使って防御するしかないはずだ。


防いでいる間にさらに接近して、至近距離で拳法スキルの【魔貫手】で胴体をぶち抜く。今の状態じゃ、もうこれぐらいしか思いつかなかった。

だが、狙い通りに俺の攻撃を剣で受け止めて、右手が塞がった。まさかこんなに上手くいくとは思わなかった。

左手も俺が斬ったから使えないから、防ぐ手段はない。



読み通り、俺の魔貫手は確かにアルマの胸に命中した。


急所に防具を着けていないから、楽に貫ける、はずなのに



……なんで、貫手を当てた俺の指がへし折れてんだ?

まるで、アダマンタイトのインゴットにでも当てたかのような、とんでもない硬さ。

……胸になにか仕込んでたのか? いや、命中した瞬間だけ硬くなってて、今は普通にやわらか―――



「……天誅」



ゴスッ!! と鈍い音が聞こえるのと同時に局部に激痛が走り、あまりの衝撃に意識が薄れていくのが分かる。

……これも、人生初の体験だな。こんな体験、これっきりにしてもらいたいもん、だ…が……。





「あ、アランシアン選手、気絶! 戦闘続行不可能と判断します! 勝者は、アルマティナ選手!!」








~~~~~勇者視点~~~~~








「う、うわああ……」


「ね、ネオラ、大丈夫? 落ち着いて、アンタが蹴られたわけじゃないでしょう?」


「いや、あのね? あの痛みは他人が蹴られてるのを見てるだけでも痛みが共感できるくらいホントにつらいんだよ? なんか下痢気味の腹痛に似た痛みに強烈な絶望感が加わった鈍痛と激痛がないまぜになった感じでね?」


「分かった、分かったから!」



アランシアンとかいうクソガキがアルマに急所を蹴られたのを見て、オレ氏、つられて悶絶。

アイツ嫌いだけど、今だけは同情するわー……。くわばらくわばら。

狙ってやったのか事故なのか分からんけど、セクハラしたから自業自得だな。



それにしても、観客席からクソデカい声で激励されてから急に強くなったな。

さっき叫んでた人が、アルマたちのリーダーか? こっからじゃよく見えなかったけど。

いったい、どんなカラクリなのやら。実戦で見極めますかね。



……次の相手は、レイナミウレっていう金髪くノ一幼女か。

アルマと同様、あの子も強敵だな。

特にあの影の中に溶け込む技が厄介そうだが、対策は?


≪溶け込んでる影を光で照らせば強制的に実体化させられますね≫


ふーん、完全無敵ってわけじゃないのか。

他にも手裏剣や苦無、撒菱なんかを投げてから巨大化させたりしてたな。

……忍者ってあんなクソデカ投擲武器を使う職業なのか? もはやわけが分からぬ。


さーて、手加減して勝てる相手じゃなさそうだ。

切れる手札は全部出し切るくらいの気で臨んだほうがよさそうだな。



「頑張りなさいよ!」


「ネオラさん、どうかお気をつけて」


「ああ。じゃあ行ってくる」



惜しくも敗退した二人の分も、ぶつけるとするかね。

……無様な試合なんかしようもんなら、アイナさんにこってり絞られそうだし。ガクブル。



お読みいただきありがとうございます。



>あ、DBだ。(さすがにオーラ演出はない)――


シュインシュイン さすがに戦闘力50倍になったりはしません。


>今回のカジカワさんのイメージ。――


あっちは自分だけ念を使っているのを戒めるために怒ったのに対して、こっちは逆に使えるものは使えと言っているという。

汚いなさすがカジカワきたない。


>結局目立つことをするのねヒカルさんて…――


なお、叫んだ本人は言った後で恥ずかしさのあまり悶絶してる模様。そういうとこだぞ。


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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
メニューが魔力とか気力操作を見破りそうってあるけど、 このスキルがある状態って勝手に動かされるから、特級職とかでも相当ムズそうなんよなぁ 自転車で例えるとわかりやすいな。 カジカワみたいに、もう二輪自…
[一言] アイザワ君、言い逃れ出来ないレベルで規格外と親バカの逆鱗にソフトタッチしてるけど大丈夫か? それと、負けるのがアルマと師匠の爺さん以外にもあと二人程追加が決定したから頑張ってイキルンダ。
[一言] 股関蹴りはもう完全固有技になっとんなぁ… アプリゲームとかに出たら間違いなく搭載されるレベルで。
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