表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/179

Scene175

リクとアリスはベランダから外を眺めていた。ベランダには2人の洗濯物が並んでいた。


アリス「それで、あれから宝物探しは進んでる?」


リクは自慢げに言った。


リク「ああ、進んでるよ。」


アリス「何、何、聞かせて?」


リク「人にどうして道徳心があるかとう難問だ。」


アリス「それで?」


リク「人って相手に対して何かしら望んでることがあるだろ?例えば、こういうときはああしてほしいとか、こんなときにはあんなことはしないでほしいとか。」


アリス「ああ、友達同士のマナーとか、夫婦生活での家事の分担とか?」


リク「そうそう、ってオレちゃんと家事やれてるかな?」


アリスは笑って言った。


アリス「リクはちゃんとやれてるよ。助かってる。」


リク「それで、そういうのって全部、人が置かれる状況に対して、やるべきことを対応づけてるんだよ。だから、約束した状況と行動の対応関係を守るように相手に対して求めてるんだ。」


アリス「うーん。例えば、待ち合わせ時間を守るとか?待ち合わせをしているっていう状況では、時間に遅れるっていう行動をされたら困るもんね・・・。」


リク「だからみんなで、こういうときは、こうしましょうって感じで、状況に対してすべき行動を対応づけて、それについて約束をしようとしてるんだ。」


アリス「待ち合わせをするときは、約束した時間を守りましょうって感じでしょ?口に出しては約束してないけど、暗黙の了解ってやつだね。」


リク「でも、ここで問題が起こるんだ。自分と相手の両方が同じ状況で同じ行動をしないと、その約束は守られなくなっちゃう。相手が約束を守らないのに、自分だけ守ったら損しちゃうし、自分が約束を守らないと、相手にも約束を守ってもらうことができなくなる。」


アリス「相手が待ち合わせ時間を守らないのに、自分だけ待ち合わせ時間を守ってたら、自分だけ待たないといけなくなるもんね。それや嫌だ。でも、自分が待ち合わせ時間を守らないと、相手も守ってくれなくなるよね・・・。」


リク「そう。だから自分が約束を守ることによって、相手にも約束を守ってもらおうとするんだ。自分が約束を守ろうとするときに、人間に道徳心が生まれるんだ。」


アリス「だから自分がして欲しいと思うことを相手にしようとするんだ。そうしないと自分がしてもらえなくなるからね。」


リクは嬉しそうに言った。


リク「そう。道徳心って案外簡単に説明できるんだ。」


アリス「例えば、待ち合わせ時間を守ろうっていう気持ち?まあ、相手を待たせたくないっていう気持ちだから道徳心とか良心だよね。自分が相手を待たせなければ、そのときにはじめて相手にも待たせないようにお願いできるようになるもんね。」


リク「だから結局、道徳心は自分のためなんだ。自分が約束を守らないと、相手も約束を守らなくなってしまう。だから、自分には約束を守ろうとする道徳心が生まれるんだ。自分が約束を守ると、相手に約束を守ってもらうことができるようになる。自分が約束を守らない限り、相手も約束を守らなくなってしまうんだ。」


アリス「なるほど。だからみんな、こういうときは、こうしましょうって約束をして、相手にも守らせようとするし、自分も守ろうとする道徳心が生まれるんだ。それができればみんながハッピーだもんね。」


リク「だから、道徳心は自分の利己心から生まれるんだよ。みんなとルールを共有することによって、みんながルールを守る限り、相手だけじゃくて、自分のハッピーなんだ。だから、まずは自分がルールを守ろうとする。そのときに自分の中に道徳心が生まれるんだ。」


アリス「道徳心は自分のためか・・・情けは人のためならず、我がためなりってあったよね。リクって合理的だね。」


リク「何かそれ、前にも言われたような気がするな。」


2人は笑った。


アリス「そうだ、これを私たちのこれからのルールにすればいいかもね!」


リク「自分がしてほしいと思うことを、相手にするっていうこと?」


アリス「そう。だったらお互いに文句の言いようがない!」


リク「だったら、こういう時は、こうしようって、一緒に決めていかないとな。」


アリス「そうだね。」


リク「これ、前にアリスに言われたことがきっかけで分かったんだ。やるべきことができなくなる理由は他にもあるって。だからアリスのお陰なんだよ。」


アリス「そんなことないけど。そう言ってくれてありがとう。もっとたくさん宝物が見つかるといいね。」


リク「そうだな。だからオレ、宝物を集めるために学者になったんだ。」


するとリクはカバンから本を取り出した。その本のタイトルは「感情の経済学」というタイトルだった。


アリス「すごいっ!」


リク「この本はアリスとの記憶を取り戻せたから書けたんだ。だから一番最初にアリスに見せたくて。」


アリス「私たちの記憶が、こうやって形になったんだね。」


リク「そうだな。アリスとの記憶はいつまでたっても宝物だ。」


そのとき訪問を知らせるチャイムがなった。


リク「あ、ナオとケントかも。」


アリスは玄関まで行ってドアを開けると、ナオとケントの元気な声がした。


ナオ「アリス、タココス買ってきたよ!」


アリス「嬉しいっ!ありがとうっ!」


ケント「お邪魔しまーす!」


アリス「あれ、ミクちゃん大きくなったねーっ!」


リクはその声を聞くとベランダから部屋の中に入っていった。リクとアリスがいたベランダには、たくさんのひまわりが花を咲かせていた。



<終章 終わり>


最後まで読んでくださりありがとうございました。

以上で『再恋 -最後の時に 最後の場所で―』は終わりになります。

皆様の応援のお陰で楽しく連載を続けることができました。

今後は新しい小説を執筆し、投稿して参りたいと思っています。

またいつか再恋できることを楽しみにしております。


華景和音

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