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第53話 二人だから
部室。
部長は完成した漫画を机へ置き、静かに二人を見た。
「一つ言っておく」
悠斗と花音は姿勢を正す。
部長は穏やかな口調で続けた。
「プロットだけでもダメ」
「設定だけでもダメ」
「作画だけでもダメ」
一拍置く。
「二人だから、この漫画になった」
部室が静まり返る。
悠斗と花音は顔を見合わせた。
花音が照れくさそうに笑う。
「でも、思いつきで色々言ってたら、ほとんど悠斗が考えてたけどね」
悠斗は苦笑する。
「せやけど」
「花音がおらんかったら、この設定は生まれとらん」
花音は少し驚いた顔をする。
「そうかな?」
悠斗は小さく頷く。
「ワイ一人やったら、こんな無茶苦茶な発想は出てこん」
「せやから、完成したんや」
部長は満足そうに笑った。
「それでいい」
「創作は、一人では見えない景色がある」
二人は照れくさそうに笑い合った。




