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乱世の転生者  作者: 情熱のデンプシー
第二部 河の国編  第3章 商人クウガ
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カリスマ性の勝負




「仲間を作ろう。共に時代を変える仲間を!」




 人質。

 ディムルエメラルド。


 敵地にありながらたくましくも生き延びる後の賢王は、行動を開始した。



 城都に勤める武人・文官たちに次々と声をかけた。



 もちろん、誰でもいいわけではない。


 必要なのは優秀な人材だ。


 そして何より、自分と志を同じくし、志のために命すら懸けられる存在だ。



 ディムルは多くの人たちに声をかけた。


 無論、自分は人質の身だ。

 エスパーラに反意を示すような発言はしない。

 そのあたりは上手くやる。


 彼には自信があった。




 そして結果は、




「全敗ですか?」


「あははは、全敗です……」




 カナミの問いに、額に汗をかきながら苦笑する


「うーん、使用人の人たちとはラポールを築けるんだけどなあ、軍役についている人になると不思議と上手くいかない。特に武人の人は……だあーっ!くそっ!!」


 憎き敵国、エメラルド国の王子。


 反発的な態度がとられることは仕方がない。


 それでも、最低の好感度を覆す自信はあった。


 好きと嫌いは紙一重だ。

 反転させるのは難しくないと考えていた。



「……私には、少しわかるかもしれません」



 カナミはうつむきがちに話しだした。


「我ら武人にとって、大切なのは忠義です。それは自分個人の御恩や感謝にとどまりません。一族が代々仕えてきた祖国や主君。武人の忠誠には歴史があります。それはそう簡単には覆りません」


 カナミの言葉に俺は感嘆した。


 なるほど、家制度か。


 現代日本の価値観がベースとなっている俺には盲点だった。


 前世の歴史においても世界各国に点在するこの制度。


 一族代々が主家への忠誠を尽くす。

 孫子の代になろうと決して裏切らず、個を捨てて貫く。


 その代わりに優遇をもらう。

 封建社会において代表的なシステムだろう。


 これを覆すのは容易な事ではない。


 カナミは家ではなく個人として俺に忠誠を誓ってくれている。


 しかしそれは彼女が多感な時期の少女であったからだ。


 揺るがぬ信念を持つ大人はこうはいかない。



 だとすると狙いは……。



 逡巡する俺に、カナミは悔しそうに続ける。


「なにより、ゲイル将軍はカリスマです。城都に仕える武人たちは、それを知っている」


 カナミは思い出していた。

 ゲイル将軍を襲ったその夜を。




『何故主君の気持ちを汲み取れん。この愚か者がっ!!』




 ……悔しいが、奴の言葉には力がある。

 ……厳しく、己を奮い立たせてくれる力が。


 それは、麻薬のような魅力があることをカナミは知っていた。


 あの輝きを前に、自分たちにいったい何ができるのだろうか。

 そう思うカナミに対して、ディムルはぶつぶつと呟いた。


「ターゲットは多感な若年層、または家格が低く今の立場で満足していない者……一番の狙い目は、エスパーラ軍にゆかりの薄い者。入城許可を得ている業者や商人なんかが対象か」


 ディムルには一切の躊躇は無かった。


 状況がどうでも関係ない。

 相手が誰でも関係ない。


 いつだって次を考えている。



 カナミは自分の偏狭さを恥じた。


 あるじゃないか、ここにも。将軍にだって負けない輝きが。



「ありがとう、おかげでプランが見えてきた。後は俺とゲイル将軍、カリスマ性の勝負だね!」



 ディムルはにかっとほほ笑んだ。




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