表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/54

ヒトネコ族 ▶︎カーチェのルルルフ


――とある世界の、とある森の奥にある村



 そこの村には、ヒトネコ族とも呼ばれる種族の『カーチェ』が暮らしている。

 ここだけではなく、他の地域にもカーチェがいたり、ヒトキツネ族がいたりと、ニンゲンとは違う風貌ながらも、人語を使い生活を営む種族がたくさんいる世界である。



 カーチェは基本、働き者で、心優しく、穏やかな種族。


 村に住む、カーチェであるルルルフ。

 灰色ベースのアメリカンショートヘア柄。

 模様は濃い灰色をしているルルルフは仔猫……ではなく仔カーチェ――こどもに分類される年齢で、今は村にあるカーチェたちが営む学校へ通っている。


 お裁縫、採取、狩り、料理、他それらに付随する座学などなど、将来働くための勉強を、ルルルフや他の仔カーチェらはしており、今日もいつも通り学校へ通っていた。



 今日の授業も平和に終わり、帰路へつく。


 トテトテと歩いて、家を目指すルルルフ。


「今日の授業はちょっと難しかったニャ……後でしっかり復習して、わからニャかったとこ、明日せんせーに聞こうニャ」


 勉強を頑張るのは、学校を卒業するためと、大人になったらきちんと働くため。

 先生から認められると学校を卒業し、村の外に出ることができる。


 覚えられることをたくさん覚えようと、勤勉なルルルフは、帰り道も頭の中で勉強をしようとした。

 しかし後ろの方から、シュタタタタと足音が聞こえてくる。

 その足音は、ルルルフの隣でピタッと止まり、隣には仔カーチェが1匹現れた。

 シュッと手を上げて、ややドヤ顔である。


「ミャ! 追いつけたミャ!」

「あ、ナナヤ。先に帰ってたんじゃニャかったの?」

「トイレ行ってたミャ!」


 長毛で暗めな灰色の毛をした、カーチェであるナナヤ。

 この村では、親がいないカーチェである。

 ルルルフも両親はいないが、過去にはお互い両親はいた。

 ルルルフとナナヤの両親は、病気でこの世を去ってしまった。遺された家で、1匹暮らしをしているもの同士である。


 村のおとなたちは、引き取ろうとしてくれたが、気持ちだけ受け取り、両親の思い出がある家で、それぞれ暮らし続けている。

 周りのおとなカーチェたちは、何かと世話を焼いてくれるので、それらに甘えつつ、村での仕事もして過ごしている。


「ブツブツ言ってたけど、何かいたのかミャ?」


 ナナヤの問いかけに、ルルルフは今日の復習をしてたことを告げる。


「まだ将来何がしたいか、わからニャいけど、しっかり勉強しておかニャいとと思って、授業の内容思い出してたニャ。ルルルフは特技って言える何かを、持ってニャいから……」


 お裁縫が得意なカーチェは、ニンゲンの町でお針子として働くし、お料理や掃除が得意なカーチェは、家政カーチェギルドに登録して、ハウスキーパーやコックになったりする。

 ルルルフはしっかりハッキリと「これが得意だ」と声を大にして言えるものがわからない。とため息が漏れた。

 ルルルフの顔を覗き込んで、ナナヤが更に問いかける。


「ルルルフは、したい事がない(ミャー)なら、村で暮らしていくのかミャ?」

「ニンゲンの所で働いてみたいって、思ってるニャ。でも特技って胸を張って言えるのがニャいから、先生だってきっと困ってるニャ……。ルルルフを紹介しづらいんだと思うんだニャ……」


