ダブルブッキング
水澄がしっかりとした作りの引戸を引くと、がらがらと音を立てて扉が開く。
中は薄暗くて、早速懐中電灯で中を照らしてみる。
「……暗い。怖い。行きたくない」
「駄々をこねんな」
ワーギャーと言い争いをしていると、
「ちょっと!!退いてください!邪魔です!!」
「ふぇっ?」
急にうしろから怒られた。
振り返れば、巫女さんみたいな格好の女の人とボブカットでつり目の大学生ぐらいの女の人、それにハンディカメラを持った厳ついお兄さんがいた。
「だ、だれ?」
「私たち、中に入りたいんですけど!退いてください!!」
「心優ちゃん。初対面の方に失礼よ?」
「はい、先生。失礼しました」
心優と呼ばれたツンツン大学生がポワポワした先生に窘められた。
先生には、謝ってるけど俺たちのことはガン無視である。
「えっと~、言うの忘れてた!」
パタパタと走って近寄ってきた香水さんが説明をしてくれた。
「実は~仲介屋から紹介のチームと~依頼者が直接手配したチームとダブルブッキングしちゃったみたいで~」
「はぁ?うちの先生の力が信じられないってこと?だから、ほかにも依頼だしてたってこと?ありえない!!先生、帰りましょう!!」
「まぁまぁ。お話は最後まで聞くものですよ?それに、一回受けた依頼を投げ出すのもどうなのでしょうか?」
「金がちゃんと払われるなら、俺は何チームいてもいいけどな」
俺はどうせ行くなら、人数が多い方がいいです!!
「ってか、なんで先に言わないんだよ」
「え~、まさかここで鉢合わせするとか思わなくて……中で鉢合わせしてくれた方がよかったのに(ポソッ)」
「自分がめんどいからって、丸投げやめろよ」
「責任のがれはんたーい!」
「とにかく!!代金は約束通りと依頼者からは言われているので安心して行ってください」
「わかりました。では、まず自己紹介をしなければいけませんね?私は照島 スズと言います。この子は」
「私は先生の一番弟子の小鳥遊 心優。一番弟子っていってもただの一番弟子じゃありませんから。先生のお近くでお手伝いをしている「一番」ですから」
照島さんが好きだという熱量を感じられる自己紹介をする小鳥遊さんにちょっとひき気味な俺をよそに話しは進んでいく。
「そしてこちらは、カメラマンとして同行をお願いしました、花田 孝雄さんです」
「……」
花田さんはペコリとお辞儀をした。
「そっちは?」
「え、はい。えーっと……水澄と伊織です」
「それだけ?」
え、そっちの自己紹介の時、他に言ったっけ?




