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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第5章 霧の町編
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第46話 カールの鍛錬

「えい、やぁ!」

俺は黒曜石の剣の素振りを行っていた。

…別に黒曜石で出来てるわけじゃない。見た目が黒曜石のようなのでそう命名しただけなのだが。

「ふぅ…、小休止。」

100回くらい振っただろうか、俺は素振りを止め、カールとテオドールを見た。

テオドールは俺に素振りを命じた後、カールの鍛錬を始めているようだ。

「おい、誰が素振りを止めて良いって言った? 良いって言うまで続けてろ。」

テオドールは俺が素振りしていないのに気づき、俺を睨み付けて来た。

「えー、もう100回くらい振ったんだよ!? ちょっと休んでも良いじゃん。」

「ダメだ。厳しくするって言っただろ?」

「ぅー。」

俺は渋々素振りを再開した。

素振りをしながらも俺はカールとテオドールの会話に聞き耳を立てた。

「よし、始めるぞ。お前は戦闘技術とかよりも、まず自分の限界を知ることから始める。」

「ボクの限界…?」

「そうだ。お前はここに来るまでガストンとの鍛錬で基礎的な徒手空拳の技術は身に着けているようだ。今はそれでいい。だが巨大な敵と戦うならば、獣化もしくはそのままの姿で獣化に近いパワーとスピードを出さなくてはならん。これを見ろ。」

テオドールは右手を上げた。その手には黒い手袋がはめられており、手には黄色く光る石が握られていた。

「これはこの大陸のある炭鉱から発掘された魔石だ。魔力を込めることにより、電撃を発生させることが出来る。まぁ、アスカが持っている風の指輪の雷属性版みたいなものだな。」

「それで…ボクはどうするの?」

「うむ。まずお前は獣化しろ。」

「でも、ボクは獣化すると何が何だか分からなくなっちゃうかも…」

「出来るだけ自我を保てる限界までパワーを開放するんだ。だがもしお前の自我が保てないとオレが判断したら、この魔石の力でお前を昏倒させる。」

「え、こ、昏倒…?」

カールがビクッとした。体が軽く震えている。

そりゃそうだ。カールはまだ子供だ。テオドールの奴、なんてことを言い出すんだ。

「つまり、お前は気絶する直前が自我を保てる限界だと思え。それを繰り返し、限界を少しずつ上げていくんだ。限界が高まって行けば力を多く開放しても自分をコントロールできるし、獣化しなくても力を出せるようになるだろう。」

テオドールは震えるカールの頭に手を置いた。

「だがこの鍛錬は苦痛をかなり伴う。拷問に近いからな。やるかやらないかはお前に任せる。やらない場合はお前を一緒に連れていけなくなるがな。」

その言葉に、カールはテオドールを見上げた。

まだ震えているが、その視線は鋭かった。

「ボク、やります。ボク、みんなの役に立てるように強くなりたい!」

「分かった。なら始めるぞ。」

「はい! ぐ、ウォォォ…」

カールが獣化を始めた。




ババババババ!

「グゥゥアァァァァ!」

何回目だろう…。獣化したカールが断末魔の悲鳴を上げた。

カールが悲鳴を上げるたびに、俺はビクッとなった。

テオドールはカールに水を掛けた。

カールの体は体温が上昇しているらしく、水を掛けたところから湯気が上がっていた。

「ぐぅぅ、も、もう一回…」

獣化が解けたカールがフラフラと立ち上がった。

とても見ていられない。

だが、俺には何もできなかった。これはカールが選んだのだ。

カールが諦めない限り、俺が止めに入るのは筋が違う。

だが虐待にも近いこの鍛錬方法以外に、何か別な方法は無かったのだろうか?

「グググ…ウォォ!」

カールが再び獣化を始めた。

カールは右手で自分の顔を押さえて、必死に自我と保とうとしている。

俺はたびたび目をそらしながらも、ちらちらとカールの戦いを見た。

カールの目は最初よりは輝きを失っていない。

自我を失うとまるでただの獣のような目になってしまい、輝きが消えてしまう。

だが今回は違う。カールは必死に耐えている。

「カール、オレの声が聞こえるか?」

テオドールが声を掛けた。

「き、きこえ・・・ます。ボク、まだ大丈夫だ・・よ。」

「ようし、そこで力の開放を止めろ!」

カールが力の開放を止めた。

止めたはずだが、その雰囲気からカールの体に力が満ちているのが分かった。

見た目は普段の姿に近いが、爪は鋭く伸び、毛は普段より逆立っている。

「ボ、ボク…」

カールが周りをきょろきょろと見まわした。

「カール、お前は大したものだ。一日でここまで出来るとはな。」

「ボク、どうなったんですか?」

「獣化の力を普段の姿のまま固定できるようになったってとこかな。お前は人間とのハーフだから、完全な獣の状態よりはこの状態で力を発揮できる方が良いとは思う。」

「そ、そうなんですね! やった!」

カールは満面の笑みを浮かべた。

「今日のお前の鍛錬は終わりだ。明日からは戦闘技術の鍛錬をしよう。今日はもう休め。」

「はい、ありがとうございました。」

カールはペコリとお辞儀をした。

「…アスカは素振りを続けろよ? まだまだ止めちゃだめだぞ。」

「はぁい…」

はいはい、知ってました。

でもカールは一日で俺よりはるか先に行ってしまった感じだ。

俺も頑張らなくては!

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