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入店3回目 7 ~こ、これが私ですか!?~

※      ※       ※


 さて、またしてもブルダへ行った翌週の月曜日。


私は社内の誰よりも早く出勤しました。


私が髪型を変えたことに言及してくるのなんて幸子さんくらいだとは思うのですが、なんとなく面映ゆくてジッとしていられなかったのです。


先日純さんに美容院へ連れて行っていただいた日の、あの高揚感がまだどこかに残っていたのかもしれません。


 私の会社は現場担当の社員には作業服が制服として割り当てられていますが、予算の関係で事務員は私服です。


髪型を変えてしまったらどうしても今まで持っていた服は似合わなくなってしまって、日曜日に急遽仕事用の洋服を買いに走りました。


シーンとした社内で一人仕事の準備などをしていると、コツコツと足音が聞こえてきます。


あれは・・・幸子さんかな?


「おはようございます」


 足音が事務所の入り口で止まったので、私は振り向いて声をかけました。


そこにいたのは確かに幸子さんでしたが・・・あんぐり口を開けて棒立ちになってしまってます。


どうしたのでしょう?


「え・・・・・・・・・愛香!?」


 そうです、私です。


長い躊躇いの後に大声を上げた幸子さんは、途端にパァッと笑顔になりました。


「うそー! どうしちゃったの!? めっちゃイメチェンじゃん!!」


 そして、こちらに駆け寄ってこられます。


「最初誰だか分からなかったー! 新しい事務員さんが入ってきたのかと思っちゃった!」


 まるで子供のようにはしゃがれる幸子さん。


朝からテンションお高めです。


「もー、めちゃくちゃ可愛いじゃん! すっごいいいよ! もっと早くやればよかったのにー!」


 そこまで手放しで褒められるとさすがに照れます。


「なになに、それでどういう心境の変化? なんで突然イメチェンしようと思ったの?」


「あ・・・あの・・・純さんが髪型変えてみないかっておっしゃって・・・それで、美容院を紹介してくださって・・・」


 ご自分の席に座って前のめりに質問をされる幸子さんに、私はいささかしどろもどろで答えました。


すると、幸子さんは瞬間的に真顔になられます。


「それって例のホスト?」


「あ、はい。そうですけど・・・」


 私が肯定すると、幸子さんはとっても面白くなさそうな顔。


「ふーん」


 さらにとっても不機嫌そうな声。


「あ、あの・・・ダメ、でしたか・・・?」


 恐る恐る質問すると、幸子さんはまだしぶーい表情。


「んー、ダメではないけど・・・」


 けど?


「ていうか、逆になかなかやるじゃん、て・・・」


 ふえ?


顔を明後日の方向に向けながら、幸子さんは心底悔しそうにそう言葉を絞り出しました。


それはつまり・・・。


「少しは認めてやってもいいかなって・・・」


 今までに見たこともないような幸子さんの仏頂面。


でも、その言葉の意図が分かって私は顔を輝かせてしまいました。


「幸子さん・・・!」


「少しはね! 少しだけだからね!」


 もー、素直じゃないんだから。


それでも私は嬉しくて、心の中で「純さんやりましたよー!」と叫んでました。


あそこまでホストを毛嫌いしていた幸子さんがこうおっしゃってくださるなんて、一歩前進(?)と言ってもいいのではないでしょうか。


「どっちにしろホストなんてくだらない連中に決まってんだから。ていうか、そいつが愛香のこと泣かせたら承知しないんだからね」


 最後にそう言い張る幸子さん。


私ははいはいと聞き流しました。


純さんが私を泣かせるなんてありえないです。


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