三十三話 ここは天国か?
本日もう一話更新します。
一日の疲れを癒すために俺達は浴室まで足を運んできた。
廊下を歩く最中も思ったが本当に豪華だ。
細かいところを見てもその1つ1つが最高級の素材を使われて出来ているらしい。
そしてそれは脱衣所も同じだ。
「こちらは王族専用の浴場となっております」
そう説明してくれるリシア。
俺達専用か。
「またすごい浴室だな」
「当然ですよ。王様なのですから」
何故かサーシャが胸を張っていた。
「そうですね。他の者達の入った水から感染症になるリスクなどもあるのでこれくらいはしておかねばなりません」
「そんなものなんだろうか?」
「はい。そんなものでございます」
そう会話しながらもテキパキと俺の服を脱がしていくルーナ達。
粗方脱ぎ終わったら腰にタオルを巻き付けて下着だけは自分で脱ぐ。
「先に入っているから脱いだら入ってきてくれ」
流石にみんなの着替えを見るつもりは無い。
そう思って1人で先に浴室に入った。
「ほんと広いな」
呟いてみるがそんな声もすぐに掻き消されるほどの広さだ。
こんなに広い風呂初めて見たな。
そんなことを思いながら広い湯船に向かった。
ふと思い出したがこの入浴というものは遠い昔遠い国から伝わった文化らしい。
伝えてくれた人には感謝しなくてはな。
「はぁ〜」
思わず声が出てくるほどの湯加減だった。
壁に背を預けて伸びをする。
「広いですー」
しばらく待っていたら体にタオルを巻き付けたサーシャが入ってきた。
「エース様ー」
そうして俺のところに駆け寄って来ようとしている。
「危ないから歩け?」
「この高鳴る胸の鼓動と早まる足は止まりませーん」
訳の分からないことを言いながら走ってくるサーシャ。
「きゃっ!」
そうして走ってきていたサーシャだが俺の入っている湯船まで近付いた時足を滑らせたらしい。
サーシャは見事なダイブを俺の横で決めようとしていたがその前に俺が動いて両手で抱き止めた。
こういう時に何の問題もなく動けるようになるほど目を鍛えておいて本当に良かったと思う。
「大丈夫か?」
「流石です!エース様ありがとうございます!」
「次からは気をつけろよ?」
「はい!」
俺の首に手を回してくるサーシャ。
「服を着ていないエース様も素敵ですね」
「それは俺のオシャレさが足りないということか?」
まぁ足りないのは理解している。
だがそう真正面から言われては悲しくなる。
「いえ、決してそういうことではありません!」
そういう意味で言ったのではないのだろうか。
サーシャが勢いよくブンブンと首を横に振る。
どうやらそういう意味ではないようだな。
「何も身にまとっていないエース様の魅力がすごいということですよ」
「世辞も上手くなったな」
「お、お世辞ではないですよ!本当に思ってるんですよ!」
「それなら嬉しいがな」
「って、何言わせるんですか?!」
顔を赤くして俺の首から手を離す彼女。
そうだな。そろそろ俺もサーシャを下ろすことにした。
「ブクブクー」
そうしてから俺の横で風呂に入り顔を半分水につけて息を吐き出してブクブクしているサーシャ。
「何してるんだ?それは?」
「あらはおひらしてるんれすー(頭をひやしてるんですー)」
何を言いたいのかはだいたい分かった。
「冷やしてるのは頭ではなく顔だろうしそもそも温い水に付ければよりあったまるだけだろう?」
「はっ………盲点でした」
ずーんと沈みそうになったサーシャを何とか抱き止める。
「おいおい、沈むぞ」
「危ないところでした」
一応正気を取り戻してくれたらしいサーシャは俺の横に座り直した。
「気持ちいいですねー」
「そうだな」
そんな会話をしていると浴室に繋がる扉が開いた。
「わー、ほんと目にしてわかるけど広いねー」
「私こんなに広いお風呂初めて見ました!」
ルーナもシエルもはしゃいではいるが、湯船に入る前に先に体を洗いに行ったようだ。
別に気にしないのだがな。
その中でもリシアだけはこちらに来た。
「お湯加減などはいかがでしょうか?」
「悪くない」
「良かったです。そういえばアゼデレア殿がこちらに来たいと言っておられますがどうしますか?」
「ん?」
「シュノーレのアゼデレア殿がこちらに来てエース王の盾になりたいと言っているようでして」
まさかの言葉に驚いた。
「ソレイユに来たいとそういうわけか?だがシドの護衛はどうするのだ」
「そうですね。シド王の護衛に関しては引き続きシルバ殿が行われるということでシド王も許可を出したそうです」
「護衛が1人で大丈夫なのだろうか」
幾ら俺のスキルがあるとは言え、シルバは俺に手を足も出せていなかったが1人で大丈夫なのか気になるところだ。
「ペルセウス殿もおられますし、それから御前試合の件は私も知っていますがエース王が強すぎるのですよ」
「俺が強すぎた?」
「そうですよ。少しは自重なさって下さいね?あれ以降シルバ殿は毎日これまで以上に過酷な修行に励んでいるそうなのでシド王も心配してるみたいなのです」
自重しろなどというのは初めて聞いたな。
そうか………俺に負けたことでこれまで以上に修行しているのか。
「ならば多少は自重した方がいいのかもしれないな」
「そうですよ。ペルセウス殿もシルバ殿もまだ向上心のある方ですけれど他の方ならば心をべきべきに折られていたかもしれませんよ」
頬を膨らませてそう指摘してくるリシア。
「ふむ。そうだな。俺としても心を折るつもりもないしこれからは手を抜くというよりはある程度は自重しようか」
「それが良いと思います。それと縁に両腕を出して広げてもらえますか?」
言われた通りに水の中から出して縁の上に両腕を広げた。
「こうか?」
「そうです。失礼しますね」
そう言って俺の傍にしゃがみ込んだリシアは俺の腕を揉みだした。
「気持ちいいな」
「そうですか?初めてのことなのですがお褒めの言葉嬉しく思います」
「初めてなのか?前王にはしなかったのか?」
「はい。前王はお母様の担当でしたので。私はこの日のために修行してきたのです」
なるほどな。
「私もします」
何故かサーシャは空いている方の腕を揉みだした。
「別にしなくてもいいぞ?」
「エース様はお疲れなのですから私が癒します。気にしなくても問題ないですよ」
別に気にしてはいないが本人がしたいならやらせておくか。
「あれ、皆で何してるの?」
その時体を洗い終えたルーナ達がやってきた。
髪の毛はしっとり濡れておりいつも以上に色っぽく見える。
「エース王私もそろそろ体の方を洗ってきますので、お2人は私の続きをお願いできますか?」
リシアは今来た2人にそうお願いして自分の体を洗いに行った。
「よく分からないけどエースのマッサージをすればいいの?」
「そうだな」
「が、頑張ります!」
シエルは何故か意気込んでいた。
しかし
「ルーナがリシアの続きをするとしてシエルは何処をするんだろうな」
「頭みたいです」
「そうか。ならよろしく頼む」
2人は一言断ってから俺の体に触り始めた。
2人とも程よい力で揉んでくれていて気持ちがいい。
特にシエルの力は元が弱いのかそんなに痛くなく程よい気持ちよさをその柔らかい指で与えてくれる。
だから少し目を閉じる。
ちょっとだけだ。
ちょっと………
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転生白魔道士ラストバトル補正が続いていて世界最強でモテモテな件
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