表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

きのこ ▶︎エプロン


=-ωー=っω-=っω・=


――翌朝


 寝坊がちなナナヤを引っ掻いて起こしたルルルフは、朝ごはんの支度をする。

 昨晩キノコをたくさん食べたので、朝は違うものを作ろうと、パンをブレッドケースから出して炙る。


「んミャ……こっ、この、においはっ!」

「こないだ見つけた、プラチナハニーのトーストだニャ」


 顔を洗って朝の支度をしていると、漂ってくる匂いに気づいたナナヤは、瞳孔がぐりんと丸くなりビックリ顔を出す。


「昨日のメキマツタケといい、今日のプラチナハニーといい、レア食材が食えるなんて、ナナヤ幸運だミャ」


 ルルルフは、自分では一切気づいていないが、通常の物より上等な品――レアアイテム遭遇率が、群を抜いて高い。

 学校の授業では、頻繁に採取へ行く事がないので、先生も偶然見つけた、と思う程度だった。


=・ω・=・ω・=・ω・=


 普段の食料は、採取に出かけるカーチェや、作物を育てているカーチェたちからのお裾分けで、あげたりもらったりで成り立っている。

 一応、お店もあるが、おとなたちは何かしらおまけしたりと、定価通りで売ることはない。

 そして、基本物々交換である。


 カーチェは、みんなで分け合う・助け合う精神が強いので、誰かが損をしないよう、気を配り合っている。

 食料を作れない畑仕事が苦手なカーチェや、採取が苦手なカーチェは、狩猫――ハンターカーチェとして村に近づくモンスターを追い払ったり、山に入り肉になる獣を狩ったりして、村の安全と食料調達に貢献している。

 皆、得意なもの・できるものを、惜しみなく行なう。


 そして、カーチェはとても優しい種族だと、人間にも伝わっている。

 人間がそういう習性を利用する可能性があるので、人間とカーチェで構成された総合カーチェギルドは、そういったことから警戒する組織がある。

 なかでも、カーチェギルドが持っている家政カーチェギルドは、カーチェにとって人気の職場である。


=・ω・=・ω・=・ω・=


「はい、ネココアだニャ」

「さんきゅーミャ」


 ネコーヒーが苦手なナナヤには、ネココアを淹れて渡す。

 ルルルフはネコーヒーとトースト、という朝の定番を楽しむ。


「今日の授業は、お裁縫だミャー……苦手だミャ」

「でも授業で、苦手・得意がわかるから、伸ばすことも、克服だって、できるようになるニャ」

「ルルルフは真面目だミャ」


 ナナヤは狩りが得意で、この村で1番の凄腕狩猫(ハンター)だ。

 まだ、子供なので学校に通っているが、修了したらハンターギルドに登録して、人間のハンターのお連れカーチェ(あいぼう)になる予定らしい。

 それが無理ならソロハンターにでも、と考えているようだ。


 狩り以外の生活面が壊滅的なので、学校には家事(せいかつ)を学びに行っているようなものである。

 汚部屋製造猫とルルルフに思われるくらい、生活力はそれなりに低いのだ。

 学んだことが活かされているのか、生活面の酷さは改善されているかは、ナナヤしかしらない。


「ルルルフは、真面目にコツコツ以外……要領良くシュバババーってのが、イマイチできニャーから」


 タスクで表すと、シングルタスクだ。

 マルチタスクを実行すると、どこかしらで失敗してしまうので、ひとつひとつ丁寧に行うことにしたようだ。


「ナナヤは狩り以外、からっきしミャ! お掃除が出来るルルルフはすごいミャ!」


 カーチェは、よく気がつくし、褒め合う。相手のいいところを、みんなで引き出し合う種族である。


「ありがとうニャ。ナナヤはおっかニャいモンスターを狩れる凄腕ハンターニャ! ルルルフには出来ニャーよ!」


 朝食を終えて、食器を片付けて、お裁縫道具を持って家を出る。

 ナナヤの家に行き、お裁縫道具を持ってくるように言って、ルルルフは玄関の前で待つ。


ドンガラ ガラガラ ガッシャン チリーン パリーン


 よくわからない、わかりたくない音が聞こえたが、5分後くらいにナナヤは出てきたので、音の正体は知らないふりをして、学校へ向かった。



「おはようニャー」

「おはミャー」


 教室に入り、みんなに挨拶をする。他の生徒のカーチェたちも挨拶を返してくれる。


「キノコ、おいしかったニャン。ありがとうニャン」

「いえいえですニャ」


 メキマツタケをお裾分けしたご家庭の中に、クラスメイトのコがいて、お礼を言われる。

 彼女は溢れんばかりの笑顔でお礼を言ってくれたので、とても美味しかったのだろう。ルルルフも笑顔になる。


 それから少しして、教員が教室に入ってくる。授業開始だ。


「今日の授業は、お裁縫です。さ、お道具を出してくださいニャニャ。前に作っていたエプロンの続きニャニャよ」


 お裁縫が得意なカーチェは、課題のエプロンをサクサク作り上げて、刺繍などの飾り付けに入る。

 ルルルフは、一針一針、丁寧に通し、慎重に縫い上げるため、得意な生徒に比べると進捗は遅めである。


「いたいミャー!」


 時折、派手に針を刺すナナヤの悲鳴が聞こえる。


「あミャー!」

「ミャギャッ!!」

「ミャアアァアァン!!」


=;ω;=;ω;=;ω;=


 午前中で授業は終わりだ。出来上がったものは友達と交換したり、家で使ったり様々だ。


 ルルルフは家で使う用のエプロンと考えていたので、ほつれが出ないよう、丁寧に縫っていた為、午前中いっぱい掛かかりつつ完成したものの、飾りのないシンプルな仕上がりになった。


 家で使うから、シンプルなもので構わないし、しっかり縫えている事を確認したルルルフは、自分にしては上出来だ! と鼻息をフスンと吐き出した。


「時間内に終わってよかったニャあ……」

「いっぱい刺さったミャ」


 本当は綺麗な刺繍なども入れてみたいところだが、ルルルフは刺繍を刺した事がないため、いつかの授業で習う時に覚えたかった。


「ルルルフ。エプロンあげるニャン」


 きのこをお裾分けして、お礼を言ってくれたカーチェがトテトテと近づいて、ルルルフにエプロンを差し出した。

 エプロンのすそには、ナナヤとルルルフがハイタッチしている刺繍が刺されていた。


「んニャ! こんニャ素敵なエプロンを貰っていいのかニャ?!」


 ルルルフの毛並みの柄が、綺麗な刺繍で再現されていた。

 授業中に刺し終えているのにも驚きだが、デフォルメされたルルルフとナナヤがとても可愛らしい。


「もちろんニャン! エプロンひとつでも、家事のやる気上がるニャン!」

「ありがとうニャ、ありがとうニャ」


 メキマツタケのお礼と言われ、エプロンを受け取ったルルルフは丁寧に畳んで、カバンにしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ネココアとネコーヒー!かわいい!
>=・ω・=・ω・=・ω・= ↑もうココでカワイイ(≧∀≦) そして気のせいかな… そこはかとなく散りばめられたモンハン要素(笑) 平和な世界で狩りが行われる? と? …もしかすると、この先は弱肉強食…
思いやり溢れる話で心がポカポカしました(о´∀`о) ナナヤとルルルフの刺繍エプロン欲しいです。←私も家事のやる気を上げたいです。笑 次のお話も楽しみです\(^o^)/
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