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Dog tag  作者: 七緒湖李
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人身売買

 まだなにかあるのか、というようにブルーが話を促す。

 ヘリングがライから引き継ぐように話し出した。

「わたしが大都で働きだした頃、似たようなことが大都でも起きたのです」

「なんだって?」

「行方不明になるのは、戦争で夫を亡くし寡婦となった女性であったり、田舎から出てきた若者だったり、孤児院で暮らす子どもであったりですが、共通するのは行方が分からなくなっても、そう騒ぎ立てられない者、そしてなおかつ見場がよく健康体である者でした」

「まさかいなくなる前、彼らも仕事が見つかったと――」

「はい、そう言っていたようです」

「いや、だが子どもは仕事といっても……」

「養い親が見つかって引き取られたり、商家の小間使いとしてもらわれたりということでした。仲介者がいたようなのですが、その者を探しても見つからず、子どもが連れていかれたあとの、所在の確認はできませんでした」

「仲介者まで行方知れず?……いや――」

 ブルーがはっとしたように顔を上げた。

「まさか人買いか!?」

 ヘリングが一瞬眉根を寄せ、厳しい表情のまま返事をした。

「当時もそうであろうと言われていました。ただ行方不明者が増えて、世間に知られ始めたとたん、ぱったりと事件は起こらなくなりました。そして不明者が見つからないまま、事件は迷宮入りしたのです」

「未解決なのか」

「はい、残念ながら。しかし子どもの仲介者の通り名はわかっています。そしてその名は当時、大都で仕事を探している者たちにも知られていました。特徴まで一致していたので、子どもの引き取り手を探す仲介者と、職探しをしている者に仕事の話を持ち掛ける斡旋者は、同一人物であった可能性が高いです」

「名前は何というんだ?」

「エルシブです。性別は男ですが、いつも目深にフードを被っていたらしく、はっきりとした年齢まではわかりません。声からして30代から50代だろうということでした」

「エルシブ……聞き覚えはないな――しかし当時の捜査状況をよく知っているな、君は」

「わたしは大都長の護衛になる前は、町の警備人でしたから。仕事中のわたしの姿がたまたま大都長の目に留まり、護衛官として引き抜かれたのです」

 そうだったのか。

 ロカはヘリングが大都で暮らすことにしたのは、護衛対象が大都にいたからだと思っていた。いや、いま気にするのはそこじゃない。

 ロカが気を引き締めたところで、またしてもブルーが質問をした。

「ヘリングの話をふまえると、つまり……ロスロイでの行方不明者も、いなくなる前にエルシブの名を口にしていた?」

「ヘリングの話じゃ、大都ではエルシブ自身が行方不明者に接触していたらしいですが、このロスロイじゃモヴェンタ・エレクの夜会に参加した町人が消えています。彼らは貴族や有力者から直接声をかけられ参加を決めているので――」

「ならば大都の事件とは別物ということか」

「わかりません。消えた人間の境遇やタイプが似ているのでこうも推測できます。エルシブに大きな後ろ盾ができたと」

「それがモヴェンタだと?」

 ライが沈黙し、そして答えになっていない話を始めた。

「戦後、敗戦国や戦場となった場所に人買いが多く表れました。副町長もご存知でしょう」

 ライの突然の話題転換にブルーは戸惑う様子を見せながらも頷く。

「負けた国は勝った国に搾取されるので、貧しさから食うに困り、女こどもが売られたのです。容姿が整っていれば金持ちのもとへ、違っても娼館送りです。売られた先での扱いはそれは酷いもので、碌に食事も与えられず衰えて死んでいったり、人のように扱われず責め殺されたりした者もいると聞いています」

