入店3回目 3 ~こ、これが私ですか!?~
布が取り払われた瞬間――私の頭の中は?マークでいっぱいになりました。
目の前には鏡じゃなくてガラスがあって、その向こうに私と同い年くらいの女性がいたからです。
ライトブラウンのふんわりとした巻き毛。
ふっくらとした唇には上品な赤いルージュ。
長い睫にぱっちりした目。
コーラルピンクのチークを塗った丸顔の今時な可愛い女性。
訳が分からずに首を捻ると、ガラスの向こうの女性も左に首を倒します。
何か違和感を覚えて体を前に乗り出すと、向こうの女性もやはり同じ姿勢。
試しに手を上げてヒラヒラさせると、当然のように向こうの女性も手を振り返します。
そこで、背後からクスクスという笑い声が聞こえてきました。
今さらながらに気づきましたが、ガラスの向こうの女性の後ろに純さんとヒロさんが見えます。
・・・と、いうことは・・・。。
私!? あれって私なんですか!?
目の前にあるのはガラスじゃなくて鏡!?
まさにマンガなんかによくある「これが私・・・?」状態です。
っていうか本当に誰ですか!!
違いすぎるでしょ!
どうしてもすぐには信じられなくて、体を左右に振ったり手を上げ下げしていると、後ろにいたお二人はこらえきれないように声を上げて笑い出しました。
・・・だって信じられないんですもん。
思わず振り向くと、純さんは笑いながら頷かれます。
ヒロさんはウィンクしながらサムズアップ。
「いやー、やりがいがありました。ここまで変わると美容師冥利に尽きます」
感慨深げにうんうんと頷きながらヒロさんがおっしゃいました。
そうでしょうね。
もはや別人ですよ。
「よく似合ってるよ」
純さんも満足げです。
「じゃ、行こうか」
純さんに促されて立ち上がり、お支払を済ませてヒロさんのお見送りを受けながらお店を出たものの、私はどこか地に足が着かない感じでふわふわしています。
「じゃあ、後は洋服かな」
ところが、純さんはお店を出たところでさらにそうおっしゃいました。
そう言われて自分の服装を見てみると、ちょっとエスニックなカーキ色のチュニックシャツにスキニージーンズというカジュアルなコーディネート。
これでは首から上と下がちぐはぐな印象になってしまいます。
「この近くに古着屋さんがあるから行ってみようか」
「は、はい」
私が頷いたのを見て純さんはくるりと踵を返して歩き出します。
私も慌ててその後に続きました。
純さんが連れて行ってくださったのは、美容院から徒歩五分ほどのところにある古着屋さんでした。
店構えはそれほど大きくないですが、板敷きの床、アーリーアメリカン調のインテリア。
どう見てもヴィンテージもののジーンズとか置いてありそうな、これまた意識の高そうなお店です。
純さんは迷わず女性ものの洋服が並べられている一角に足を向けられました。
その後に続きながらラックにかけられた洋服の値段をこっそり確かめると、意外にも良心的なお値段です。




