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「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚  作者: きぬがやあきら


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34/43

夫の寝室 1

「まるで、魔法のようです。今のはどのように……いいや、これこそが女神の御技! この羽飾りは国に持ち帰り、王家の宝とします!!」


「元々アルヴァロ様の持ち物ですから、どうぞ、ご随意に。どうでしょう、これで満足していただけましたか?」


「満足などと、私は先ほどの自分が恥ずかしい。愚かな私を、どうかお許しください」


「許すも何も。では引き続き宴をお楽しみください。お酒は楽しく飲みましょうね」


 アルヴァロは受け取った羽飾りを、愛おしそうに掲げている。


 コクコクと夢中でうなずき、満面の笑みだ。


 いや、笑みを浮かべつつもどこか恍惚とした陶酔の中にいるようで不気味だ。


 会場中は未だ拍手が鳴り止まない。


 一見和やかな光景ながら、穏やかでない心境でクラウディオはその光景を眺めていた。


(これが女神の御業……? いいや、違う。レオノールは女神ではなく勇者だ)


 胸が奏でる、ざらつくような雑音を振り払うように、無理に別の方向へ思考を傾ける。


 どちらにせよ、アルヴァロとの飲み比べが立ち消えて、クラウディオの面目は保たれる形になった。


(まさか、そのために……? そんなはずは)


 本気で競うつもりはなく、互いに痛手を負わないうちに降参するつもりだったが、敗北は気持ちのいいものでもない。


 機転を利かせたのかと疑問を抱きながらも、そんな利口な女だろうかと自分の考えを否定する。


(いや、偶然だろう。単に思い付きで行動したに違いない。あんなことができるという自慢かもしれんーーだが、もし助け舟を出されたなら)


 ……礼を、言わねばならないだろうか。


「クラウディオ様のグラスには、《《私が》》お注ぎしますね」


 レオノールを見やれば、アルヴァロの横を回り込んでいた。


 ワインボトルを傾け、屈託のない笑顔で立っていた。


 それは、給仕の仕事だ。


 言おうとしたが、流石にそれは口にできなかった。


 礼も労いも、指導ですら素直にできないまま、クラウディオはレオノールによってなみなみに満たされた杯を傾けるのだった。



 


 ***





「ふあ……」


 夜も更けて、宴は盛況のうちに幕を閉じた。


 アルヴァロとの飲み比べの代わりに見せた余興を皮切りに、場は和やかな歓談に包まれた。


 しかしレオノールの役割はそれで終わったわけではない。


 酒を供して回ったり、挨拶を受けたりとせわしない。


 ようやく解放されて、湯浴みを済ませると、もうあくびは止まらない。


「早くお休みになりたいですよね。今お髪を乾かします。お先にこちらをどうぞ」


 メリッサがティーカップに温かいお茶を注ぎ、差し出してくれる。


 蜂蜜が溶けた甘いハーブティーの香りが、鼻腔にふわりと広がった。


「明日も早朝から予定が入っておりますから、どうぞゆっくりとお休みください」


 メリッサは手早く寝支度を整え、退室した。


 レオノールはひらひらと手を振って見送り、扉が閉まるや否や部屋の中央にあるベッドへ突進した。


 綺麗に整えられた掛け布団の上に、そのままダイブする。


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