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俺・プリンセス  作者: 風鈴P
第10章 王都決戦編
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第99話 稀代の魔導士

「初代ヘンドリクセンは全てを兼ね備えた偉大な魔導士だったのだ。」

“父”が語り始めた。




ナイザール王国を興した初代ヘンドリクセン王。

それはエレオノール大陸随一の権勢を誇るナイザール王国の基礎を築いた王の中の王。

それは強大な力で大陸諸国を席巻した悪魔を倒した英雄。

それは全ての魔法を操ることが出来る稀代の魔導士。

ナイザール王国では子供でも知っているようなことだ。

だが“父”が語ったことはそのような事ではない。




「初代ヘンドリクセンは一代で国を興したが、その時から国の将来を憂いていた。この国の王は自らの血筋の者が継いでいくだろう。だが自身の様な“全てを兼ね備えた強大な力”を持つ魔導士が生まれその者が大きな野心を持った時、恐ろしい事が起きるだろう、とな。」




「だから初代は自らの血筋に“呪い”を掛けた。何か一つに秀でたものが生まれることがあろうとも、全てを持つことが無いように。」




“父”が言うには、

兄ギュスターヴは魔法を闘気に変えて戦う“力”を持つ。

兄レオポルドは優れた知力で様々な事への分析できる“理”を持つ。

そして俺(アルエット)は“魔”の力を持つ。




「そして儂は何も持たなかった。初代の血を継いでいながら何も持たぬ儂が何故王になることが出来たか? それは奪うことが出来たからだ。そしてお前等が我が子として生まれた。儂は待ったのだ。」

“父”が恐ろしい表情になった。

「“奪う”のに値するまで成長するまでな。お前達を“奪えば”、初代に匹敵する魔導士になることが出来る。…ククク、ハーッハッハ!」

“父”が高らかに笑った。


「く…、させるか!」

レオポルドが表情を歪めながら、立て続けに無属性魔法を放った。

魔法が“父”に命中した。

だがあまりダメージを受けている様には見えない。

「アルエット! 俺にお前の魔力(チカラ)を貸せ! 父上を倒すにはあの魔族を復活させ俺に憑依させる。それしかない!」

レオポルドが俺に向かって叫んだ。

「え…、で、でも…!?」

俺は戸惑った。

レオポルドが言ってる魔族は初代が倒したほどのものだ。

きっと恐ろしい力を持っているに違いない。

兄レオポルドは野心がある。だが“父”も…。



「フ…」

「なっ…!?」

レオポルドは驚愕した。

それほどの速さで“父”が迫っていたのだ。

「息子よ。お前の働きは儂自ら褒めて遣わす。今後は我が力の一部としてそれを発揮すると良いぞ。」

ドン!

“父”は右の掌でレオポルドの頭を掴んだ。

「は、放せ!」

レオポルドが“父”の手を振りほどこうとした。

だがその手は離れない。

ボゥ…!

“父”の手が光り始めた。

「や、やめろ! …アルエット! 逃げろ! お前まで奪われると終わ…!」

ドサ…!

兄レオポルドの体が地面に落ちた。

いや、きっとそれは兄レオポルドだったものの体、だろう。



「ククク、素晴らしい。さて…」

“父”がこちらを向いた。



「に、逃げよう! アスカ!」

アルフレッドが俺の手を引っ張った。

「う…あ…!」

だが俺の体は竦んでしまって動かない。

怖い…! 動けない!

「そう怖がるな。お前の魔力は儂のものになる、それだけのことだ。若々しく“力”を持つこの体にレオポルドの“理”、そしてお前の“魔”があれば初代ヘンドリクセンにも引けを取らぬ。」

“父”が笑った。

「さあ、行くぞ。」



“父”が迫って来た。

その瞬間は一瞬であったはずだが、かなり長い時間に感じた。

だが俺は動けない。

「アスカ!」

ドン!

俺はいきなり突き飛ばされた。アルフレッドだ。

「ア、アルフレッド!!」

“父”の掌はアルフレッドを捕らえた。

「ほう、邪魔立てするか…!」

「ぐ、ぐふ…」

アルフレッドが苦しそうな表情を浮かべた。

「まぁついでに貴様も奪ってやろう。」

再び“父”の掌が光り始めた。

「ほぅ…。これは中々のものだ。光魔の適性を持つか。そうか、貴様はフランクール家のものだったな。」

「アルフレッド!」

俺は叫んだ。涙が溢れた。

このままではアルフレッドが死んでしまう。

「アルエットよ。フランクール家はかつて初代が国を興した際に敵方だった貴族の家系なのだよ。つまりこやつにとって我等は仇の一族なのだ。」

仇だって? そんなこと俺達には関係ないのに。

「ククク、思わぬところで良い力が手に入った。」



アルフレッドが力なく地面に倒れた。

俺は何度も呼び掛けた。

だがその声は届かない。



「さて、アルエットよ。終わりにしよう。」

“父”が俺の前に立った。



そして俺は意識を失った。

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