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「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚  作者: きぬがやあきら


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クラウディオの提案 1

 狩猟会が昼に差し掛かる頃、レオノールはセレスと合流して魔獣退治に向かった。


 間一髪でクラウディオを救い、魔を退けたところで刺客の襲撃に見舞われた。


 アルヴァロを庇いきれなくて、うっかり毒矢に当たってしまい……


 次に目を覚ました時には、ベッドに横たわっていた。


 丸一昼夜眠り続けていたらしい。


 ダメージを受けてから回復するまでの経過は、今までと概ね一緒だ。


(うーん、私もヤキが回ったかなぁ。一般人を庇いながら戦うのって、案外難しいものね。それにしても今回のはかなりの猛毒だった。アルヴァロ王子が食らったらひとたまりもなかったわね……)


 幸い、体内を巡っていた毒の気配は、綺麗さっぱり消え去った。


 今や体調は万全、で完璧な回復状態にある。


「もうっ……! レオノール様、何をなさってるんですかぁ!」


「ああ、メリッサ。見ての通り、トレーニングよ。色々と(なま)ってるからさ」


 アルヴァロ暗殺未遂が起きてから、今日で5日が経過していた。


 なんでも、驚異的な回復力が周知されてはならないとのことで、レオノールは自室への引きこもりを余儀なくされている。 


 退屈と体力不足を懸念して、レオノールは絶賛筋トレに励んでいる最中だった。


 ただし両足はベッドの枠に引っ掛けて、上半身を持ち上げる運動で筋肉を鍛えている。


 ベッドの枠はメリッサの身長ほどはあるから、上半身を持ち上げていない時は枠に足でぶら下がっているように見える。


 無作法さに驚いたのだろう。


「なるほど、トレーニング。まるで鯉の滝上りのようで……じゃなくって、お召し物が! 丸見えですよ」


 病人を装って引きこもっているので、身につけているのは寝巻きだ。


 ぶら下がって頭が下になっているから袷が全面的に開いて、腰紐から下の下半身が露出している。


「あらあら。これは失敬、目の毒だったわね?」


「いいえ、スラリと伸びた長いおみ足に、ぎゅっと引き締まったウエスト……。惚れ惚れしますが、そう言うことではありません。誰かに見られたらどうなさるんです」


 メリッサは毒矢事件の後、より一層責任感が増したように見えた。


 終始態度は控えめだったのに、はっきりと主張をするようになった。


 レオノールが毒を盛られて錯乱した姿を目の当たりにして、何かしら心境の変化があったのだろう。


「誰も見ないよ。そのための自室療養でしょ。メリッサさえ目を瞑ってくれれば大丈夫」


 言いながらもレオノールは続きを諦める。


 誰にも見られる予定はないが、リュシエンナが目撃したら卒倒ものだろう。


 足で枠にぶら下がったまま腕を頭上ーー床の上へと伸ばし、後転の要領で身体を反転させて着地した。


 見事なフォームで立ち上がるや否や、ふう、と息を吐く。


「……まあ、お見事な」


「やっぱり身体を動かすとスッキリするわね」


 ぽつり、とメリッサがこぼした本音が嬉しくて笑いかける。


 メリッサはしまったというように口元を手で押さえた。


 困りつつもメリッサが微笑み返してくれる。


 と、その背後で護衛として控えていた騎士が控え目にドアを叩いた。


「お見舞いのお客様がお見えです」



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