狩猟会 3
飲み物を片手に談笑し、イベントの始まりを待っているようだった。
クラウディオはレオノールの言いがかりには付き合っていられないとばかりに、席を立った。
白のハイネックシャツを身につけブーツを履きこなし、上着は襟付きの青い上着。
その腰には革ベルトにナイフを挿してあり、背中には弓矢用のケースを背負う。
う~ん、今日も安定の格好良さだ。
”狩人のクラウディオ”は初めて見る姿だが、かなりイイ。
めちゃくちゃ格好良くて、クラクラする。
割とがっしりとした体格なのに、ウエストのラインは引き締まって見えて大層、魅惑的だ。
しかし、今は見とれている場合ではない。
レオノールに付き添っているメリッサも、ここでは味方になってくれない。
ただ困ったように隅のほうで佇んでいる。
妃は狩りに参加しないのが常識だと分かっているからだ。
自力で何とかしなければならない。
廊下へ回ったクラウディオを追うと、幸運にも出口のところで足止めされていた。
「待ってください、クラウディオさま……」
人目につく場所では、つつがなく王太子妃の姿で振る舞わなければいけない。
走り寄って捕まえるわけにもいかず、レオノールは精一杯お淑やかに早歩きをした。
「何故です? どうして妃殿下は狩りに参加されないのですか!?」
足止めをしている奇特な人物はクラウディオに、ちょうどレオノールと同じような抗議を申し入れていた。
クラウディオは一呼吸ためらった後、「女性だからです」と簡潔に告げてやり過ごそうとしている。
クラウディオと争うその人物は誰あろう、使節団の筆頭、アルヴァロ王子だ。
アルヴァロも気合を入れた、立派な狩服で装っていた。
森の緑に倣ったダークグリーンの上下で、肩から太ももの辺りまである同色のケープを羽織っている。
しかし華やかな帯剣に帯飾りなどは、人目を引く。
獲物にも察知されやすいのではと推察されるが、腕に自信があるのだろうか。
「おはようございます、アルヴァロ王子。昨日はよく眠れましたか」
ともかくこの、頼もしい支援者を味方につければクラウディオを説得できるかもしれない。
クラウディオ越しに声をかけると、彼の注意はすぐにレオノールに向いた。
「おはようございます。妃殿下。今日の装いも素敵ですね。実のところ昨晩は興奮のあまり眠れませんでした」
アルヴァロ王子は大仰な仕草で額に手を当てると、今まさにクラウディオと言い合っていたとは思えないほど、朗らかに笑う。
「けれど本日は妃殿下と共に狩りができると思い、心より楽しみにしていました。妃殿下は参加なさらないのですか? ご勇姿を間近で拝見できると期待していたのですが」




