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吾輩、平和的解決を所望す

吾輩は魔王である。竜種すら平伏す魔王である。


「これで全員進化が済んだか」


時刻は正午程か。

予定通り、ホブゴブリン共の配置を変えレベル上げを始めた吾輩達。

吾輩達に恐れをなし、夜の内に移動したのであろう。昨日とは異なり糧となる魔物共の数がかなり少なく、思っていたより時間を食ってしまった。が、これで漸く竜種狩りに赴ける。

配下共も中位竜種が相手であっても自衛程度は出来るであろう。


「腹拵えが済んだら少し山頂に近付く。竜種との遭遇が増えるであろう故、気を引き締めろよ」

「ごぶぁ!」「がびゃん」「おーがっがっがおー」「・・・カシコマリマシタ」「あ〜おゴォ!」「オガァ!??」「オガァ」「オーガァ?」「ガァ!・・・え?」「ちがうが〜」「がーがっがっがっ!」「ぱっちょんぶりけ」「ごがごが」「ンゴゴゴゴ!!」「おー」「がー」


なんか喋ってるオーガいないか?






「・・・流石にこれほど近付けば中位竜種も出てくるか」


ーーーーーーーーーーーーーーー

名前:

種族: ニブルギルム

Lv: 31

HP: 421/1432

MP: 133/1569

STR: 738

DEF: 799

INT: 1125

AGI: 421

ーーーーーーーーーーーーーーー


両足を切り落とし、片翼を引きちぎり、喉を潰した。これだけやれば十分であろう。


「一号、二号。まずは貴様等だけでやってみよ」


身体の欠損により移動は不可能だが、腕、尻尾、顎は無事である。気を抜けば一撃で瀕死に持って行かれよう。だがこの程度の相手に一撃もらうのであれば、この先に連れてゆくわけには行かぬ。






「・・・・【ミラージュ】」


二号が幻影魔法を繰り出す。

既にニブルギルムに向かい駆け出していた一号の体がブレ始め、直ぐに三匹に分裂する。


「ァァァァァァア・・・!」


潰された喉で、声とも呼べない咆哮を上げ腕を振り下ろす。ズドンッと生物が出したとは思えない轟音を響かせ、中央の一号を叩き潰す。だが巻き上がった土煙の中から三匹の一号が姿を現す。

【ミラージュ】に作り出された幻影は本体が無事であれば消える事はない。

ならばとニブルギルムが尻尾を使い、三匹纏めて薙ぎ払おうとする。


「・・・【ダブルチェイン・エレクトリカル】」


瞬間、一号を注視していたニブルギルムの顔面に二筋の雷光が迸る。


頑強な竜鱗に覆われている竜種にとって二号の魔法は大した脅威では無い。だが、いかに竜種とは言え眼球まで鱗に覆われているわけでは無いのだ。


「・・・ァァァア・・・!」


ニブルギルムの眼球が焼け爛れ、一号を見失う。そうなればいかに巨大な竜種の尻尾とは言え避けるのはそう難しくは無い。

一号が飛び上がる。

自らの足元を掠める尻尾を起点に一気に首を落とすつもりなのだろう。

それに気付いたニブルギルムは反射的にブレスを吐こうと魔力を込める。だが潰された喉では自らの体内を焼くことしかできない。


「ガァァアアブァァァア!!!」


ニブルギルムの焼け爛れた目が最後に見たのは、力なく崩れる自らの身体であった。






ふむ。流石の中位竜種もここまで削れば問題ないか。最初から体の再生を諦め、魔法による攻撃に切り替えておればまだもう少し苦戦したであろうが、それでも結果は変わらなかったであろう。ニブルギルムが一号を叩き潰した時は焦ったがまさか幻影だとは。二号め、いつの間に魔王すら欺く幻影魔法を覚えておったのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー

