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悪役令嬢に転生したけれど、とりあえず放置していいですか?  作者: シエル


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24/24

Ep.18 お茶会の始まりです





「ベティー! すごく綺麗だ!! よく似合っているよ!!」



お茶会当日————デイドレスを身に纏い、王城へ向かう為にエントランスにいる私を発見したお兄様が感嘆の声を上げた。



デイドレスは貴族の服飾文化において、私にとって大変……大っ変!ありがたいことに露出が少なく、過度な装飾も少ない。



…………まあ、それでも? 公爵令嬢、そして王太子の婚約者として多少は飾らなければならないから、シンプルイズベスト——とまではいかない。


…………いつか無地のドレスとか流行らないだろうか………?



今日のドレスは、お兄様がクロード様との熾烈な戦いを経て? 勝ち取ってデザインした物だ。



レースやフリルをなるべく抑え、首元まで覆われた長袖の白いブラウスに、スカートは深いロイヤルブルーの生地が上から重ねられ、内側には薄いグレーや白のフリルが覗く。


そして同じ色で、がっつりコルセット風にウエストが締め付けられている。



色も装飾も私の許容範囲内でデザインされているのは、さすがお兄様だと思う。



「ドレスを贈るのは叶わないのだから!!」と必死に訴えたクロード様が贈ってくれた宝飾品は、自分の髪と瞳の色を使った小ぶりのダイヤのピアスと、どーんと一つのエメラルドをプリンセスカットしたブローチ。


髪はハーフアップにされて、これまたクロード様が特注したエメラルドグリーンのリボンで結ばれている。



今日の私はまさに、お兄様とクロード様の合作と言っていいだろう。




「お兄様、素敵なドレスありがとうございます」



お礼を伝えると、お兄様はパァッと表情を明るくさせて抱きつこうと両腕を広げた瞬間、侍従に羽交い締めにされた。


いや、これから出掛けるのに崩れたら困るからね。



微笑みながら目線で『ありがとう』と訴えると、お兄様の侍従もにっこりと微笑み返してくれる。




「では、行ってまいります」



今日はお母様も出席するけれど、私は最終確認をしなければならないので先に出ることとなっている。


アッシュローズ公爵家の家紋が掲げられた二頭立ての馬車に乗り込み、王城へと出発した。





——————





「あら、ベアトリスちゃん。来てくれたのね」



王妃様の私室まで案内されると、既に着飾った神々しい王妃殿下が手元の書類から私へと視線を移した。



「王妃殿下、ご機嫌麗しゅう存じます」



簡略化した挨拶と共にカーテシーをすると、王妃殿下は「もう、未来の義娘なのだから『お義母様』と呼んでくれていいのよ?」と微笑みながら、どこかウキウキしているようにも見える。


『本当に義娘になれるかは、まだ分かりませんけれどね~』と心の中で思いながら、とりあえず「ふふふ」と笑って誤魔化す。



二人で席次や会場セッティング、茶菓子や導線など——まあ、諸々と確認し終えると、コンコンと扉を叩く音が聞こえた。


王妃殿下が返事をすると、現れたのはクロード様だった。




「母上、失礼致します」



親子であろうと王族なので、礼は尽くさなければならない。


クロード様は早々に王妃殿下へ挨拶を済ませると、今日もキラッキラの笑顔で私の傍に寄って来た。



…………いや、寄って来たというより『いた』。



足の長さの問題なのか…………いつの間に移動しているのか分からない内に、いつも私の隣にいるから最早驚かない。




「ご機嫌よう、クロード様」


「うん、ベアトリスもお疲れ様」



満面の笑みで答えたかと思えば、一歩後ろに下がって上から下までじっくりと私の姿を確認し始めた。



「くっ…………やはり、さすが義兄上だ……。ベアトリスに似合う物をよく分かっていらっしゃる…………」



拳を握り締めながら顰めた顔を背け、感心しているのか、はたまた悔しがっているのか…………謎ではあるけれど、とりあえずお兄様プロデュースの私のドレスは満足な出来だったらしい。



