二
あれ?机で寝てたのに何で地面で寝てるんだ?
「いてぇ...」
硬いところで寝てたからか、軽く寝違えた。軽く首を左右上下に動かし調子を戻す。
”ここって教室でもバイト先でも家でもない?どこだここ?”
近くにはクラスメイト達と先生がいる。全員表情が戸惑っている辺りねている間何かあったのだろう。
「異世界からきた勇者候補たちよ。我が国グリムヘイムによく来てくれた。」
声の聞こえる方を向くと前によく見かけた王座
後ろに騎士や明らかに金持ちの人を控えさせている3・40代ぐらいの王様のような格好をした人は語りだしたが、俺には何を言っているのか理解出来ない。聞いた言葉が入ってこない。
どうゆうことなんだ。クラスの大半だけでなく大人の先生二人も混乱して理解出来ていないか、理解出来ない恐怖で震えているみたいだ。
いや、俺自身が震えているんだ。混乱して周りを見ていないのに解るなんてあり得ない。自分がそうだから周りもそうだと決めつけているのだろう。解らない、なんなんだと自問自答し現実逃避しているとゆっくりと俺たちの前に出ていく人影が。
少し癖のある長い髪を靡かせ悠然と前に出た。姉ちゃんだ。
「神奈川南ヶ浜高校生徒会会長の西谷楓と申します。」
こんな状況で、相手に話が伝わるのかも解らないのに場違いなほど落ち着いた凜としている声で話始めた。
「先ほど私たちを勇者候補とおっしゃっていたと思うのですがいったいどうゆうこですか?ぐりむへいむ?とは聞いたことのない国名ですがどの辺りになるのでしょうか?」
「そうですね。まず始めにここはあなた方のいた世界とは異なる世界です。グリムヘイムは人間族の大陸。中央大陸の国の一つですよ。」
姉の質問にすぐさま答えたのは王様の近くにいた女性だ。こちらは女王のよう格好をしていた、金色の髪をした絶世の美女と呼べる美貌を持っていた。クラスの男子何人か見惚れていた。
姉ちゃんが前に出てくれたおかげか少し落ち着いて周りを見る余裕が少しできた。すると女王から小さく「予想より多く召喚されましたが、こちらとしては好都合ですね。」と呟くように聞こえた。どうゆうことだ?
「異なる世界とは何ですか?何故私たちはここにいるのでしょうか?」
姉の質問に意識が姉に向けられそこからはまるで様々な質問と答えの応酬だった。周りを見ると恐怖している人は居なくなったがほとんどが今話している情報量に物凄く混乱している。
えっと、頭中で一度整理してみるか。
1 ここは俺たちがいた世界と異なる世界で俺たちは異世界の勇者候補として召喚された。
2 この世界は俗にいうファンタジー世界で魔法やドラゴン、エルフなどが沢山いる。
3 ここはグリムヘイムと呼ばれる国で中央大陸内で最も人口と土地が多い。
4 1000年以上前から人間族と魔族は戦争をしていて、100年ほど前に冷戦状態になった。
5 そして王様の名前はハノヴィヒューリッヒ・グリムヘイム、女王様もとい王妃様の名前はアルトレア・グリムヘイムというらしい。
今俺が解る範囲でまとめるとこうなるだろう。後の情報は展開が速すぎて理解が追いつかないから後で姉ちゃんに確認するか。そんなことを考えていると
「つまり私たちの力を借りたいそうですね?」
「ええ。」
質問は終わったようだ。王妃は姉ちゃんの質問攻めで少し疲れているようだった。
「皆さんと話し合う時間を頂けませんか?私一人の一存では決められませんので。」
「解っています。いい返事を期待していますよ。」
女王様が、「彼女らを離れに案内してあげなさい」そう言うと何人かの騎士のような人たちが俺らを先導してくれた。
流石姉ちゃん、あの趣味を除いたら本当に完璧超人なんじゃないかと思う。
「それにしても、面倒なことになったな」
「同意見だ」
いつの間にかいた、横にいる腐れ縁も同じ意見らしい。ほんと何でこうなったのか...