表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/38

ルルルフ ▶︎採取ピクニック

挿絵があります。


 お休みの日の朝、寮の朝ごはんを食べて、前日に注文したお弁当を受け取り、カバンに詰める。

 採取道具を持って、準備が終わったので外に出ると、パイセーンがすでに門扉の前に居た。


「おはようございますニャ! お待たせしてごめんニャさい」

「大丈夫ニャッチ。まだ待ち合わせ時間前ニャッチ」


 気持ちが逸っているのか、待ち合わせの時間よりだいぶ前に支度を終えたルルルフ。

 実はパイセーンも同じで、待ち合わせ時間よりかなり前に、寮の前にやってきていた。

 そしてふたりは、近くの森へ採取に出かける。



=・ω・= ⸝⸝'ᜊ'⸝⸝=* ॑ᗜ ॑*=


「パイセーンさん、この森すごいですニャ! お宝のいっぱいですニャ〜〜!! 見たことない素材たくさんニャ〜〜!!」


 石をどけてみると、貴重な虫がいる。

 木の皮が目の前で剥がれたと思ったら、プルプルメープルの樹液が溢れてきた。

 草むらをかき分けたら、宝石までいかずとも高値で売れる綺麗な天然石が落ちていて……


「お、おう……。すごいニャッチな……」


 街からいちばん近いこの森は、レアアイテムなど出るはずもないくらい、初心者ハンターが採りつくしているような場所である。

 下手すれば、街の人も薬草の採取に、森の手前くらいまでは来るような場所だ。


「パイセーンさん! これ、ルルルフ見た事無いですニャ。何かわかりますかニャ?」


 そう言って差し出す物は琥珀。

 琥珀の中には、見たこともない生物が閉じ込められていた。


「オイも詳しくはわからないが、たぶん学者に渡せば喜んでもらえるニャッチ」

「わー、それなら嬉しいニャ! パイセーンさん、学者さん知ってるですニャ?」

「ギルドに伝手はあるニャッチ」


 次々に発見される珍しいアイテム。

 ルルルフはこの街に来てから、ちっとも採取に出掛けていなかったため、久しぶりの採取で、のびのび過ごしている。


――アネイゴさんが、ルルルフは珍しい品を採取してくることが、ややあると聞いていたが、ややではなく、これはドチャクソだと思うニャッチ……


挿絵(By みてみん)


 しばらく採れていなかったレアが、まとめてルルルフのところへやって来ているような雰囲気だ。

 しかし知らない土地のアイテム。これらは一般的に採れる物だろうと思って、ルルルフは採取を続ける。


「ニャー!? 初めて見たー! これはニャんだろっ!?」


――次は、どんなレアものニャッチか……?!


「パイセーンさん、たまごが落ちてたニャ!」

「…………ん?」


 大はしゃぎで、ルルルフはたまごを持ってきた。

 たまごはルルルフの半分より、ちょっと大きめくらいの大きさ。殻は光に当たると色が変わる、実に不思議なたまごだ。


「中身の見えないシャボン玉みたいなたまごで、かわいいニャー」


――オイはそんな卵、知らないニャッチ……。


 おそらくモンスターの卵であろうものだが、このあたりにいるモンスターの卵くらいはきちんと把握しているパイセーンは、見たことのない卵に混乱してしまうものの、オトナとして動揺しないよう冷静に振る舞う。


「ふむ、近くに巣のようなものも見えないし、そのたまごからは温度が感じられるニャッチね。中身は生きているようニャッチ。ちょっと、こいつの巣がないか見てくるニャッチ」

「はーいですニャ」


 特に何か言われなくても、付近で待機するルルルフ。

 たまごを採取かごに入れて、布をかけておく。


「今のうちに、採取した物、整頓しちゃおうニャ!」


 見たことのない物、馴染みのあるものを種類ごとに分ける。

 仕分けが終わった頃、パイセーンが戻ってくる。


「その卵はおそらく、親モンスターが運んでいる最中に落として気づかなかったニャッチな」


 この辺りのモンスターの卵ではないこと、それらしき巣もなく、このまま孵ればこのモンスターは、自然の摂理に則り淘汰されてしまうだろう。

 しかし、見たこともない卵で、ひとつ嫌な予感がするパイセーンは、たまごを持ち帰ることにした。


「採取した素材はどうするニャッチか?」

「あっ……」


 いつもなら村のみんなに渡せばいいが、今は街にいて渡せる知り合いが居ない。

 久しぶりの採取を楽しんだが、元の場所に戻しきれない物もあるので、どうしようかとうんうん唸る。


「それじゃ、買取屋に持っていくニャッチよ」

「わかりましたニャ。あ、このはちみつ色の石はパイセーンさんが学者さんにお渡しできますかニャ?」

「発見者はルルルフだから、ギルドに渡して名前を書かないとダメニャッチ」


 いろんな振り分けを再度パイセーンとして、一息ついたところで、ルルルフはお弁当を取り出した。


「はい、パイセーンさんの分ですニャ」

「ニャッチ?! オイの分……!?」


 寮のお弁当を渡すと、パイセーンは目を輝かせる。


「オイは、カーチェギルドの寮に入れなかったから、美味しいと評判の、寮のご飯が未食ニャッチ……まさかこんな形で食べられるとは……」


 しかし、お弁当は給料天引きのはずだ。


「街に戻ったら、お金を払うニャッチ」

「今日、お休みの日なのに、ルルルフに付き合ってくれたお礼ですニャ」


 ルルルフは採取をしたかったが、パイセーンはもしかしたら、お家でゆっくり過ごしたかったかもしれないのに。そう思うと、ルルルフにできるお礼はこのくらいである。


 こどもからご飯を奢ってもらうかたちではあるものの、ルルルフなりの精一杯を考えてくれた気持ちを、断るわけにもいかない。パイセーンはありがたく受け取った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ふっ…。ドラゴンライダー・ルルルフ誕生か…。 ブレスで加熱調理、空飛んで高速移動、ドド何十倍馬力で荷運び。夢が広がりますなぁ。(超妄想)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