【生活衣服と戦闘衣服】
それから1週間後。
新しい衣服をさらに二つ獲得し、
ミラティアは衣服に、
二つの種類があることを知った。
一つは、料理や裁縫、掃除などに役立つ
『生活衣服』。
もう一つは、戦闘で能力を高める
『戦闘衣服』だった。
ただし、こちらはまだ獲得していない。
・洗濯作業服:熟練度0
補正:器用+1 体力+1
魔力消耗:5
疲労蓄積:1
特殊補正:洗濯技能+1
・農作業服:熟練度0
補正:器用+1 筋力+1
魔力消耗:5
疲労蓄積:1
特殊補正:農作業技能+1
その日は洗濯を手伝い、
午後から孤児院の隅に畑を作ることにした。
「ふぅ、種まき完了!」
その後、孤児院に入ると
ミラティアをよくからかう男の子、
『ロイ』がいた。
「今日は外で泥遊びかよ」
と言いながらミラティアを突き飛ばす。
突き飛ばされた拍子に、
服の裾が木箱の小さな釘に引っかかった。
ビリッ。
嫌な音がして、服が破ける。
それは、さっきまで使っていた、
畑道具を入れていた木箱だった。
「あ…」
慌てる『ロイ』。
そのまま何も言わずに走っていく。
部屋に戻り、
針と糸を取り出した。
「これくらいなら直せるはず」
《『衣服切替』の熟練度が上昇しました》
スキル:衣服切替 熟練度1
(これ上がるとどうなるんだろう?)
衣服を直し終わると、
台所へ向かう。
料理手伝いと掃除は、
いつの間にか日課となっていた。
毎日手伝っているうちに、
少しずつ上達していった。
次の日。
農作業で使う種を探すため、
ミラティアは孤児院の裏手にある森へ来ていた。
普段なら、魔物が出るような場所ではない。
種になりそうな草や実を探しながら、
森の中を歩いていく。
少し進むとそこには、
魔物『ビッグラット』の姿が。
「何で魔物がこんな所に!?」
この世界に来て、初めて見る魔物。
その姿を見た瞬間、頭の中に声が響いた。
《新規衣服作成条件を達成しました》
《新規衣服:盗賊服》
《必要素材:丈夫な布✕2、丈夫な糸✕2》
《魔物の皮✕1》
魔物を見ることが条件だったのだろうか、
新しい衣服の情報が見えた。
「あれ、倒せるのかな…」
近くで武器になりそうな木の棒を拾い、
ビッグラットに殴りかかる。
だが、ほとんど効いていない。
ビッグラットは低く唸り、
ミラティアへ飛びかかってきた。
体当たりされ吹き飛ばされる。
「これが魔物…」
ビッグラットは、決して強い魔物ではない。
武器も経験もないミラティアにとっては、
十分すぎる脅威だった。
何とか立ち上がり魔物から離れるが、
追撃してくるビッグラット。
魔物の突進を、必死に横へ転がって避ける。
そのままビッグラットは、
近くの木へ激突した。
ミラティアを見つめるビッグラット。
「何かないか」
周りを見回すが役に立ちそうな物は
見当たらない。
「今度あれをくらったら…」
突進してくるビッグラット。
「だめか…」
諦めかけ目を瞑る。
さっきビッグラットがぶつかった木に、
大きな亀裂が入っていた。
バキ、バキバキッ。
嫌な音が森に響く。
ドォンッ!
倒れた木が、突進してきたビッグラットを押し潰した。
「…助かった、運がよかったな…」
しばらく動けなかった。
けれど、素材が必要だ。
ミラティアは震える手で、
潰れたビッグラットから素材を回収した。
《魔物の皮✕1、魔物の肉✕1を入手しました》
その後、何とか孤児院へ戻ると、
マリアが血相を変えて駆け寄ってきた。
「どうしたの!? 大丈夫?」
魔物に吹き飛ばされた衝撃で、
服もあちこち裂けている。
体中にも怪我をしていた、
マリアに治療してもらうミラティア。
だが魔物と戦ったとは言えず、
何とかごまかした。
治療を終え、
部屋に戻るとベッドに寝かされる。
「体中痛い…」
「しばらくは安静にしてなさい」
とマリアにきつく言われた。
数日後。
やっと動けるようになったので、
手に入れた素材で新しい衣服を作る。
《作成完了。『盗賊服』を登録しました》
新規登録衣服
・盗賊服:熟練度0/10
補正:器用+8 腕力+3 敏捷+12 体力+5
魔力消耗:5
疲労蓄積:1
特殊補正:戦闘技能+1 短剣技能+1
さっそく『衣服切替』で着替えてみる。
「なかなかいい感じ!」
倉庫へ行き、武器になりそうな物を探す。
すると…。
「何だろう こんな所に短剣?」
かなり錆びていて、刃もぼろぼろだった。
まともな武器とは言えない。
それでも、何も持たずに森へ行くよりはましだ。
盗賊服の補正があれば、少しは扱えるかもしれない。
これで準備は整った、
今度は上手くやろうと思ったのだ。




