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模試恋  作者: け
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6/6

〈第五章〉十二月二十九日

今回はいつもと少し雰囲気が違い、シリアスなお話になります。

未来さんが抱えていた過去とは何なのか。

ぜひ注目して読んでみてください!

未来さんの家に行ってから五日が経った

俺はいまだに、未来さんの家の匂いが忘れられずに、毎日を無駄に過ごしている。

永井「勉強しないとな…」

そんな時スマホが鳴る。

スマホ「ピコッ」

俺は未来さんからの連絡だと思って、すぐにスマホを見る。

メールは姉ちゃんからだった。

永井「なんだよ。姉ちゃんかよ…」

俺は嫌々返信する。

〜スマホの画面〜

姉 「今日友達の誕生日プレゼントを買わないとなんだけど、一緒に考えてくんね?」

永井「嫌です。一人で行ってください」

心の中「いくわけがないだろ。俺は受験生だぞ。勉強してないけど。」

姉 「えーーー笑いいじゃんこの可愛いお姉ちゃんといこーよー」

確かに、俺のお姉ちゃんは「世間一般的」に可愛い。

永井「えー。まあどこに行くかによる」

姉 「横浜駅〜」

心の中「今欲しいラノベが横浜駅にあるから正直行きたいな…」

俺は素直に言えずにこう言った。

永井「うんまあ近いからいいよ。」

姉 「ナイス!じゃあ十二時に現地集合で」

永井「はーい」

〜集合時間〜

永井「あいつ来ねえなー!」

三十分も待ってるのに一向に来ない。

俺はスマホを何回も確認するが、姉ちゃんからの連絡はない。

永井「まさか忘れてるんじゃないだろうな…!」

俺は少しイライラしながら、周りを見る。

そんな時、見たことのある美人が見えた。

こんな人混みの中でもすぐに目に入った。

見間違えるはずがない。あの綺麗な黒髪も見覚えのある後ろ姿も間違いなく未来さんだ

そう思った俺は周りの人を避けて、その美人に話しかけにいった。

永井「あれ?未来さんだよね?」

未来「…」

永井「?あれ違いますか?」

そう言った瞬間、未来さんは俯きながら逃げていった。

一瞬、何が起きたのか理解できなかった。

俺はただ声をかけただけだ。なのに、どうして逃げられたんだろう。

もしかして、俺は何か嫌われるようなことをしてしまったのだろうか。

永井「なんで…」

姉 「ごめんごめん少し遅れた〜笑。ちょいとナンパされてきた!笑」

永井 「…」

俺は追いかけた方がいいのだろうか。追いかけたら気持ち悪がられるだろうか。

心の中「行かなきゃ…」

永井「本当にごめん。姉ちゃん。一人で行ってくれ」

姉 「ちょっと待ちなさい」

そう言われながら腕を掴まれる。

俺は必死に振り払おうとした。

永井「離してくれよ!!今追いかけなきゃいけないんだよ…!」

姉 「あんた、一回落ち着きなさい。何かあった?」

俺は我に返り、落ち込みながら言う。

頭の中では色々な考えが巡っていた。

でも、今の俺には何が正解なのか全く分からなかった。

永井 「実は、さっき友達に会ったんだけど、逃げられちゃって…」

姉 「そっか。それ女の子?」

永井 「うん。」

姉 「そしたら、絶対に追いかけちゃいけないね。」

永井「なんでだよ!まだ近くにいるかもしれないんだぞ…」

姉 「一回落ち着け。逃げられた原因はわかる?」

永井「わからない。最近までいい感じだったのに…」

姉 「そっか…その女の子の連絡先は持ってるよね?」

永井「うん…持ってるけど。」

姉 「その女の子にも事情があるはずだよ。聞いてみなさい。」

俺はまだ自分から連絡したことがなかった。

いつも未来さんからのメールを待っていた。

心の中「勇気を出せ俺!!!!!!」

永井「わかった…!連絡してみる!」

姉 「そうしなさい。私は買い物行くね」

そう言い、姉ちゃんは去っていった。

〜スマホの画面〜

永井「未来さん。さっき横浜駅にいた?」

意外と早く既読がつく。

未来「はい。居ました。」

永井「単刀直入に言うね。」

