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「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚  作者: きぬがやあきら


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デート/レオノール視点 2

 勢いをつけて、街の通りの中央を颯爽と歩き出した。


 その背をクラウディオが穏やかな目で追う。


「ずいぶん急だな。目的があるのか?」

「はい、一旦ざっと把握してきますので、ちょっと待ってくださいね」


 言うが早いか、レオノールはクラウディオを置き去りにする早足でメインストリートを端から端まで往復した。


 一度ならず二度三度と行き来してようやく足を止めると、ガックリと項垂れる。


(ダメだ。早すぎて、まだお店がやってない……)


「端から見て回りましょうか。ブラブラしに来たんですし」


 クラウディオのもとに戻ると、肩で息をしながら取り繕う。


「目当ての店がまだ開いていなかったのか? この通りの路面店は、大抵9時以降でないと開店しないからな」


「……ですよね」


 誤魔化そうとしても、すっかりお見通しだ。


 肩で息をしながら苦笑するレオノールに、クラウディオはわずかに口元を緩めた。


 改めて見直せば朝の市場は、まだ開店準備の最中だ。


 荷車の車輪が石畳を軋ませて忙しなく行き来しているし、並んだ木箱の中にはまだ包み紙にくるまれた野菜が眠っている。


「せっかくの早朝だし、目的は買い物だけではないのだろう。先に別の目的を済ませばいい。他に何をするつもりだった?」


「んと……まずは買い物で装飾品を見たら、お昼ご飯の後は観劇か水辺を散歩して、締めはお酒を……」


 尋ねられて、コールヴァン推薦のデートコースを暗唱した。


「それは、本当に君の計画か?」


 すると鋭く指摘を受けて、レオノールは続きに詰まる。


「いや、否定するつもりではないんだ。だがどうも君らしくない気がして」


「私らしくないですか?」 


「君の嗜好を理解したいと言っておいてなんだが……君は酒や装飾品にはさほど興味がなさそうに見えたから」


 クラウディオの察しが良いのか、レオノールの発言があからさまに不自然なのか分からない。


 けれどクラウディオがよくよくレオノールのことを考えていてくれるのだけは分かる。


 クラウディオの指摘は大正解だ。


 酒や装飾品にはさほど興味がない。


 レオノールにとって普通の酒ならジュースと同じだし、装飾品はすぐに壊してしまう。


 クラウディオの求めているものとコールヴァンのデートコースはどこかズレている気がする。


 デートらしい雰囲気は出したいけれど、クラウディオはレオノールを知りたがっているのだ。


 せっかくの気持ちを無下にして、他人の受け売りを実践するのも違う気がしてきた。


「せっかくなので何かデートっぽいことをと……ない知恵を絞ってみたんですが、慣れないことはするもんじゃないですね。すみません」


 素直に非を認めて謝罪すると、クラウディオはあからさまに表情を固くした。




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