今日のお茶会には、クロード様は出席しない。


あくまでも令嬢と夫人の会————つまり『女子会』だ。



まあ、『女子会』というには少し……いや、かなり忍耐力と精神力が必要だけれど。



お茶会の時間となり、私と王妃殿下はクロード様たちと別れると既に招待客が入った会場へと向かった。


会場は本宮の庭園————普段、用がない人間が入ることはあまりない場所で…………ちなみにクロード様と出会ったあの時のお茶会も、ここで開催されていたりする。



王妃殿下と私が会場入りすると、全員が起立してからカーテシーで出迎えられた。



…………いや、皆さんが頭を下げているのは王妃殿下に対してだからね? 私にじゃないよ? と、誰にともなく弁明する。




「皆さん、顔を上げて下さい。本日はよくお集まり頂き嬉しく思います。ぜひ、心ゆくまで楽しんでいって下さいね」



王妃殿下の声に全員が頭を上げ、挨拶の言葉を聞くと再び一礼した。


もちろん、私も隣で皆と同じように頭を下げたりしている。



私と王妃殿下が共に椅子に座ると、招待客も自分の席に着いた。



丸テーブルの上にはシミ一つない真っ白なリネンが、これまた皺一つなくピシッと広げられており、その上には香りが強くない花が邪魔にならない程度に飾られ、スリーティアーズにはサンドイッチや茶菓子が美しく並べられている。



侍女さんが王妃殿下と私のカップに紅茶を注ぐと、他の使用人たちも高位の夫人、令嬢たちから順番に供していく。


お茶会の始まりの合図である王妃殿下がカップに口を付けたのを見て、皆ゆっくりと紅茶を嗜み始めた。



…………いや、お茶を飲むにも色々作法があって、(つくづく)貴族って大変だなあ……と思いながら、私も静々と紅茶に口を付けた。



ここからは歓談タイムだ。



同じテーブルの人たちと会話を楽しむも良し、別の席にいる友人知人と話すも良し。


大抵の夫人や令嬢たちは社交の一環として情報交換をしたり、娘を伴って年頃の子息がいる夫人へ挨拶という名の婚活をしたりする。




「ベアトリス嬢は何を頂くのかしら?」



他のテーブルの確認&観察をしていると、王妃殿下から問い掛けられた。


一応公の場だから、いつもは『ベアトリスちゃん』呼びの王妃殿下も今日ばかりは『ベアトリス嬢』と呼ぶ。



それはいいとしても……何故、私が何かを食べる前提なのだろう?


いや、食べるけれどね? 勿体無いし。



それを分かっているからだとは思うけれど、まるで食いしん坊みたいに思われませんか?




「そうですね…………では、サンドイッチを」



私がそう答えると王妃殿下の侍女さんがスッと淀みなく動いて、スリーティアーズから一口サイズのティーサンドイッチをいくつかお皿の上に載せてくれた。


「ありがとうございます」とお礼を伝えると、彼女は軽く一礼をする。



隣に座っている王妃殿下はにこにこと笑みを浮かべながら私の方へ顔を向けており、同じテーブルにいる他の夫人や令嬢たちからの視線をヒシヒシと感じるんだが…………。


注目されながら食べるという羞恥プレイを終えたと思ったのに、「次はこれはどうかしら?」と別の物を勧めてくる。



いや、食べられるし、好きだけれど!! 視線が痛すぎる!!



私は視線に気付いていませんよ~という風を装って、とりあえずお皿に載せられた分は無心でもぐもぐと食べる。



同じ席を共にしているのは、アッシュローズ公爵夫人であるお母様とシュバルト公爵夫人、娘のナタリア嬢、そして…………シュプリーム子爵夫人とアイリス嬢の計五名————。



王妃殿下と同じ席に子爵家を置くのはどうかと思ったのだけれど、今回伯爵家以下はおらず……アイリス嬢は特別に『聖女』枠として招待されている。


それ故、ここに置くしかなかったというね…………。



口直しの紅茶を口に運びながら、そんなことを考えていた。




「——シュプリーム子爵令嬢、紅茶のお味はいかが?」


「は、はい。とても美味しいです」




お母様が、輪に入れずにいたアイリス嬢へ話を振った。



身分が下位の者から上位の者に話し掛けることは許されないからね。







誤字報告ありがとうございます┏○ペコッ

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― 新着の感想 ―
王妃様かな?の台詞、 「ベアトリス嬢は何を頂くのかしら」は間違いかと… 「ベアトリス嬢は何をめしあがるかしら」か「ベアトリス嬢は何をお食べになるかしら」が適切かと。 いただくは自分が食べるとき、めしあ…
えっとこの国では子爵家は下級貴族で、公爵家は上級貴族ってことで お茶会でその垣根を超えて出会うことは無いと説明されていたのに、 いきなり同じテーブルでのお茶会が開かれてるんですが・・・
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