「ああ、頼る者のいない若い娘も、自ら身売りしているとあのころ問題視されたな」

「はい。それから戦災孤児も攫われていたようです。こども専用の店もありましたから」

 戦災孤児、と聞いてロカは自分もそうであったためわずかに目を細めた。

 ライと出会ってしばらく後のあたりから、ロカの記憶はあるが、それ以前はとてもあいまいだ。家族のことはもちろん、ライに拾われたときのことも、どうやって彼に出会ったのかも、じつは覚えていない。

 戦争で家族を亡くしたことがショックだったからだろうと思う。

 ただライと出会った直後は、ライや彼の仲間をひどく警戒していた気がする。実際、今でも彼らから、「最初、全然なついてくれなかった」、と笑って言われるくらいだ。

 世界でたった一人になった不安ななか、見知らぬ大人に囲まれて、簡単に気を許すわけがない。ロカはずっとそう思っていたが、なぜか閃くように頭に浮かんだ。

 ライたちから一刻もはやく離れ、一人で生きていくために、仕事や金、住み家、そんなものを必死に手に入れようとしていたのは――。

(俺はもしかして人買いに狙われていた?)

 だから保護してくれたライやその仲間をなかなか信用できなかったのではないか。

「世界戦争でこのフォルモサ国は勝ちました」

 ライのよくとおる声にロカははっと我に返った。

 記憶がないのに考えても本当のことはわからない。ロカは話を聞くことに集中しなおした。

「流した血の数は敗戦国よりはるかに少なく、戦で焼けた村や町も国境近くがほとんどです。戦死者がいたとはいえ、国民はそこまで貧しさにあえぐことはなく、順調に復興していく。そして人買いたちは買った人間を金のある国に連れてきました。そちらのほうが高く売れるからです」

「つまりこのフォルモサ国にも人が売られてきたと?だが我が国は世界に向けて、非人道的な行いを批判してきた。人身売買を固く禁じ、罪を犯せば長く牢獄から出ることはできない」

「売買ではなく、使用人や小間使いを召し抱えるのであれば、罪には問われません」

 ブルーが目を見開いて絶句した。

 ライはため息をつきながら右手で顔を撫でおろした。

「厳しい法を制定しても、必ず抜け道を見つける者が現れる。上流階級の者たちが金にものをいわせて、人を買っていたのは事実です。傭兵時代、人買いとやりあったことがあって、その頃にいろいろと調べましたから。戦争が終わってこれだけたてば、敗戦国も国力が上がって、人の暮らしも持ち直したでしょう。売買される人間は減ったはずです。それでも人身売買がなくなることはない。人の欲とは恐ろしいものです。売られる人間が足りなければ、騙してでも連れてくればいい。そんな発想が出てもおかしくはない」

「では、行方不明の者たちは……売られたのか?」

 信じたくはないという様子でブルーはライに質問をした。

 話がきな臭さを増すにつれ、ブルーの顔は青ざめていくようだ。

「まだ確証はありません。ですが怪しい。それにモヴェンタの開く夜会で、上流階級の人間と町人が出会い、後ろ盾を得たり仕事を得たりと、そういう健全な出会いをしている者も確かにいます。だからこれは一部の貴族や有力者しか知らないことではないかと。夜会に呼ばれた町人は、本人の意思に関係なく商品とされ、貴族たちの品定めのあと、仕事や金といった餌で釣りあげる。まぁ、攫うつもりの町人と、まさか直接交渉もないでしょう。そこで出てくるのがエルシブではと思います。彼が町人に声をかけていたのではないでしょうか」

「エルシブは食事会にいたというのか?」

「その可能性は高いかと」

「ハーリヤと貴族たちの強力な絆はそのせいか」

「そういえば先日の夜会での一件は、とっくに貴族たちに広まっているようです。「副町長は貧しい農民出」、「好色な身内がいて被害にあった女性が大勢いる」、「王のもとへ登城するのを拒否する無礼者」、「誇張、虚言癖がある」……噂はまだまだあります」