名前: 一号

種族: オーガ

Lv: 33

HP: 351

MP: 42

STR: 161

DEF: 139

INT: 21

AGI: 116

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

名前: 二号

種族: ウェンディゴ

Lv: 31

HP: 101

MP: 301/346

STR: 37

DEF: 41

INT: 372

AGI: 70

ーーーーーーーーーーーーーーー


素晴らしい。


二号は魔法特化な種族の関係上前衛がいなければ厳しいだろうが、一号は既に前に遭遇したレッサーワイバーン程度なら単騎で討伐可能だ。

相手のレベルによるであろうが、普通のワイバーンやブルーブラッドアイデクスも視野に入る。主人として喜ばしい事この上ない。



しかしそうか・・・。遂に抜かされてしまったか・・・。


「よくやった。一号、二号。貴様等の成長を吾輩は嬉しく思う。これからも期待しているぞ」

「ごぶ!!」

「・・・身ニ余ル光栄デス。主ヨ」


うむ。これで二匹に他のオーガ共も触発される事であろう。いずれは死んだ竜種の頭部で球蹴りなどと言う蛮行も身を潜めるはずだ。潜めてくれ。







《街に聖騎士が全員到着したらしい、まだティノール連峰に入るまで時間はあるだろうけどね》

「ふむ。問題ない。勇者は動かぬのであろう?」

《ああ、今の所は。ノーブル伯爵は勇者の派遣を要請してるみたいだけど、帝都の貴族が首を縦に振らないみたいだ。そんな辺境の地に派遣して、帝都に何かあったらどうするだーってね》

「ふん、本当に愚かであるな人間は。しかし、此度はその愚かさに助けられた。聖騎士は何人であるか?」

《六人だよ。うち一人はこっちの息がかかってるから、実質五人だね。デュランという名前の黒騎士は殺さないでくれ》

「あいわかった、デュランであるな。覚えておこう」


夜、身を休めながら大魔王ルシフェルとの情報交換を終える。まぁ、吾輩が彼に渡せる情報など何もないのだがな。吾輩達が今日、四匹の竜種を討伐した、などと言う情報は必要ないだろう。フハハハハ。


しかし最後の上位竜種には驚いた。中位竜種とオーガ共の戦いを見ている所を奇襲されたせいでオーガが二匹軽い火傷を負った。慌てて殴りかかった為、力加減を間違え竜種ごと地形を吹き飛ばしてしまった。反省、反省であるな。


しかしそれ以外に傷を負ったものはいない。火傷にしても吾輩の回復魔法で直ぐに直せる程度であった。

今日の竜狩りは大成功と言って良いであろう。

一号も二号もレベル四十を超え、他のオーガ共も三十近い個体がちらほらいる。

このペースであれば五日も有れば次の進化に至れよう。全配下が進化すれば人間か竜種か、どちらかに攻め込んでも良いかもしれんな。

五匹1組で行動させるので有れば、聖騎士やグラムは厳しかろうがその他の人間や中位竜種程度で有れば問題なかろうし、問題たりえる聖騎士やグラム相手でも吾輩が行くまで壊滅する事は無かろう。


クックック。漸く吾輩に風が吹いてきた様であるな。明日はもう少し山頂に近付いてみるか。今日の調子で有れば古代竜《エンシェント・ドラゴン》が出てこないのでれば、上位竜種も配下共の糧に出来そうであったしな。


吾輩も偶には寝るか。既にこのティノール連峰に吾輩達に襲いかかる魔物もおるまい。明日に備えると言うやつである。



吾輩達の戦いはこれからである!






「主ヨ!主ヨ!!」


・・・うーーむ、何であるか二号よ。魔王の眠りを妨げるなど万死に値するぞ・・・?


「オ目覚メ下サイ!主ヨ!」

「・・・んー。騒がしいぞ、二号よ。あと五分眠らせよ」

「敵襲デス!ドウカ!」

「・・・敵襲?そんな怖いもの知らずなんぞ竜種くんげぇぇ!?」


吾輩達を囲む竜、竜、竜。数は恐らく百前後。しかもその大半が上位竜種である。オーガ共は武器を手にこそすれ完全に怯え切っておる。仕方あるまい、中位竜種すら複数匹で掛からねばならぬ相手、その上となればオーガと言えど無力。それに・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーー

名前: ニブルヘイム

種族: コキュートス

Lv: 3

HP: 7912

MP: 4711

STR: 2988

DEF: 3825

INT: 3078

AGI: 2664

ーーーーーーーーーーーーーーー


・・・・・ふむ。


「では、ドラキエルよ。平和的に話し合おうか」



吾輩、大ピンチである。





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