永井「俺、何かしちゃった?…」

このメールを送ってから、十秒もしないうちに、急に電話がかかってきた。

まさか電話がかかってくるとは思っていなかった俺は、少し驚きながら通話ボタンを押した。

永井「はい…もしもし…?」

未来「さっきは本当にすみませんでした!!!」

大きな声で未来さんがそう言った。 

永井「大丈夫だよ!それより、俺なんかやっちゃいましたか?…」

未来「違うんです…学さんは悪くないんです…」

未来「学さん。実は…!」

覚悟を決めたように、未来さんが話す。

未来「学さんには言わなきゃいけないことがあります。」

未来さんが深呼吸する。 

未来「実は、私は月に一度しか、友達に会っちゃいけないんです」

俺は少し困惑したが、すぐに返答した。 

永井「それを破るとどうなるの?」

未来「何をされるかわかりません。」

永井「…」

未来「少し長くなりますが色々話しますね」

永井「うん」

未来「実は、私が中学ニ年生の頃、学校で知り合った女の子と、親しくなって毎日のように遊んでいたんです。」

未来「そんな時、急に父親がこう言ったんです…」

未来の父「あの子と遊ぶのはもうやめなさい。未来にとって悪影響だ。」

未来「もちろん。私は反論しました。」

中二の頃の未来「悪影響なんかじゃないよ!あの子はとってもいい子なの!!」

未来「その時突然父親から殴られました。」

永井「え……」

未来「私の父親はこう言いました」

未来の父「反論すんじゃねぇ!!!お前は、天童グループの令嬢なんだぞ!」

未来「そう言われて、私は泣きました。どれだけ泣いていたかわかりません。」

未来「その時、私の父親はルールを作ると言いました。」

未来の父「これからお前が友達と月に一回以上遊んだら、家を追い出す。」 

未来「私はびっくりしました。そして母親が畳み掛けるように私に言いました」

未来の母「分かった?あんたは月に一回しか、友達に会わないこと!」

未来「……」

未来の父「返事は?」

未来「その時、私の中で、何かがプツンと切れました。」

未来「私は泣きながら言いました。」

中二の頃の未来「こんな家もう住みたくない。」

未来の父「じゃあ一人で暮らせ。マンションの鍵だけ後で渡すわ。」

未来の父「あー、あと、お前さっきのルールを破ったらマンションの契約も解除するから」

未来「とても、軽い感じで言われてショックでした」

未来「私はその日のうちに家を出ました。」

未来「私、今でもルールを破ったらどうなるか怖いんです。」

未来「だからさっき逃げてしまったんです…本当にすみません。」

俺は何も言えなかった。

未来さんが今までどんな気持ちで生活してきたのか、俺には想像することしかできない。

ただ、一つだけ分かったことがある。未来さんはずっと、このことを誰にも言えずにいたのだろう。

俺は、最初に未来さんにこう言った。

永井「まずは、話してくれて嬉しい。」

永井「そのお父さん今どこにいるかわかる?」

未来「多分…家で仕事してると思います…」

永井「分かった。ちょっと一発殴ってくる…!!!」

正直、何をすればいいのかなんて分からない。

でも、未来さんが今まで苦しんできたことを知って、何もしないわけにはいかなかった。

俺は検索サイトで未来さんの実家の住所を調べながら、走り出した。

永井「ごめん!ちょっと、一回切るね!」

未来「学さん!!!ちょっと待ってください!」

心の中「流石に殴るはまずかったか…」

そう思いながら走っていると、未来さんは吹っ切れたように言った。

未来「私、学さんにこのこと言えてスッキリしました!私も殴りに行きます!!!」

その未来さんの吹っ切れたような声は、

今日聞いた中で一番、晴れやかに俺の耳へ届いた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

未来さんの過去を知った永井。

そして、未来さん自身も覚悟を決めました。

次回もぜひよろしくお願いします!

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