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結婚式 1

次にくるライトノベル大賞ノミネートありがとうございます。

新章、楽しんでいただけますように!


 可愛いカフェにウェディングベルが鳴る。

 

 今日のカフェ・フローラは、大理石で作られた神殿だ。

 白銀のリボン、大輪の薔薇、たくさんのベル。結婚式仕様に飾り付けられている。


 丸い小鳥が『ピピピピ〜ッ』と結婚式の曲を奏でている。


 妖精がたくさん集まってきた。今日がお祝いの日であることがわかるのか、羽をパタパタ羽ばたかせ、金色の光を私に振りかけてくる。


「おめでとう、リティリア」


 私より涙目なダリア。

 貴族ではない彼女は、中央神殿で行われる私たちの結婚式には参加できないけれど……。

 仕事仲間、友だち、もう家族のようにすら思える。

 ベールを翻し、ダリアと抱きあう。

 どうしてもこの場所から、新しい人生の一歩を歩み出したかった。


「ありがとう、ダリア」


 魔術師団長という地位にいるから、本来であれば、あの扉の向こうで祝ってくださるはずのオーナー。

 でもオーナーは、カフェ・フローラから出たら子ども姿になってしまう。


 だから、この場所で結婚式に出向く私を魔術師団長の制服姿で見送ってくれることになった。


「オーナー……今まで」

「はは、明日からもこの場所に出勤するんだろう? 照れくさいから止めてくれ」


 オーナーが、微笑む。

 出会った当初、儚く消えてしまいそうだったオーナーは、今は以前より顔色も良い。


「リティリア……」


 優しい声、大好きな声。

 振り返ると大きな銀色の薔薇のアーチの向こうで騎士団長様が幸せそうな笑みを浮かべている。


「アーサー様」


 これから先、長い時間彼とともに生きていくのだ。――いつか増えるであろう家族とともに。


 銀色の薔薇で作られたアーチは、フェイセズ様が作ってくださった魔法の入り口。


 このアーチをくぐれば、カフェ・フローラから王都の中央神殿の控え室へひとっ飛びだ。


 アーチの向こう側から手が差し出された。

 その手を掴めば、強く引き寄せられ、ほんの少し床が揺らぐ感覚がする。


 その直後、鍛え上げられた体に抱き寄せられる。


 ピンクの音符がぶつかってくる。ポンポンポンッと音がして、いつもの服からウェディングドレスに着替えていた。


「このドレスは……」


 見たことがある。このドレスは、魔女様の家の扉を開いたときに姿を見た魔女様の……いや、本来あったかもしれない未来の私の姿に近かった。


 長いベール、白いドレス。

 でも、あのとき見た『私』より、今の私の瞳の色はまだ薄い。


 ――カイルとフローラ。

 未来から来た私たちの子どもたちが未来を変えてくれたからに相違ない。


 この未来の先では、少し早く会えるはず。

 その意味は……。

 ほんの少し頬が火照ってしまった。


 そのとき、私を抱き締める腕の力が緩んだ。


「さて、なんとしても参列してもらわねば」

「え……?」


 私から離れ、騎士団長様が虚空に未だに残る魔法陣に手を突っ込んだ。


 カフェ・フローラからは薔薇のアーチに見えた転移の魔法は、こちらから見ると魔法陣だ。


「わ……わわ!?」


 引き寄せられたのは、先ほどカフェ・フローラで私たちを見送ったオーナーがこちらに転げ込んでくる。


 彼の姿は瞬く間に縮んでいく。


「フェイセズ殿、頼んだ」

「ええ、お任せください!」


 シャシャシャと紙に鉛筆を走らせる音が聞こえる。

 魔術師の制服が下に落ちる前に、ピンクの音符が式典に相応しい衣装を作り上げる。


「……留守番で良いと言ったはず」


 直後、三つ揃いの白いスーツに身を包んだ子ども姿のオーナーが私たちをあきれ顔で見上げていた。

 

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次にくるライトノベル大賞2025ノミネートありがとうございました!
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