「もういい、予想通りだ」

 いらないとばかりにブルーが手を振る。

「逆にハーリヤのことはべた褒めです。「態度の悪い副町長にも怒らず、とても紳士的であった」とか、「ごろつきのような男たちを伴う副町長に常に笑顔であった」とか。「ごろつき」はロカとアルメのことでしょう」

 「ごろつきのような男」の話で、少し気が緩んだのか ブルーは わずかに笑った。

「護衛付きであったのがお気に召さなかったか。すまないな、アルメ、ロカ。わたしのせいで君たちまで貶められるとは」

 そして、はぁ、と小さく息を吐いた。

「もう一度整理しよう。あの夜会に参加するハーリヤの息のかかった貴族や金持ち、有力者たちは町人を買う客。そしてハーリヤは見返りに支援を得ている」

「それだけではなく、裏切り防止にも使えます。もしものときは人を買ったことを世間にバラすと脅せますから」

 ライの言葉にブルーは絶望したかのような表情になった。

「なんてことだ。それが真実ならば町は中枢からめちゃくちゃになる」

 確かに公僕であらねばならないハーリヤが罪に手を染め、上流階級者たちもその汁を吸っていたなんて暴けば、町の腐敗を世間に知らしめることになる。

 なにより町の人間が食い物にされていたとなれば、暴動だって起きかねない。そしてそこまで大事になれば王が出てくるだろう。

 一人一人はさほど力を持たなくとも、国の民が一丸となったとき、国を揺るがす大きなうねりとなることを国王は知っているのだ。

 前例として、暴動によりニアンの祖父であるパリト伯爵が倒れたあと、王は新たなパリト伯爵を立てた。ロスロイの町でもまったく新しい町長が立つことになるかもしれない。

 町長の意志を継ごうとしているブルーにとって、それはよくない流れだ。ライの調査結果いかんによっては、知恵を絞ることになるのだろう。

(ま、そこは俺の知ったことじゃないが)

 そんなことより、だ。ライの話を聞いて、ロカは今更ながら血の気が引く思いがした。

 もちろんニアンのことだ。

 ダフニスがニアンに目をつけながらあきらめたのは、ニアンがタングルの連れてきた町人と知ったからだ。おそらく上流階級者に知れ渡っていたぐらい、タングルはモヴェンタにとって大事な客人であったのだろう。

 そんな彼が、妻のカルミナとともに食事会に参加している。ならば裏で情人探しが行われているのを知らないのではと、ダフニスは予想したのだろう。

 それにもしかするとダフニスは、カルミナがロスロイの出身と知っていたのかもしれない。他の町から訪れたはずのタングルが、町の者を連れてきたならば、それは妻の同郷の友人だとわかるだろう。ニアンを一夜の情人としてもめ事でも起こせば、タングルの怒りを買い、ひいてはモヴェンタに不利益が被ると、ダフニスが考えても不思議はない。

 切り捨てられた今はともかく、あの男はモヴェンタに手懐けられ、並々ならぬ信頼をおいていたのだから。

 聞けばあの夜、最初こそタングルとカルミナは皆と一緒にいたが、しばらくすると知り合いへの挨拶回りでいなくなったそうだ。その後ヘリングはカーナにつきっきりで、ポロはロカの予想通り食い気に走っていた。

 だからニアンは途中から一人で食事会にいたのだ。

(ニアンの後ろにタングルがいると、周りが思っていたから無事だったんだ)

 そうでなければどうなっていたか。

 ダフニスと同じような輩の手が、いやもしかすると人さらいの魔の手が、ニアンに迫っていたかもしれない。

 考えただけでロカはゾッとするのものを感じた。

 ライの調査によれば、行方知れずになるのは金に困っている者や縁者がいない、もしくは遠く離れている者。

 縁者はいなくともロカやモンダ家族が側にいるニアンは、それに当てはまらないが、だからといって絶対に安心できるわけではない。

「食い物目当てにモヴェンタの食事会に参加して、帰ってきた後日に、行方不明となった者はいないのか?」

 気になったロカは前置きなくライに問うていた

「え?」

 唐突な質問の意図を図りかねるように、ライがロカを見上げた。他の者の視線も一身に集まる。

「金にも仕事にも興味がない奴は、つまり奴らの餌に食いつかないってことだ。相手がそこで諦めてくれればいいが、欲深な奴ってのは是が非でも欲しいものを手に入れようとする」

