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恋を魔法で描いて プロローグ1
この物語の主人公は、パトロンを探す芸術家の卵。
王侯貴族に作られた芸術の国アンヴァギャルドには名立たる天才達が多く住む。
才能を持つ彼または彼女らは、売れるまでパトロンから出資を得て、生活のサポートを受けるのだ。
「プリマジェール魔法学園は王族もいる。素敵な絵のモデルとパトロンもみつかるといいな!」
彼女の存在する世界、ミーゲンヴェルドではどの国の子も16で魔法学園に通う。
いわばパトロンを見つけるには絶好の場所である。
「おはよう、ラメナ。今日もいい天気だね」
「そうだね~」
私はタブレッティオである男を調べた。テンビュルグ侯爵家の一人息子・ドラウだ。
「またパトローネット見てんの?」
「ルメル」
「……前から言ってるだろ、パトロンなら俺様がなってやるって」
幼馴染のスラクとルメル、彼らはそれぞれ名のある家の子で国の未来のパトロン候補でもあったりする。
二人も同じところに通うので何かと安心だ。
「だーかーらー幼馴染から支援は受けたくないの!」
こちらにもプライドというものがある。芸術家一族の教え、自分のアートへの信念を曲げてはならぬ!