第48話 アルフレッドの鍛錬
~アルフレッド視点~
「うーん、みんな頑張ってるなぁ。」
僕は皆が訓練している丘を見上げた。
リディはクロスボウ射撃の訓練、カールはテオドールを相手に組み手をしているようだ。
テオドールは剣士だと言っていたが、あのカール相手に徒手空拳で戦えるなんて凄いことだ。
さすがはAランク冒険者だ。
「アスカは…と。」
僕はアスカの姿を探した。
アスカは剣の素振りをしていた。
「鍛錬初めて1週間は経つけどまだ素振りやってるんだ。」
でもアスカは基礎から着実にやっていけば強くなれる気がする。
大変だけど頑張ってほしいものだ。
さて僕はと言うと精神統一による魔力の底上げと、新しい魔法の習得を目指している。
火と水属性の魔法はそれなりに使える。
あと契約できているのは光属性だが、僕が唯一使えるのは「光の剣」のみだ。
この魔法は光属性の中ではそれなりに上位のものである。
効果は武器としてのものと、自分自身の身体強化だ。
だが僕の光の剣はわずか数秒しか持たない。
もっと光属性の初歩のものを習得して属性そのものの特性を理解していかないと、持続時間の向上は望めないだろう。
光属性魔法についてテオドールに質問はしてみたのだが、曰く
「オレは直接戦闘についてはアドバイスできるが、魔法はからっきしなんだ。悪いな。」
と、何も知識を得ることは出来なかった。
だが冒険者ギルドに魔法について書かれている書物があることは教えてくれたので、それを借りて来て勉強中なのだ。
光属性の攻撃魔法は光線や光球を敵に当てるものがほとんどの様だ。
それは魔力を乗せた光線であり、その力で対象を破壊するらしい。
そしてその対象が闇の属性を持っている場合には、その破壊の度合いが大きくなる、というわけだ。
エネルギーを乗せた光線という記述を見たアスカが、
「まるでエネルギー波だね!」
って言っていたが、良く分からないしまぁそれは置いておこう。
今回の仕事の目的地には不死系の魔物が出ると言っていたから、光属性の魔法を使える様になればかなり有効なはずだ。
「さて、やってみるかな。」
僕は目を閉じた。
新しい魔法を習得するためには詠唱する文章を覚えるのもそうだが、魔力の流れをイメージするのが良い。
「光の精よ・・・」
僕は小声で呪文を詠唱した。
魔力を自分の掌に集中させた。
「・・・」
掌が一瞬輝いたが、何も出ない。
光線を出す、というものが中々イメージできない。
「うーん、どうしよう。」
僕は考えた。
「…そうか、エネルギー波か。」
エネルギー波、というのをアスカは知っているのだから、アスカに聞いてみよう。
僕はアスカの元へ向かった。
「ねえ、アスカ。ちょっといいかな?」
僕はアスカに声を掛けた。
「どうしたの? アルフレッド。」
アスカが素振りを止め、僕の方を向いた。
「アスカが言ってた、エネルギー波ってどういうのなの?」
「え、なんでそんなことを聞くの?」
「実はね、僕は光属性の攻撃魔法を身に付けたいんだ。だけど光線を出すっていうのがイメージできなくてさ。火とか水属性はイメージしやすいんだけど…」
「へぇ、アルフレッドでも分からないことがあるんだね。」
うーん、アスカのイメージの中では僕は万能なのかな。
「そうなんだよ。その、エネルギー波ってのを教えてくれるかな?」
「うん、ちょっと待って。口では説明しにくいから地面に絵を描くね。」
アスカが黒曜石の剣で地面をガリガリやって絵を描き始めた。
「目覚める前の俺がいた世界で流行ってた漫画であったんだけどさ。」
アスカの絵を見ると、その人物は技の名前を言いながら両手を後方にやり、両手で包み込むような感じでエネルギーを集中。
最後に「波ーーーっ!」っという叫びと共に、手を前に出し包み込んでいたエネルギーを前に押し出す感じで開放する というものらしい。
「うーん、良く分からないな。」
「そう? まぁこの世界に漫画ってないもんね。」
アスカが苦笑いした。
「おい、アスカ!まだ素振りやめて良いって言ってないぞ!」
テオドールの声がした。
「あ、ごめん。僕が声を掛けたばっかりに。」
「ううん。じゃ俺、続きやるから!」
アスカが素振りを再開した。僕はアスカの傍を離れた。
両手にエネルギーを包み込むか。
僕は両手軽く合わせた。
その中心に魔力を集中させるようなイメージを思い浮かべた。
そして呪文を詠唱し、掌を前に押し出した。
カッ!
眩い光線が前方へ向かって飛んで行った。
…これがエネルギー波なんだな。ありがとうアスカ。
僕はこの日光属性の攻撃魔法を習得することが出来た。




