第四話 6
目の前に、高校三年生の祐樹が現れた。僕達は横浜から高速バスに乗り、隼人のいる神戸を目指していた。青春十八きっぷを購入し、普通列車で行こうかとも思ったのだが、乗り換えが面倒だということに気付き夜行バスにしたのだった。しかし、それにしても寝ているだけとはいえ、長い時間バスに乗っているのはかなり辛かった。けれども、初めての二人旅はなんだか刺激的だったのも事実だった。バスは九時間かけて朝の八時に神戸の三ノ宮駅に到着した。三ノ宮駅には、すでに隼人が迎えに来てくれていた。しかし、朝の八時に観光といっても行くところがない。十時に開園するポートピアランドに行くことにして、まずは腹ごしらえをしようということで、駅近くのファストフード店に三人で入った。
「しかし、ほんとに神戸に来るとは思わなかったよ」
「俺はな、行くと言ったら必ず行くんだよ」
「まぁ、来てくれて嬉しいけど」
「そうだろうよ。ところで、隼人、お前、大学どうすんだよ。東京の大学にするんだろ?」
「いや、留学しようかと思ってる」
「マジか?」
「ほんとほんと。東京だったらまた三人で遊べると思ってたのに」
「やっぱり、英語圏で働きたいって夢があるし」
「そうか、外交官になりたいって言ってたもんな」
「うん、でも、ま、分かんないけどな」
「ふーん、なんかがっくり」
「祐樹はやっぱ東京の大学にするんだろ?」
「うん、そのつもり」
「亮は?」
「俺はそのまま横浜だよ」
「横浜の大学?」
「アホか! 俺が大学に行くわけないだろ。そのまま、祐樹んちの工房に就職」
「え、そうなんだ! 良かったじゃん!」
「良かったんだか、悪かったんだか」
「でも、亮って、中学の時の美術の成績、かなり良かったじゃん」
「まぁ、美術と体育だけは良かったな。他は、最悪だったけど」
「しかし、祐樹が工房を継ぐのかと思ってたよ」
「僕は親に全然似てなくて才能ないから、親はとっくに諦めてるよ。だから亮ちゃんが継いでくれて万々歳ってわけ」
「そっか」




