1年生10月:対抗戦(1)
アリス・エアル・マーカー(レベル20)
称号:聖女(初級)
HP:(レベル25から解放)
MP:9,999
魔法攻撃力:1,250
魔法防御力:1,500
魔法属性:聖
修得魔法:
『復活』(MP消費5,000)、
『聖域』(MP消費2,000/100m3/10分)、
『聖刻印』(MP消費2,000~)、
『蘇生』(MP消費500)、
『修復』(MP消費300~)、
『治癒』(MP消費10)
武闘技:『聖拳突(MP消費10~)』
装備:学園の制服、指定靴、節約の腕輪(MP消費4/5)、聖女の護印、聖女の刻印、召喚の輪
所持品:MPポーション(銀)×3、絶対零度×1
使徒:クララ(クラーケン)
騎士:エリオス・J・ウォール
フルステータスがなかなか意味深になっていて、他の人に見られないか不安で仕方ない。
称号とか、MPとか、使徒とか、騎士とか。
ハンス先生は視れないと言っていたし、学園長に『看破』をかけられたときも失敗したっぽいけど。
今日からのペンタグラム杯で各学園のトップ魔術師がダリア魔法学園に集結しているので、どうにも落ち着けないでいる。
王都五大魔法学園はそれぞれ学園のカラーが決まっていて、
『栄華』ダリア魔法学園:黄
『信頼』アスター魔法学園:青
『情熱』ローズ魔法学園:赤
『勇気』アイリス魔法学園:紫
『希望』アネモネ魔法学園:白
大会中は特別に学園カラーのリボンを制服のタイにする。
わたしもイマリも黄色のリボンを胸元に結んで、初日の会場になっている中等部を見学中。
イマリはアイリス魔法学園の出身だけど交流会で来たことがあるので、わたしを案内してくれている。
高等部より生徒が多くて、校舎や敷地が高等部より広い。
個人戦会場のアリーナの周りにはたくさんの屋台が出ていた。
親子連れや、制服じゃない学生ぐらいの人もいて賑わっている。
「なんだか文化祭みたい。」
色分けのタイとか学園対抗とかから体育祭をイメージしていたけど、どちらかというと文化祭の雰囲気だ。
「ぶんかさい? って?」
「あの、お祭りみたいと思って。」
「お祭り楽しいわよね。ねぇアリス、クレープ食べない?」
「大好き! 食べる~。」
甘い匂いにひかれて、鉄板のチョコバナナを買った。
イマリはモンブランを頼んで、二人で花壇のレンガに並んで腰かけて食べる。
学園の中からほとんど出ないからこういうスイーツをあまり食べられないでいるけど、甘いものは正義だわ~。
よく部活帰りにみんなでコンビニ寄ってたなぁ。
「そんな好きならもっと出かけたらいいのに。」
そんなにまにま食べていたのか、イマリがあきれて笑う。
「アリス、ちょっと元気になったね。」
「そう? そんなに元気なかった?」
「最近いろいろあったもんね~。」
エリオス先輩のファンからの嫌がらせやキャサリンの退学。
たて続いたもめ事は学園全体が対抗戦準備に盛り上がるのに埋もれて、最近は自分のことに集中できていた。
「心配かけてごめんね。」
「いいのいいの。」
唇に残ったクリームをペロリと舐めて、イマリがわたしの手をとって立ち上がる。
「今日はわたしの後輩たちを応援してね!」
ペンタグラム杯個人戦ルール
・各学園からの出場数は200人まで(最大参加1000人)。
・制服着用、魔装具無制限、魔道具禁止。
・生徒どうしの直接攻撃及び場外は即失格、流れ当たりも厳重注意。
・1次予選は生徒10人対ゴブリン10体の3分間バトル・ロワイアルで、上位3人までが勝ち残る(最大通過者300人)。
・2次予選は32組に分けて1人だけが勝ち残る5分間バトル・ロワイアル。
・決勝は2次通過32人によるトーナメント戦で、2人組で魔物1体を10分間攻撃して、ダメージを多く与えた方が勝ち上がる。
お昼の少し前に中等部アリーナに入ると、客席はほぼ満席だった。
グラウンドに15メートル四方のステージが12個作られていて、この中で戦うことになる。
明日の高等部個人戦も同じルールなので、応援だけでなく下見もしておかないと。
「イマリは去年も出たの?」
「うん、3年生はだいたい出るのよ。定員超えちゃって学園予選したけどね。」
ダリア高等部は人数が少ないけれど、他の学園や中等部は各学年に300人くらいいるそう。
「ここでの成績が高等部受験の目安になるから、みんなかなり気合い入ってるのよ。」
なるほど、共通模試みたいな感じかな。
「まあたまにがっちがちに魔装具で固めてくる人がいるけどね。」
魔道具は禁止、魔装具は無制限。
「魔装具ってほんとに無制限なの?」
「消耗品は禁止だけどね。すっごい鎧で出てくる人もいるよ。」
ほら、と会場のひとつを指すと、フルメタルプレートで制服がほとんど見えない生徒がいる。
「1次予選はゴブリン相手だから、防御固めて押し出したりするのよ。」
魔物を場外に出せば討伐ポイントになる。
討伐ポイントは1体10ポイントで、ポイント上位3名が2次予選に進む。
「やった、総取り成功~!」
イマリが手をあげて応援している男子生徒はアイリス学園トップの3年生で、1人であっという間にゴブリン10体全部の首を落としてしまった。
ちなみにゴブリンはペンタグラム杯専用魔法で合成召喚していて、致命傷や場外になると消えてしまう。
「ダリアを受ける予定なの、カッコいいでしょ!」
喜ぶイマリが恋愛オーラ全開で、すごく可愛かった。