ルルルフとナナヤ ▶︎いつもいつでも。
——2ヶ月後
「多分、しっぽ生え終わったニャー!!!」
2つの足でしっかりと床に立ち、ぴょんぴょん跳ねてみたり、くるくる回ってみてバランス感覚を確かめるルルルフ。
「これで成猫にゃーね」
「ルルルフも、やっと……ニャ!」
「でも、しばらくはこども扱いされるにゃーよ」
おとなになった証があれど、周りの諸先輩から見ればまだまだである。
そのあたりも、ルルルフに説明するアネイゴ。
「んで、あたいはあと1週間くらい、ここに住み込みで様子をみるにゃーよ。ルルルフが大丈夫そうにゃーら、契約終了にゃーよ」
「ありがとうニャ、アネゴさん」
「いいのにゃーよ。金はあいつらが出しているし、仔カーチェを迎え入れるって、こういう面も説明されてるから、気にしにゃーのよ」
「しらニャかったニャ」
故郷の馴染みある先輩が色々教えてくれて、不安ながらも大きな安心があったルルルフは、しっかりとお礼を言いつつ、アネイゴと一緒にゴリハウスの家事をして、リハビリし始める。
家事は問題なく、アネイゴは1週間後に帰って行った。
成猫となったからといって、ルルルフ自身大きく変わるわけでもない。
個体によってはもうちょっと背が伸びる、なんてのも聞いたので、あとちょっとだけ背が伸びて欲しいな、と思いつつルルルフは日常を送っていた。
「あれ?」
モクレンがルルルフを見て声をあげたので、ルルルフが振り返ると、モクレンはその振り返った体を、またくるりと回して戻す。
「ニャ??」
「しっぽ長くなった」
「ニャー??」
そう言われてルルルフはしっぽを動かしてみると、しっぽが顔にぺそりと当たった。
「ニャーーーー!?」
今までどんなに頑張っても、背中まで届く程度のしっぽが顔に当たったので、ルルルフは驚きしっぽを掴んで引き寄せる。
手で掴んで体の前に持ってこれたうえに、下を見ると視界にあるしっぽ。
「しっぽ成長」
先細りなしっぽは相変わらずだが、前の倍以上に伸びたようだ。
「背も伸びてほしいニャー」
「期待」
ほんわかしながら過ごす昼下がり。
「終わらせたぞおおぉおおぉ!!!!」
ゴルーダも帳簿を終えて提出してきたらしく、地獄からの解放に、目尻に光るものを浮かべながら、両手をあげて雄叫びをあげる。
「「うるさい」ニャ」
「ルルルフは仕方ないにしろ、なんで俺が毎回帳簿やってんだよぉおおぉ、お前もチームメンバーだろぉおぉ」
「リーダー、諦めて」
「ま、今度は俺がリハビリの番だな。ちょっくら行ってくる」
そして、帳簿提出の帰り、ハンターギルドにて面白い狩り情報を得たゴルーダは、モクレンと狩りに出掛けて行った。
——さらに2ヶ月後
ゴルーダ、モクレン不在のまま。
長期の狩りは最近にしては珍しい。だが、家が派手に散らからず、ルルルフの仕事はイージーモードであった。
コックのカーチェと、まったり遊んでいる。
「ゴルーダたち長いニャね」
「ほんとにゃす」
ハンターギルドに行けば、生きていることは確認が取れるので、気にしていないカーチェたち。
このところ、ファファも忙しいのか来なくなっている。
「どこにいるかは、なんとなくわかるにゃすから、その行方を見る感じだと、そろそろ帰ってくる気がするにゃす」
「じゃあ、食材そろそろ多めに買っておかニャいとニャね」
「そうにゃすね」
その予感はあたり、3日後には帰ってきた。
「たでーまー!! 今回は武器壊さなかったぜー!」
「武器無事」
「おかえりニャー! 武器さんよかったニャー!」
ルルルフの喜ぶ箇所も、ゴリハウスメンバーらしくなっている。
彼らの無事は当たり前という状態になっており、ゴルーダやモクレンも、その方が気楽なので笑顔を向ける。
「久しぶりだミャーーー!!」
ゴルーダとモクレンのうしろから飛び出した、濃い灰色の長毛カーチェ。
ルルルフの倍はある背丈、カーチェとしては超長身だ。
声は知っているけれど、知っている声で思い浮かぶ姿とは大幅に異なるため、ついルルルフはポツリと言葉を落としてしまう。
