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三十二話 新たなる始まり

 祝賀会が終わり、シドを送り届けた後リシアに案内されて王城を歩き回っていた。

 そして最後に訪れたのが。今日初めに来た部屋。


「ここが王室です。前王のご意向により部屋の内装は変えておりますので、ご安心ください。エース王がこの部屋を初めて使うことになっておりますので」

「そこまでしてくれたのだな」


 せいぜいベッドのシーツを変えたりするくらいかと思ったが前王の使っていたものは全て処分し俺用に新しく置いてくれているらしい。

 まさかそこまでしてくれるとは思わなかったので正直驚いた。


「はい。王というのは勿論1番偉い人の事なのです。ということは1番いい対応を受けなくてはなりません」


 ふむ。そんなものなのだろうか。

 いい対応を受けて悪い気はしないしな。


「しかし、俺は王として国民にも豊かな生活を授けねばならない。なのでこれからは出来るだけ質素な生活を送りたいものだな」


 そう口にするとリシアが目を見開いた。

 どうかしたのだろうか。


「王が質素な生活だなんて素晴らしいことですね!」

「そうか?」

「そうですよ!歴代の王は王の権威を示すためにも一切されてきませんでしたから」


 そう言われると俺も前の人の真似をした方がいいのだろうかとも思うがどうなのだろう。


「ふむ。なら俺も優雅に過ごした方がいいのだろうか?」

「いえ、どちらでもいいと思いますよ」

「ならば、少しでもいいから民に還元してやることだな」

「分かりました。ではそのように………それにしてもエース王は偉大ですね。普通王様になれば皆さんその欲を抑えきれないのに。自分を律するなんて普通は出来ることではありませんよ」

「そうか?」


 俺にとっては普通のことだと思うがそうではないのだろうか。


「はい。普通は皆さん優雅に過ごそうとするものですよ」


 普通はそうやって過ごすのか。


「だが、俺は俺だ。このままいこうと思う」

「はい、そういう王がいても問題ないと思いますよ」


 俺の考えを肯定してくれるリシア。

 なら俺はこれでいこうか。


「リシア」

「何でしょうか?」

「話があるのだがこの後いいか?」



 ルーナ達を後ろに控えさせて俺とリシアで話を進めることにする。


「現在のこの国について聞きたいのだがいいだろうか?」

「はい。どのようなことをお話すればいいでしょうか?」

「ふむ。まずはギルドについてだな不正を犯していないかなどを聞きたい」

「特に今のところそういった情報は入ってきておりませんがどうかしましたか?」


 シュノーレで行われた不正について話しておこうか。


「シュノーレではギルドと鑑定士達が結託して不正を行っていてな」

「それは、本当のことですか?」


 目を見開いて驚く彼女。

 今初めて聞いたことなのだろうか。


「本当だ。結託して詐欺行為を行っていたからな。今は摘発されてそんな馬鹿なことをする奴はいなくなったが」


 俺が指摘して衛兵がそれを取り締まってからそういった話は聞かない。

 もう終わったのだろう。


「それは大変ですね。このソレイユでも同様の事が起きていれば取り締まるべき事案です」

「だが、そういった話は聞かないのだろう?なら噂が現れてからの調査だな」


 一先ずはそちらについては問題ないだろう。

 となると次の話に入ろうか。


「俺はこの国を豊かにしたいとそう言っているのは聞いたな?」

「はい」


 それは聞いてくれているらしい。安心だ。


「そこで、だが。明日は街に行きたいと思っている。現状のこの国の把握をしたい」

「王自らですか?!」


 リシアが叫ぶ。


「危険ですよ。王自らが出向くなんてことは」

「とは言われてもだな。貴族達に任せていれば何処でどんな話のすり替えが行われているか分からない以上、それが正確なものかどうかは分からないとなるわけだ。それは分かるな?」


 それこそシュノーレの時はそうだった。

 ギルドが1枚噛んでいたのもあって中々上の方にしっかりとした情報が届かなかったのだろう。

 貴族達がまともに動いていて事態を把握して調査しているという仮定の話だが。


「なのでこの国は問題ないか俺が直接視察したいと思っている。もちろん護衛としてルーナ達を連れていくしリシアが付いてきてくれてもいい。俺一人に行かせるのは危険だと言うならな」

「分かりました。では私もお供いたします」


 話はまとまった。

 なら明日は街に向かうことにしようか。


「何か用事があるのなら勿論外れてもらっても構わないんだぞ?俺は1人でも問題ないしな」


 俺の鑑定スキルは最強だ。これがある限り殴り負けるなんてことはない。

 なので本来は護衛も要らないくらいなのだが、リシアが王の盾ということを落とし所としてはこんなものかと考えたのだ。


「いえ、もちろん同行しますよ!エース王」

「そうか。それからひとついいか?」

「な、何でしょう?」

「この辺りにダンジョンはあるだろうか」

「ダンジョン?」

「あぁ。ダンジョンだ」

「何故ですか?Sランクのダンジョンならありますが」

「ふむ。国を上げて攻略しようと思ってな」


 ダンジョン内には希少な物資が落ちていたりする。

 それを回収し他国に売ったりすることによって国としての豊かさは上がるのだ。


「でも未踏破のダンジョンですよ?」

「未踏破だからなんだというのだ?どんなダンジョンも最初は未踏破だろ?」

「それは、そうですが………」


 言い淀むリシア。


「とりあえず全体に話を通すためにも視察の後に会議を開く。貴族連中とギルドマスターを呼んでおいてくれ」

「い、いきなりすぎませんか?!」

「俺が集めろと言ったのだ。つべこべ言わずに集めろ」


 そこまで言うと何も返す言葉がないのか黙って頷くリシア。

 ふむ。明日は忙しくなりそうだな。

 これからの生活が楽しみだ。

新作明日くらいには投稿できそうです。


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