「つまり強引にってことか?しかしそれじゃあうまく攫えたとしても、失踪者が出たと騒ぎになる」

「かもな。でも病気や怪我で帰れないとか、旅に出たとか、ありえそうな話には、人は疑いを持たなくなる。悪いが調べてくれ。言っとくがライ、カーナなら目をつけられていてもおかしくはない」

 娘の名を聞いてライが目を剥いた横で、ヘリングから殺気が放たれた。

 ブルーの背後に控えるアルメが、ヘリングの様子が変わったことで、珍しく表情を変え、驚いているのが見て取れた。

 ライとヘリングの顔が怖くなったことがブルーは気になったようだ。

「カーナとは誰だ?」

「娘です」

 低く答えるライの声にブルーが納得したように、ああ、と漏らし、それからロカへ視線を向けた。

「君の恋人も可愛らしいお嬢さんだ。ダフニスのこともあったし、それは確かに心配だろう」

「……モヴェンタの口ぶりじゃ、ダフニスはいつも一晩相手をさせるだけのようだった。もし人身売買が行われていたとしても、知らないのかもしれない」

 心配だという本音を見せるのは避けて、ロカはダフニスのことに触れた。それを聞いてブルーも頷く。

「だろうな。わたしを貶めたかっただろうハーリヤからすれば、ダフニスは捨て駒だ。金も地位もない名ばかりの貴族じゃ見返りは期待できない。派手に遊んでいるという事実だけでよかっただろう」

「ダフニス?誰です?」

 今度はライが質問をするとブルーは、妻の従弟だと言った。

「愚かな男だから、妻の幼馴染みとして通しているが」

 溜息を吐きながらブルーは疲れたように目頭を押さえた。

「モヴェンタの後ろにハーリヤがいたことにも気づかず尻尾を振って、わたしの情報を流していた。まぁ、親密でもないから、ハーリヤもたいした情報を引き出せなかったろうが。だからかダフニスは先日の夜会で彼に切り捨てられたようだ。ダフニスは妻に横恋慕して、彼女にそっくりな娘とともに、二人を自分のものにしよう企んでいる」

「あなたと奥様を別れさせようとしているのですか?」

「それならまだかわいいさ。妻と娘を狙う賊が出た」

 え、という顔をしたライとヘリングにブルーは疲れた笑みを浮かべた。

「これがロカを欲した理由だ。以前、わたしを狙うだけでなく、家族にまで被害が及んだらと、大都長に話したことがあってね。その大都長の推薦があって、そしてあの人の最も信頼する護衛官のお墨付きのあるロカなら、家族を任せられると思った。会ってみてそれは確信に変わったよ。最初ロカには断られたが、妻と子どもたちに会ってくれと半ば無理やり家に呼んで、そのときにまた賊が現れた。妻たちを助けてくれたロカは現状を知り、断りづらくなって結局護衛の話を受けてくれたというわけだ」

 なるほどというようにライが頷いた。ブルーの呼び出しを無視し続けていたロカが、急に彼の家族の護衛となった理由はやはり気になっていたようだ。

「そのダフニスという男を、捕らえることはできないのですか?」

「賊を送り込んだのがダフニスだという確証がない。やつらはプロだな。全く口を割らなかった」

「「かった」?」

「自殺に見せかけて殺された。それも獄中で。牢に忍び込むのは難しい。つまり警備人の中に息のかかった者がいるのだろう。その者が手を下したのか、刺客を送り込む手助けをしたのかはわからないがな」

