俺に任せろ
前回「着信音あり」で、「俺が出る」を選んだ方はこちらの話へどうぞ。
それ以外の選択肢を選んだ方は、前回「着信音あり」の後書きにて指定されたタイトルの話に戻ってください。
では、どうぞ。
ピリリリリリリリ……
けたたましくなる着信音にハッと我にかえり、二人に声をかける。
「は、早くでないと」
しかし、二人の瞳には怯えの色か浮かんでいた。
水澄が舌打ちと共に、花平さんのスマホを取り上げる。
慌てて俺も上坂さんのスマホを手に取り、電話に出る。
「もしもし」
電話の向こうはザワザワとしていた。
しかし、二人のいっていたざわめきとは違う気がする。
なんて言うか……人の気配がする。
衣擦れ、足音、人のざわめき。
その向こうで、聞き覚えのあるようなアナウンスが聞こえる。
「……線に電車が参ります。白線の内側まで下がってお待ちください」
駅のホームだ。
でも、かけてきた人の声が聞こえるわけではない。
環境音が聞こえるだけ。
二人が受けた電話と違うなぁ、なんて思っていたら、急にさけび声が聞こえた。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
「おい!女の子が落ちたぞ!」
「で、電車を止めろーーーー」
「駅員さーん」
その後直ぐに、電車の近づいてくる音と、“ファン”と汽笛?の音がする。
そして、一瞬の間があって、バンとなにかがぶつかった衝撃の音がした。
それに被せるようにして、女の人の声が聞こえた。
「ふふっ。右足もーらいっ」
その一言を残して通話は途切れた。
俺は耳から外したスマホを見つめる。
上坂さんが恐る恐る俺に話しかける。
「……どうだった?」
「誰かが、電車に、ひかれた……」
「は?ちょっとそれってどういう……」
どう説明すれば?と水澄に助けを求めようとしたときだった。
また電話がかかってきた。
ビクン、と肩がはねあがる。
着信を告げたのは、上坂さんのスマホだった。
画面上には、「ふぅちゃん」て表示されている。
上坂さんが俺からスマホを奪い取るようにして、電話をとる。
「もしもし?」
話しながら、だんだんと顔色が悪くなっていく。
「はい、はい。え?いえ……はい…はい。わかりました。失礼します」
「ふぅちゃんなんて?」
「…んだって」
「なに?」
「死んじゃったって……今朝…電車に退かれて。バラバラだって。警察が」
「「えっ」」
それってもしかして、さっきの……
しん、と静まり返った空気を切り裂くように、また着信音が鳴り響いた。
そのまま次の話へどうぞ。




