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入店5回目 2 ~泣きそうです・・・~

でも、私は純さんの不器用だからこその優しさや誠実さが好きだったし信じていたつもり・・・でした。


だからこそ、ひどく裏切られた気持ちになりました。


まして今日は純さんにお願いされる形でお店に行くのに。


悲しくて頭が真っ白になって・・・しばらくはどうお返事したらいいのか、何も思い浮かびませんでした。


『そういうことでしたら、私がお店にうかがうのは明日にしていただいてもよろしいでしょうか』


 思い付いたのはそんな提案。


だって今お店に行ってもいつも通りの態度を取れる自信がありません。


私としては一度家に帰って落ち着いて気持ちを整理して仕切り直しをしてから純さんに向き合いたい気分でした。


『いや、もう愛香ちゃんの席を予約しちゃってるから、今日は来てほしいな』


 ところが、純さんから帰ってきたのはそんな無情な言葉。


どうやら私には選択肢はないようです。


本当は、純さんの言葉を無視して「帰ります」と言ってしまいたい心境でした。


もう、その言葉が喉まで出かかっていました。


だけど、それを実行してしまったら純さんにご迷惑になる・・・純さんの顔が立たなくなる。


それだけは分かったので、どうしても「帰る」とは言い出せませんでした。


長いこと逡巡して、心の中の葛藤と戦って・・・。


『それで、私はどうすればいいんでしょうか』


 大分しばらくして、ようやくそうお返事しました。


なるべく感情が出ないように、平坦な感じで。


『20時のオープンに間に合うようにお店まで来てくれればいいよ。本当にありがとうね』


 純さんからはいつもの感じのお返事がすぐに来ました。


お礼を言われてもちっとも嬉しくありません。


 お店が始まるまではまだ一時間近くあったので、私はそのままカフェで時間をつぶしました。


でも、コーヒーを口にしても泥水を飲んでいるような不快感しかありません。


ブルダに行きたくなくて、純さんに会いたくなくて逃げ出したくなる気持ちを必死で押さえていました。


 20時の開店に間に合うようにカフェを出ましたが、足元が覚束ないのが自分でも分かります。


思えば、いつもは純さんと肩を並べて歩くお店までの道も、一人で歩くのは初めてです。


純さんと一緒ならウキウキと弾む気持ちも、今日はひどく沈んでしまって足取りも重くなりがちです。


 それでものろのろと歩を進めて、オープンの五分ほど前にはお店に着きました。


お店の前にはいつも通り何人かのお客さまが開店を待っていらっしゃいます。


その中に純さんが一人の女性と並んでいるのが見えました。


さすがにじろじろと観察するのは不躾ですし、またその度胸もないので横目でチラ見しただけですが、件のお客さまは純さんと同い年くらいの女性。


髪が長くて大人の雰囲気を漂わせています。


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