ルルルフ ▶︎新発覚。
ナナヤはこの国のトップハンターたちと、狩りに出かけてしまった。半月ほどで戻ってくるそうだ。
「ナナヤ、出世ニャのかニャ〜?」
友にとって良い話で、狩猫としての箔もつくそうだ。
ルルルフはニマニマしながら、今日の業務報告書を書いている。
「すごいにゃーよね、ナナヤ」
アネイゴも感心している。
パイセーンも同じ卓についていて、ネコーヒーをすすっている。
「あいつらが、狩猫を連れて行く事自体、レアだニャッチ」
「そうニャんですか?」
「基本、狩猫は人間のハンターのサポーターだニャッチ」
「はい。人間のハンターから見たら、カーチェたちは非力って学校で習いましたニャ」
報告書を書き終わり、提出したら雑談タイムである。
こういう雑談の時間も、知識や情報を取り入れる機会。ルルルフは業務時間並みに大切にしている。
「そうニャッチ。だが、ナナヤは人間のハンター並のパワーを持ってるニャッチ。まだ仔カーチェながら。成猫になったら、そこらのハンターと肩を並べられそうニャッチよ」
「えっ、ナナヤそんニャに強かったんですニャ?!」
「あぁそうか。村にいたら人間と比べる機会もなく、村のおとなたちも、なんか、力持ちだな。くらいにしか思わないニャッチな……」
パイセーンの評価にルルルフだけではなく、アネイゴも驚いている。
アネイゴからすれば、まだちっちゃなお子ちゃまの印象が抜けていないナナヤ。そんなうちに村を出たこともあり、今のナナヤがどのくらいかは正確に把握していなかった。
「へー……そーにゃーのね。ビックリにゃーよ」
「アネイゴさんも、ナナヤと狩りに行ってみるといいニャッチ」
その言葉を聞いて、ルルルフはアネゴは狩りが嫌いだと云う事を思い出して、アワアワしてしまうが、アネイゴはひとつ頷いた。
「そうにゃーね、今度行ってみるとするにゃー」
「あ、アネゴさん……狩りは……その……」
「あぁ、好きか嫌いかは嫌いにゃーけど、あたい割とプロのサポ猫にゃーよ。ナナヤの能力も見たいって好奇心もあるから、そこは気にしにゃーで」
「オイなんかより、ずっとすごいニャッチ」
サポ猫のパイセーンが、自分よりすごいと認めているアネイゴ。
仲間が傷つかないためなら、嫌いだって抑え込んで狩りに出るタイプだ。
メインは家政カーチェだが、たまにサポ猫出動もすることを知ったルルルフ。
「アネイゴさんのサポート受けるハンターは、生存率100%ニャッチ」
「すごいニャ……」
自分より大きな魔物たち、それらと対峙しているのだから、命の危険が隣にぴーったりとくっついている。
そんな状態で、生存率100%というのは、とてもすごい事だ。
狩りに出ないルルルフでも、その凄さは理解していた。
「あたいだって、ナナヤには負けるけど、力持ちカーチェの部類にゃーよ。危険に突っ込むハンターを引っ張り戻す力くらいあるにゃー」
「ニャ?」
人間を引っ張れる、という言葉に、ルルルフはつぶらな瞳をパチクリ瞬きさせる。
「……アネゴさんが、外国語ニャ言葉を喋った気がしたニャ」
「ルルルフ、気持ちはわかるニャッチが、オイもそのくらいの力業は出来るニャッチ」
「パイセーンさんは、人間みたいに大きいニャ。アネゴさんは、ハンターさんの半分未満ニャ」
ハンターは大柄な人が多いため、アネイゴが隣に並ぶと、本当に半分未満のサイズになる事が多い。
家政カーチェとして仕事をしていると、お家の子供や奥さんなどもいるため、アネイゴは成人な人間の半分くらいのサイズにはなるものの、やはり人間から見るとだいたい半分からそれより小さいサイズ。
つまり、自分の倍の大きさのモノを、引っ張る事ができる。
「……あ、あ、あ、アネゴさん、怪力ニャ……ニャ……ニャ……」
「今頃知ったニャッチか……」
カーチェギルドでは、割と有名な話。
同じ村出身なのに、アネイゴの怪力を知らなかった事を驚くパイセーン。
「ルルルフは狩りに行かにゃーから、知らなくても当然にゃーよ」
「でも、この間仕事道具と、ルルルフを担いだと聞いたニャッチよ」
「あれは、アネゴさんがオトナだからできると思っていたニャ」
こどもにとってのおとなと言うものは、なんでもめっちゃデキる。そんな印象である。
なので、アネイゴが何を出来ても不思議ではなかったようだ。
「アネイゴさんくらいのカーチェだと、仕事道具は持てても、おまえさんまでは持てないニャッチ。せいぜい手を繋いでゆっくり歩くくらいニャッチよ」
こうやって、色々学んでいくんだ。とパイセーンは教えてくれる。
「オイは料理が出来ないニャッチ。おとなだからって、何でもできるわけじゃないニャッチよ」
「それは、わかりますニャ。でも、ニャんか、アネゴさんは万能っぽく思えてしまっていますニャ」
「気持ちはわからんでも無いニャッチ。話が変わるが、ルルルフ明日休みニャッチか?」
普段の休みはどうしているのか、パイセーンに訊かれた。
明日はお休みだ。いつもやることがなく、寮の部屋でコロコロ過ごすルルルフ。
そんなお休みを過ごしていることを聞いて、パイセーンが近くの森に遊びに行こうと誘ってくれた。
「あんた、そこは街中の案内してやるんじゃにゃーの?」
アネイゴが呆れ交じりにパイセーンへ言葉を投げるも、ルルルフの目はキラキラと輝いて、お願いしますと元気よく返事をしていた。




