セフィリア洞窟後
ただいま宿屋の一室におります、天宮月華(12)です。
ものすごく気まずいです。
何故なら。
「「………………」」
鈴蒼を睨むレイン。
レインを無視して興味深そうにベッドを見てる鈴蒼。
何これカオスの予感。
ちなみに最初は鈴蒼さんと呼んでたが、若干黒い笑みで呼び捨てするのを強要された。
鈴蒼がここにいるのは私と契約したから。
右腕を見ると雪の結晶の形をした、蒼い入れ墨があった。
何故この模様なのか聞いたら鈴蒼は氷を操るらしく、模様は単に分りやすいからだとか。
てか、お前が心臓が凍った死体を作った犯人かよ。
鈴蒼は普段、私の中にいるけど好きな時に外に出れるらしい。
中にいる時や刀の時は私の右腕には入れ墨があり、人型の時は右耳に鈴のついた耳飾りをつけている。
レインは鈴蒼に手足を氷漬けな上、固定までされたんだとか。
さらには武器が鈴蒼だとは知らなかったらしい。
ならどうやって知ったのか聞いたら、色欲の悪魔が教えてくれたんだって。
レインもちょっとは調べろよ…。
どうやって脱出したか聞いたら悪魔としての力を解放したと。
ある意味すごすぎる。
「……おい」
現実逃避してたらレインが鈴蒼に声をかけたので、意識を戻す。
鈴蒼はレインを見た。
「何で、月華の了承も聞かずに契約した」
そこなのか。
「あの危機的状況で契約に対する可否を聞く暇なんてあると思うのか?」
いやまぁ、そうだけどさ。
どういう状況で契約したかは聞いていたので、レインが黙る。
鈴蒼はにやりと笑っている。
暇なので契約とは何なのか確認する。
契約は互いに納得し、強い結びつきを作るもの。
ただし強引に契約出来るものもある。
その契約する条件としては、契約する側が最低でも相手の名前を知ってること。
私は鈴蒼と契約が出来たのは、それが理由。
……意外と確認してもあまり暇は潰せなかった。
モンスターのとはいえ、命を奪ったのに何で私はこんなに平然としてるんだろう。
……でも、うじうじするよりはこの方がまだいいか。
「……サラダ食べてくる」
口論を続ける二人を無視し、部屋を出て食堂に向かう。
食欲は無いけど、無理矢理にでも胃に何か押し込まないとなぁ。
数分後に私がいないことに気づき、慌てて二人が探しに来たことは知らない。
月華が平然としてるのは理由あり。
いずれ本編で出します。