神の炎(陽菜視点)
「………………え」
お兄さんを凝視する。
ウリエル様?
この人があの大天使のウリエル様?
驚く私を見て、お兄さんがため息を吐き出した。
「言っとくが本物だからな。ほら」
そう言ったお兄さんの背中に、白い翼が生える。
それと同時に魔力を感じる。
神々しい魔力。
どうやらホントに天使――ウリエル様らしい。
慌てて跪こうとしたら止められた。
「そんなことしなくていーっての。分かってもらえたみたいだし、そういった堅苦しいのは嫌いなんだ」
四大天使がそれでいいのか。
「しっかし、アンタはスクレッツァにいると思ったんだけどな」
「黒鈴様から依頼を受けまして…」
「依頼?」
首を傾げるウリエル様に、依頼の内容を説明する。
月華が付け足した条件のことも。
「……ギルド所属の相手なら分かるが、ギルドに所属してない奴にも依頼…」
「行き帰りでの紫凛様の護衛ですからね…」
呆れてる表情のウリエル様に苦笑してしまう。
うん、なんかごめんなさい。
にしても、と腕輪と首輪を見る。
腕輪は前にレインさんが見せてくれた、隷縛の腕輪にそっくりなので多分それなのだろう。
首輪からは魔力を感じる。
視線に気づいたウリエル様は苦い表情になり、首輪を指差す。
「この首輪は魔力を抑制するんだ。これが無かったすぐに逃げんだけどよ」
「てか、何で天使が奴隷商人に捕まってるんですか?」
「……スクレッツァに行くために降りたんだけど、場所間違えた。目立つからそこから移動しようとして、な」
ああ、なるほど。
納得しました。
「そういえば、何で主……神様?…神様は、私のことを知ってるんですか?」
気になったことを聞く。
この世界の神様が、一個人の知ってるのが不思議だった。
「いや、三年前に巻き込まれて召喚されただろ?保護するために探してたんだけどよ…」
「……フィアンマータですか?」
嫌そうに言うと頷かれた。
なんでも、巫女は紛い物と勘違いされてフィアンマータから旅立っていなくなったからまだいいが、私は本物と勘違いされてそのまま留まったから手出しが出来なかった。
フィアンマータは信仰しなくなった王国で、そのせいで天使は入れなくなった。
天使は神などを信仰しない者や場所には、上手く接触することが出来ないのが原因だそうで。
接触すると魔力をかなり消耗するらしい。
それでほぼ軟禁されてたとも言える三年間、どうやって連れ出すか話していた。
でも私が逃げ出したから、ちょうどいいと保護するために動き出したら…。
「魔力が強くて駄々漏れなのに隠れに隠れまくってた上、魔力の後が濃厚だからこっちが翻弄されたんだぜ?しかもスクレッツァに入ってからまったく分からねーし」
「なんかごめんなさい」
レインの正体、バレないようにしないと…。




