あの人は
教団の神さまはね、人間なの、だけど救ってくれる。
とても頭のワルイ子が好きなの。賢い子が嫌いだからね。
でもね、お勉強ができないってことじゃないんだって。
私達の神さまはね、愚かな人が苦しむのが好きなんだって、いってることがよくわからない。
だけどね、ご飯をくれるし皆を殴ったこともないの。皆を変な人に売り飛ばさないの。
体や内臓の欠けた子、心を病んだ子を想いやってくれる。
悪いことをしたらちゃんと理由を言ってくれるから皆、納得して反省するんだよ。
でも大変、これじゃあ神さまの嫌いな賢い子になってしまうじゃない?
そしたらね“聡い“”と“賢い“”は違うって彼は言うの。
「孤児院の内情調査です」
黒髪の賢そうな青年が書類を片手に現れた。
神父の格好をしているから、別の孤児院の人なのかも。
「どうぞ、見ていってください。やましい事はありませんので」
神さまはスーツ姿でソファに座り、右足を上に組む。
黒髪の人もそこそこかっこいいけれど、補佐のミルクティーのような髪の彼も素敵。
でも一番はあのお方なの。あのね、神さまっていうのは私たちがそう呼んでただけ。
そういうのは宗教的でいけないんだっていう。だから口にはしない。
「可愛いリスですね」
「ありがとうございます」