「……誰ニャ」
「ナナヤだミャー! 忘れちゃうミャんて、酷いミャーー、ってルルルフ……縮んだミャ?」
「ニャー!? ナ、ナナヤが伸びすぎたと思うニャ!!」
久しぶりに会った嬉しさより、変化に戸惑う思いの方が強く、感動が置き去りにされた。
「北の定期船が着く町で狩りしてたら、ちょうど会ってな。王都に行くっていうから連れてきた」
護衛としてナナヤがいれば問題ないにせよ、ゴルーダとモクレンがいれば道中の危険はさらに減り、ホルスは予定より早く王都へ来れた事を喜んでいたらしい。
「といっても、お引越しじゃミャく、遊びに来ただけミャけど!」
まだ、北の地域から離れるには心許ない状態らしく、一旦王都へ仕入れにやってきたホルスとナナヤ。
ホルスは街で買い物をした後、宿屋で過ごし、ナナヤはここに泊まるためやってきた。
「ナナヤがナーーナーーヤーーにニャってるニャ〜〜」
「そんなに伸びたミャ?」
成猫になっても、もりもり伸びたナナヤ。ゴルーダやモクレンと再会したが、彼らがデカいのは変わらずなので、差が縮まっていた事すら気にしていなかった。
おとなから「背が伸びたなー」なんて言われるのはよくある事なので、ゴリコンビから言われても、よくある掛け声と思っていたナナヤ。
いろいろ雑なのはそのままで、ナナヤらしさはちゃんと残っている。
「背だけじゃニャく、しっぽも伸び伸びニャね」
「そうなんミャ! 見てほしーミャ!」
そう言ってナナヤはしっぽを床に置くと、その体が持ち上がった。
「しっぽで立ってるニャーー!!」
「なんだそれ、すげぇ!!」
「超猫」
ゴルーダ、モクレンも初めて見たらしく、めちゃくちゃ驚いていた。
いろいろナナヤのカーチェ離れというか、超カーチェ化がすごいけれど、ナナヤらしい気がしてみんな笑う。
そして、3日ほど滞在し、仕入れを終えたホルスとナナヤは、再び北の地域へ帰っていった。
またこうして、王都に度々やってくるだろう。
友との短い再会ながらも、今度の別れはは寂しさがなく、次に会える楽しさを持つようになったルルルフ。
=・ω・=・ω・=・ω・=
いろんな人に支えてもらい生きている実感をして、自分もきちんと誰かの助けになりながら、けれど楽しさを忘れずに日々を過ごしていきたい。
そんなふうに思いながら、たまにしか書かない日記(月記?)を書き終えて閉じた。
「あ、故郷のイーディン村に、いろいろお伝えしようと思ってたの、忘れてたニャ!」
街に来て少ししてから色々知った事、みんなに教えなきゃ。と時折思い出し……
「ルルルフー、メシにするぞー」
「はいニャー!」
ゴルーダから声が掛かったので、ルルルフはトテトテと足を急ぎ部屋を出た。
村への手紙はまた今度。が、しばらく続いた。
=・ω・=・ω・=・ω・=
「ナナヤ、そろそろきちんとお手紙書きなよ」
「……ミャ」
「耳さげない。ルルルフだって、ナナヤからの言葉欲しいはずだし」
成猫となったナナヤ。ホルスからの甘やかしは減りつつあるが、ナナヤもダメ猫にならないよう、しっかり提案やアドバイスを受け止める。
「そうミャね。ルルルフからのお手紙、ナナヤ嬉しいミャ」
「うん。だから、ナナヤもルルルフを喜ばせよう」
「字、綺麗に書くの頑張るミャ!」
お手紙のやり取りを重ねているうちに、ルルルフは言葉を伝えることや文字が上手になっている。
自分もおとなだし、やれる事を増やそうと思って文字の練習を始める。
ルルルフのように、きちんと言葉で伝えようと気合を入れるナナヤ。
出す手紙の返事は、喜んでもらえる言葉がもらえるか、やっと書いたかと呆れの言葉をもらうかわからないけど、ナナヤも言葉を送って、お返事をもらいたいと、まだ送ってもいない手紙の返信を楽しみに、ペンを手に取った。
=・ω・=・ω・=・ω・=
——ルルルフとナナヤ——
離れていても、お互いにとって、いつもいつでも大切な親友です。




