入店2回目 4 ~ヘルプさんと猫と手品と兎さん~
そういえば、ミケさんはまだホストを始められたばかりとおっしゃってらっしゃいましたっけ。
きっと、他のベテランさんたちのようにスラスラと会話を続けることができないのですね。
ホストさんたちも新人さんの頃はこんな風に戸惑われたりするのだなぁと分かると何やら初々しさを覚えます。
それと同時に親近感も。
「ミケさんてまだホストを始めて一年目っておっしゃってましたっけ」
そこで、私の方から話題提供。
私もやればできる子!
「あ、はい。そうなんです。それで、今度JKCっていうのがあって・・・」
「JKC?」
「新人ホストの大会みたいなものです。俺も参加してるので、できればそこでいい成績を納めたいなって」
「へぇ~、そんなのもあるんですね。じゃあ、頑張ってくださいね」
「ありがとうございます!」
ミケさんが力強くお礼をおっしゃったので、私も思わず微笑んでしまいました。
ミケさんがお相手だと、私精神的に少し余裕ができるかも。
近くでお顔を拝見したらミケさんはかなりお若いことが分かりました。
多分二十歳そこそこ?
ということは、私の方がお姉さんなのです。
「そういえば、さっきの猫の話ですけど、うちのおばあちゃんちで飼ってる猫って三毛猫なんですよ」
「えー、そうなんですか。じゃあ俺だ(笑)」
「でも、三毛猫のオスってすごく珍しいんですよね。だから、ミケさんがもしホントに猫だったら、超貴重です」
「マジですか。人間でも貴重な存在になれるように頑張ります」
「お待たせー」
そこで、純さんが戻ってらっしゃいました。
「あ、じゃあ俺行きますね」
同時に、ミケさんの方は黒服さんに呼ばれて行ってしまわれます。
「楽しんでる?」
「はい」
純さんと膝が触れ合うほどの至近距離で座ってると、やっぱりまだドキドキしてしまいます。
「何の話してたの?」
「ミケさんとですか? 猫のお話でちょっと盛り上がってました」
「愛香ちゃん、動物好き?」
「はい。好きです」
「そっか。じゃあ兎さん作ってあげる」
兎さんを作る・・・?
謎の言葉に首をひねる私の前で、純さんはテーブルの上のおしぼりを一つ手に取りました。
そして、それを折り紙のように折ったりクルクル巻いたりしていると、あっという間に兎さんの完成です。
「うわぁ・・・」
ホテルなんかでよく見かける、いわゆるタオルアートというやつですね。
ただのおしぼりが純さんの手で小さな白い兎に生まれ変わったのを見て、思わず目を輝かせてしまいました。
「純さん、すごく手先が器用なんですね。この兎さん、とっても可愛いですっ」
ちょっとした魔法でも見た気分です。
ホストさんともなるとこういう技もあるんですね。




