15匹目:第三者の存在
久々投稿です。かなりまちまちですがゆっくりと更新していこうと思います。
夜中。
月明かりに照らされて、街を二つの陰が素早く通っていくのを見ていたのはフクロウだけだった。
彼らが着ている黒い服は、完全に夜の闇と一体化し
姿を分かりづらくするのに大いに貢献していた。
やがて二人がたどり着いたのは大きな門のある学園。
大きな鉄格子の門を意図もたやすく乗り越え、彼らは学園内へとまんまと忍び込むことに成功した。
「…………気配は感じないな」
そう呟いたのはリョウだった。
「まぁ初日で片づいたら楽なことはないけど、それはそれでつまんないよな〜」
「俺的にはさっさとこの仕事を終わらせたいんだが……」
「なんでだよナギサ?」
「学校というものに慣れないんだよ。そもそも授業が簡単すぎてつまらない」
「それは俺に対する宣戦布告ととらえてよろしいのかな?」
「まーまーそんな話は、おいといてー」
両手を右から左へと動かす。
「とりあえず学内をグルッと回ろう。鍵は持ってるよな?」
「もち」
リョウがポケットから小さい板ガムのような鍵を出す。
お昼休みのあと、三人は校長室に呼ばれた。
そしてこの鍵を渡されたのだ。
この学園は玄関のある中央校舎にプラスして、校舎が左右分かれており、それぞれの左右の校舎に入るには外の玄関から入るかあるいは二階にある入り口から入るしか方法がない。
生徒たちの教室は一番大きな中央校舎にあり、左右の校舎には図書館やら実験室やらが設置されてある。
最新のセキュリティーシステムを投与して作られたこれらは、鍵はメモリースティックのような物を扉の横にある機械に接続して8桁のパスワードを打ち込むタイプになっている。
生徒教師が完全下校をしたのを確認した後、午後八時をもってすべての校舎の入り口、窓がオートロックされるシステムになっている。
時間は少々巻き戻る。
いろいろあったが、お昼休みになんとか集合できた三人は誰もいない屋上にいた。
ソウマが作った弁当を持参して。
「いろいろ調べたことを今から言う」
リョウはタコさんウィンナーを箸でつかんだ。
学校のセキュリティーについて手短に説明する。
「そんなこと、よく調べられましたね…。」
「“初めての学校で不安なんで、いろいろ教えてもらえませんか?”って言ったら割とすんなり……」
「モゴモゴ……」
「(女の教師を落としたな……)それで、どうするんですか?僕も学校内は回りましたけど、鬼の気配は感じられませんでした。夜に行かなきゃいけないのは当然ですけど、全員で行くのはやはり……」
「ガツガツ………」
「そこで、だ。二手に分かれて行くってのはどうかな?一日ごとに交代で、とりあえず今夜は俺とリョウ。明日は昴とソウマさん。」
「ムシャムシャ………」
「じゃあそれでいきましょう。もともと二人ペアだし。リョ………じゃなかった、に……兄さん?聞いてます??」
昴は自分の横で弁当をがっついているリョウにお茶を渡した。
「んがっ?んほぅ、ひいてふひいてふ」
口にご飯粒をいっぱいつけて頷くリョウ。
「彼から目を離さないでくださいね……。特に食堂前では。」
「ああ、鎖で繋いで連れて行くよ。」
「それにしても、デカい学校だよな」
退屈そうに欠伸をするリョウ。
そんなリョウを、ナギサは任務中だぞと戒める。
「だって気配をちっとも感じないんだもん。時間が経っているかもしれないとはいえ、多少残っていてもいいようなものを……」
「…………もしかしたら今までよりも力を持った奴なのかもしれない。自らの力を制御できるくらいの力を持った鬼の可能性も、なくはないぞ」
「じゃあ、人に憑依してる可能性も………」
歩みを止めて、リョウのほうを振り返る。
「高いかも、な」
「げぇー!そうなったらちょっと面倒だな………」
「ここ最近はそういう鬼は出てこなか……」
ナギサは急に喋るのをやめた。
歩いてる先を凝視している。
「どうした?」
次の瞬間、ナギサは走り出した。
「お、おい!ナギサ!!」
リョウも急いで後をついて行く。
ナギサはそのまま10メートルくらいのところで止まった。
「おいどうしたんだよ!?急に走り出して……」
「今さっき、ほんの一瞬だけだったんだが………気配がしたんだ。でもすぐに分からなくなった……」
「気配って、鬼か?!」
「いや、違う…………。邪気とかじゃなくて、力の気配……。強いて言えば…………人の気配が」
あたりをキョロキョロと見渡す。だがそこには人影どころか、動くものすらいなかった。
いるのは二人だけ。
「“人”って………。一般人の気配ならしなかったぞ。…………………てことは……」
「いや、俺の勘違いかもしれない……。本当に一瞬だったんだ」
「でもお前が一瞬でも感じ取ったんだろ?その時点で“気のせい”じゃないぞ」
リョウは長年ナギサと組んでいるから分かる。
ナギサの力を。
今まで、ナギサのそういう感のようなものが外れたことは一度も無かったのだ。
「………少し、注意したほうがいいかもしれないな。この任務……」
妙な静寂が辺りを包んだ。
そのころ、リョウたちのいる校舎とは違う校舎のとある廊下に、
一人の男が歩いていた。
「クク…………俺としたことが、おもしろ半分でちょっかいを出してしまった」
そういって、眼鏡の位置を中指で直す。
「あいつが黒田諒の兄弟とかいう奴か……。かなりの力を持っているようだな」
――おもしろくなってきたな――
ニヤリと不気味な微笑みを口元に浮かばせ、碧桐は姿を消した。




