表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚  作者: きぬがやあきら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
59/90

刺客 1

「危ない!!」


「レオノールどの……っ!」


 レオノールの手が掴んだものは矢だと、クラウディオたちが気づいた時にはもう遅かった。


 レオノールは襲い来る3本の矢のうち、1本を左手で払う。


 もう1本はアルヴァロの胸元を強引に掴んで引き倒し、避けさせた。


 その弾みで体勢を崩したせいか、避けられぬと悟ったのか。


 3本目の矢は地に伏せたアルヴァロを庇って左肩に受けた。


 全ては騎士たちが剣を抜くための一瞬に起きたことで、誰にも止められなかった。


 突如として、目前に突きつけられた現実が全てだった。


 うずくまるレオノールの肩には鏃が突き刺さり、ブラウスに赤いシミがジワジワと広がっていく。


「レオノールッ! 全員警戒体勢を取れ!!」 


 クラウディオは血相を変えてレオノールに駆け寄った。


 アルヴァロを庇ったのだから標的はアルヴァロの可能性が高い。


 しかし、刺客を探している場合ではなかった。


「レオノール、無事か!?」


 矢は急所を外れているし、矢傷ならセレスがきっと治療してくれる。


 クラウディオは自分に言い聞かせるようにして、レオノールの横に膝を突いた。


 様子が知りたくて、背中に手を置く。


「触らないで!!」


 途端、鋭い叫びを上げて、レオノールはクラウディオの手を振り払うように身体を(よじ)った。


 レオノールから拒絶されるとは、思いもよらない。


 たちまち金縛りにあったように、クラウディオは動けなくなった。


「これは、毒矢です。セレスを、呼んでください」


 クラウディオとアルヴァロ、双方の接近を阻むように片手を上げて動きを制す。


 顔を上げたかと思うと、地に尻をついたまま、はあはあと肩で息をした。


 刺さったままの弓矢が痛々しい。


 毒には耐性があると昨晩話していたが、辛そうだ。


「いるよ、レオ。大丈夫、一人は拘束した」


 いつの間にか、すぐ傍にはセレスが控えていた。


 レオノールの呼びかけに応じて、進み出る。


「流石。……よかった。じゃあ、残りは――」


 言い切る前に、レオノールの喉がひゅっと鳴った。


 肩に刺さった矢の付け根が脈動し、白いブラウスに滲む朱がじわりと広がる。


 セレスは躊躇いなく肩を抱き、ふらつく上体を支えた。


「矢に、放った奴の“残り香”が残ってる。思念を追って」


「分かってる。抜くから、じっとして」


 片膝をつき、グッと八束を握る。


 言葉のやり取りで、レオノールが何をさせようとしているのかは分かる。


 だが、それをどう実行するのか。


 クラウディオには知る術がない。


 《《あの》》アルヴァロでさえ、レオノールとセレスの間に流れる空気に圧倒されて沈黙している。


 アルヴァロはレオノールに庇われた上、痛手を負わせたと分かり、なんとも情けない顔をしていた。


 きっとクラウディオ自身も、似たような状態に違いない。


 アルヴァロの様子を確認し、目を戻したくらいの瞬く間に、事態は進行していた。


「うっ」と短い呻きと同時に、弓矢が空中に浮き上がった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