「とすれば、ダフニスという男はずいぶんと用心深いのでは?そんな男がモヴェンタの背後にいるハーリヤに気がつかなかったというのは……」

「ああ、言葉が足りなかった。わたしは賊を始末させたのはハーリヤで、賊はもともと彼の息のかかった者たちじゃないかと思っている。それをモヴェンタがダフニスに紹介したのだ。さっきも言ったが、力のない貴族の末端にいるダフニスに、一流どころを知る術も、使える伝手もないはずだから」

 ロカが知るダフニスは激情型で堪え性がない男のように見えた。もし捕まった賊が口を割ることを恐れて殺したとしても、自殺なんで偽装はしないだろう。

 つまり用心したはずのハーリヤは、逆に自分の影をより鮮明に浮かび上がらせることとなってしまったのだ。

 何やら考え込んでいたはずのライが顔を上げた。

「この件は引き続き調べます。もしおわかりなら、夜会に参加していた貴族たちの名前を教えてもらえませんか。特に気になる人物がいたりなど……」

「町長の前秘書が夜会にいたとアルメが。彼は人の顔を記憶するのが得意だ。わたしが夜会に現れたことで動揺した者たちの顔をすべて覚えている」

 ライの目がブルーの背後にあるアルメに移った。そらされることなく見つめ返される瞳から、驚異の記憶力は嘘ではないと理解したらしい。

「では彼をお貸し願えますか」

「俺は副町長の側を離れるつもりはない」

 ブルーが答えるより早くアルメが抑揚のない声で言った。ライは再びアルメに眼差しを向けた。

「それは仕事だからか?」

「俺自身が護りたいと思う人物だからだ。副町長はこの町に必要だ」

「尊敬している、ということか」

 ふむ、とライは腕を組んで思案顔を作った。そしてうんと呟き。

「なら余計に俺たちに手を貸してくれ」

「は?」

「事件を早く片付けたほうが副町長の周りが平和になる。副町長を危険から遠ざけたいのなら、側にいて護るだけではなく、己の力を尽くすべきだ。そう思わないか?」

 アルメは迷うように黙ってしまった。ブルーが背もたれに背を押しつけ、首だけを背後へ捻った。

「アルメがわたしを護りたいと思うように、わたしは町の人たちを護りたい。ライたちに協力してくれないか?」

「ほら、副町長もこう言ってる。……そうだ!そんなに心配ならヘリングをアルメの代わりに置いておく」

「え!?」

 ライの台詞に隣に座っていたヘリングが驚きの声を発した。

「いや、だっておまえ、このガタイだろう?情報収集するのには目立つし、な?」

 明るく笑ったライがヘリングの肩をポンポンと叩いた。

「それを言うならライも同じだ」

「同じじゃない。おまえはロスロイ庁に出入りしてたぶん相手に顔を知られてる」

「だったらアルメも副町長の護衛をしてるのだから顔は知られてるだろう」

「そこは変装すれば問題ない。だがおまえは変装しても、そのガチムチは隠せないだろ。それに俺は町の雑貨屋の店主だ。あらたな客の開拓に貴族や有力者に売り込みをかけてもおかしくないだろ?で、アルメは店の従業員だ」

 できもしないウィンクをしたライは、変顔で、ぐ、と親指を立てている。長年の付き合いから、こうなっては何を言っても無駄、とヘリングはあきらめたような溜め息を吐いた。

 代わりにアルメがライへ言った。

「町の雑貨店の店主に屋敷の主が自ら会うはずがない。顔の確認はできないだろう。不在の場合だってある」

「肖像画ぐらいあるんじゃないか?金持ちなんだし。家の中に上がり込めればこっちのもんだ。ま、任せておけ」

 アルメにまで無様なウィンクを披露したライだ。それを直視したブルーが、ふ、と笑う。

「話は決まったな。アルメ、今からライと行動を共にするといい。ヘリング、しばらくの間、よろしく頼むよ」

 こうして話はまとまった。




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