奏さんでお願いします
前回「だぁれが みつかった? #2」で、「奏さん」を選んだ方はこちらの話へどうぞ。
それ以外の選択肢を選んだ方は、「奏さんでお願いします」を飛ばして前回「だぁれが みつかった? #2」の後書きにて指定されたタイトルの話に進んでください。
では、どうぞ。
「誰がいい?」
「マジで?二手にわかれなきゃだめ?どうしても?」
返事はないが、水澄が早く決めろオーラを全開にしてくる。
「じゃ、じゃあ、奏さんで!」
宣言と共にそばにいた奏さんの腕に抱きつく。
よくよく考えたら、あっくんを見つける確率は、二手にわかれれば二分の一。
それに、なにかあっても同じフロアに水澄がいるのだから、なんとかなるだろう。
しかし、年下二人でチームを組むのは、やはりリスクが高いような気がする。
危ない橋は渡らない方がいい。
だったら水澄といた方のが一番安心なような気がするのだが、日頃からのお付き合いで、ちょっとご遠慮したいのだ。
「じゃぁ、こっちを探そう」
颯爽とエスコートを決める奏さんに連れられて、隣の教室へ進む。
「おー。じゃぁ、何かあったら呼べよ。俺らは階段より向こうの教室をさがすから」
のんきに手をヒラヒラさせた水澄とちょっと不安そうに眉を下げる真宙くんに少しばかり申し訳なく思いながらながら、二手にわかれた。
早速、二人で隣の教室である、第二音楽室に入ることにした。
奏さんは、特に警戒した様子もなく、勢いよく扉を開ける。
音楽室なのだから、ピアノがあるだけなのかと思ったが、どうやら座学をする部屋のようで、教室と同じように机と椅子があって、お馴染みの音楽家たちの肖像画が飾られていた。
黒板も音楽室らしく、半分は五線譜が書かれていた。
厚手のカーテンがひかれていて、薄暗い教室の中の様子にびびった俺は、ぎゅっと奏さんの服の裾を掴んだ。
「誰かいるー?」
緊張感の全くない、むしろちょっと楽しそうに呼び掛ける奏さん。
「おーい……」
「うん。いないね。次に行こう」
「え?早くないですか?」
「え?さっき水澄も言ってたでしょう?さっさと進んだ方がいいって。それにもたもたして何かに巻き込まれないうちにさっさと合流した方がいいでしょ?」
た、確かに。
余韻もなにもなく、第2音楽室の扉は閉められた。
お次の教室は第1音楽室。
こちらは歌を歌う部屋のようで、広々とした室内には、ピアノがデデンとおかれているだけだった。
「誰かいますか?」
扉を開けて早速声を掛けると、カタンと小さな音がした。
「え?誰かいる?」
俺と奏さんは、顔を見合わせて教室内に足を踏み入れた。
「今、こっちの方から音がしたよね?」
音がした先には、楽器がしまってあるのだろう、作り付けの木製のロッカーがあった。
「この中?」
確かに子どもなら隠れられそうだ。
取っ手に手を掛け、スライドさせる。
しかし、そこには太鼓が詰め込まれているだけでだれもいない。
「こっちは、木琴と鉄琴がしまってあるね」
「ハズレですね」
ちょっとがっかりしつつ、扉を閉めようてして、太鼓と太鼓の隙間に何かが挟まっているのに気がついた。
「ん?何かここに……」
それを摘まんで勢いよく引っ張る。
何かが足元にカシャンと落ちる音がした。
足元には、赤く染まったカッターナイフがあった。
「は?」
「伊織くん、それ……」
奏さんが俺の手元を指差していて、それに釣られて視線を動かす。
「うわっっっ!!」
俺が持っていたのは、少し薄汚れたぬいぐるみだった。
俺は慌ててそれを放り投げる。
「か、奏さん!」
慌てて奏さんに駆け寄ろうとするが、すでに奏さんは扉の前まで移動していた。
それに……
なんか、お経が聞こえる……
「なにしてんすか!!」
「怖いからようつべでお経を流してる」
音の発信源は、奏さんのスマホだった。
現代っぽいし、効果があるのか謎だし、罰当たりっぽいんだけど!!
奏さんの謎行動にポカンとしていると、奏さんが慌てた様子で俺を呼んだ。
「伊織くん!!」
そうだった。逃げないと。
そう思ったのに、足が動かない。
なぜ?と視線を下げれば、俺の足にがっしりとぬいぐるみが抱きついていた。
「なんで!!」
どうにか振りほどこうと、足をブンブン振り回そうとして、俺は足を滑らせてひっくり返った。
そしてそのままロッカーの角に頭をぶつけて、目の前が真っ暗になった。
BAD END 「不慮の事故」
残念。
一つ前の選択肢に戻ってください。