 狩りも、採取も、お裁縫も、お料理も、お掃除も、大工仕事も、釣りも、何もかも平均的に出来るけれど、「このコは○○が得意です!」と紹介しづらいと思われる自分。

 ルルルフ自身が先生だったとしたら、そんな風に思うため、耳がペタンと折れてしまう。


「んじゃ、人間の町へお試しに行ってみようミャ! 家政カーチェギルドにお願いして、お仕事体験ミャ!」

「そんニャ制度あったかニャ??」

「ないミャ。先生に『お試しをお願い』するんだミャ!」


 もし、職業体験をできるようになれば、カーチェたちもお仕事を決めやすいし、色々体験する事で、やりたい事の幅が広がる可能性もあるはずだ。とナナヤは鼻息荒く告げる。


「そんな事を思いつくニャんて、ナナヤはすごいニャ!」


 ルルルフは折れた耳をピンと立てて、拍手を送る。


「よーし、さっそくセンセーのところに、行くミャー!」


 もう、学校の授業は終わっていて、夕方な現在。

 お家に帰ったら、夕飯の支度をする時間になってるけれど、ルルルフとナナヤは1人……ではなく、1匹暮らし同士なので、夕飯の時間は自分次第。

 2匹は踵を返して、トタタタと学校への道に戻っていった。



「センセー、たのもーミャ!」


 先生たちが仕事をしている部屋に、ナナヤは突撃した。

 ノックなくバーンと扉を開けるナナヤに、ルルルフは後ろでワタワタしてしまう。


「おや、ナナヤ。ノックくらいしなさいにゃ〜」


 おっとりした声が返ってくる。

 ルルルフとナナヤにお勉強を教えてくれている先生は、白くて長い毛を持つカーチェで、フサ猫センセーと呼ばれている。

 先生に、「ごめんミャ!」と軽い調子で謝ったナナヤは、早速さっきの事を先生に話した。


=・ω・=・ω・=・ω・=


「ふむ、見習いカーチェとして、さまざまなお仕事体験かにゃ〜……面白い事を思いつくもんだにゃ〜」

「そうミャ! 1番得意なことが、1番やりたい事ではないカーチェもきっといるミャ! ヤル気と能力がバランスとれてミャいと、お仕事長く続かミャーと思うんだミャ!」


 先生は、目を細めて、ニンマリ笑って頷いた。


「そうだにゃ〜、総合カーチェギルドへ手紙を書いてみようにゃ〜。結果は後日教室でみんにゃ〜に言うから、今日はもう帰れにゃ〜」

「はいですニャ。よろしくお願いしますニャ」

「お願いするミャ!」


 ルルルフとナナヤは頭をペコリと下げて、学校をあとにし、再び帰路へ着く。


「上手く♪ いくと♪ いいミャッ♪ ミャッ♪ ミャー」


 スキップしながら、わくわくが止まらないナナヤは、口から漏れ出る言葉が歌のようにリズミカルだ。

 ルルルフも楽しみなので、しっぽがふりふり揺れていた。


「あ、ナナヤ! 昨日キノコをいっぱい採れたから、ゴハン食べていって欲しいニャ」

「ミャ! いいのかミャ?!」


 昨日、学校が終わって、山に採取へ行ったら、群生地を運良く見つけたので、キノコをモリモリ採取できた。

 ご近所さんにもお裾分けしたけども、まだ沢山あるそうだ。


 ルルルフは採取に行くと、たま〜に群生地を見つけるラッキーが起きる。

 こういう時に、ご近所さんたちに面倒見てもらっている恩返しをしている。

 ありがとうを返せるって嬉しい事ニャ。ナナヤにもありがとうを返せるニャ。と、ルルルフの心は弾んでいた。


「何のキノコ見つけたミャ?」

「メキマツタケにゃ!」

「んミャー! すごいミャ! ってかあの山にメキマツタケ生えてたのが驚きミャ!」


 メキマツタケは、大きくて美味しいキノコで、ニンゲンの町に売りに行ったら、いいお金になるキノコだ。

 形と大きさがいいキノコは、おとなたちに見てもらい、すでに渡し済みだ。

 

 ルルルフの手元に残った物は、きれいな形はしていないし、小さめなキノコたち。しかし高級食材には変わりなく、とても美味しいキノコなのだ。

 食卓に上がれば、テンション鰻登りな食材である。


=・ω・=・ω・=・ω・=


「ん〜ミャ〜〜い! 最高ミャ!」

「おいしいキノコでよかったニャ!」


 キノコ汁とキノコステーキに舌鼓を打って、幸せいっぱいな2匹。


「ふミャー、お腹いっぱいだと気持ちよく寝れそうミャ」

「それはダメニャ!!」


 ナナヤはソファに丸まって、そのまんま寝ようとしたから、慌ててお風呂に連れていくルルルフ。

 2匹でお風呂に入った後は、湯冷めしないようにしっかり拭いて、お布団へ入った。

 こうしてナナヤは泊まっていく事もある。


「おやすみニャさい」

「んミャー、んミャー」


 一足早く、ナナヤは夢の中。

 ルルルフも大きなあくびをしたあと、コテンと頭を枕に預け、夢の中へ旅立った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ずっと気になっていて遅ればせながら読み始めました!(`・ω・´) か、かわいい……! ふたりで頑張るルルルフとナナヤにきゅんきゅんです♡ ふりがなの「ミャー」など芸が細かいところも好きです(*´ω`*…
ルルルフとナナヤの両親が病で亡くなって、「うわーん!ツライ!悲しい!(´;ω;`)ウッ…」と思ったら、周りが優しい大人カーチェたちで、そして、そのふたりも >ありがとうを返せるって嬉しい事ニャ。ナナ…
ニャとミャがひたすらかわいい! リアクションにカワイイと叫ぶマークがほしいと、切実に運営さんにお願いしたい。笑 ルルルフの特技と言えるものがない、にただただ同感です。でも料理できるし世話好きだし、採取…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