第四話 3
数日後、中学の同級生男三人で商店街にある居酒屋に集合していた。隼人は居酒屋に一番最初に到着していて、遅れてきた僕たちの姿を見つけると開口一番「よっ! 久しぶり!」と元気良く叫んだ。「何が、久しぶりだ! お前、東京にいたんだったら、連絡くらい寄こせよ!」と僕が言ったら、隼人は少しだけ申し訳なさそうな顔をした。
「いや、それが俺も色々あってね。仕事がハードなのもあったし……」
「もしかして、美帆のことで連絡取り辛かったとか?」
「うん、それもある……。それに俺も結婚してたから、仕事と家庭のことでいっぱいいっぱいだったんだよ」
「えーっ、お前結婚してたのかよ?」
「うん」
「誰と?」
「仕事関係で知り合った子」
「ふーん」
「ちょっと待て。今、結婚してるじゃなくて、結婚してたと言ったな。ということは離婚したのかよ?」
「正解」
「なんでまた?」
「まぁ、お互い忙しすぎてすれ違いばっかりで、結婚してる意味を失ってたから……というより性格の不一致かな」
「性格の不一致……」
僕は隼人にそう聞かされて、性格の不一致といえば、自分と優菜も性格は大いに違うけどなと考えていた。
「美帆といつ別れたんだっけ?」
祐樹が訊いた。
「高校三年生」
「えーっ、そんなに前だっけ? 二十年も前じゃん。美帆は僕に何にも話してくれなかったな……。それはそうとね、亮ちゃんもこの間まで大変だったんだよ」
祐樹はそう言って、僕が四週間の間、ずっと昏睡状態であったことを話すと、隼人は目を丸くしていたが、「生き返ってぴんぴんしてるなんて亮らしい!」と爆笑していた。しかし、彼なりに僕の身体のことも気遣ってくれていた。
「プロデューサーだなんて、テレビ局で一番しんどい仕事なんじゃないのか?」
「まぁね、しょっちゅう胃は痛くなってるよ。そのうち頭も禿げそうだ」
「しかし、美帆の会社と仕事するなんて、なんたる奇遇!だったね」
「そうかもな。しかし、急遽仕事を頼んだのに、優菜はよくやってくれてすごく助かったよ」
「おかげで、次の日ぐったりしてたぜ」
僕がそう言うと、祐樹が「亮ちゃんと優菜は結婚してるんだよ」と隼人にばらし、隼人は「そうなのか!」とびっくりしながら喜んでくれていた。
「祐樹は?」
「僕は独り身」
「なんかそんな気がしてた」
「どういう意味だよっ!」
祐樹は怒っていたが、「美帆も今も独身だよ」と祐樹が隼人に言うと、隼人は一瞬絶句し、「もうとっくに結婚してると思ってたよ」とポツリと呟いた。




