もーいーかーい?
「次は人形に名前をつける」
「なんでもいいの?じゃぁ、熊谷」
「結構渋い名前つけんのな」
「で、どうすんの?」
「次は……『△△が鬼』と三回唱えて、みんなで隠れる」
「じゃあ、いくぞ?」
「ちょっと待って!隠れる範囲は?」
「は?あっ、そうか……すぐ教室に戻ってこれるようにこの教室と左右の教室までってのでどう?」
ここは二組なので、一組と三組までってことね。
「隠れたら『もういいよ』って言うんだぞ」
「「「「オッケー」」」」
「じゃあ、いっせーのーせっ」
「「「「「熊谷が鬼、熊谷が鬼、熊谷が鬼」」」」」
「隠れるぞっ」
全員が一目散に散らばる。
僕も早く隠れなくっちゃ。
見回してもこの部屋は隠れる所がもうなさそうだ。
急いで一組に移動をして、掃除用ロッカーの中にしようかと思ったが、中身が既に出されているのを見て、誰かが中にいることに気づく。
次に教卓の下をみると誰もいなかったので、そこに隠れることにする。
「もーいーよー!」
誰かの掛け声が聞こえてきたので、僕も慌てて声を張り上げた。
「もーいーよー!!」
人形が動いて見つけに来るわけでもないのに、結構ドキドキするもんだな。
ドキドキ。ドキドキ。
♪~~
がたん!
急に流れた曲にびっくりして、教卓が揺れた。
「びびった~」
これ、下校の曲じゃん。
「やべーぞ!門を閉められる!!」
あっちゃんの慌てた声で教卓から出る。
同じタイミングでロッカーの中からみつがでてきた。
「教室戻ろう!」
慌てて教室に戻るとみんな戻ってきていて、ランドセルを背負っていた。
「急げ!」
急かされてランドセルを背負っていると、廊下の遠くの方から先生の声がする。
「おーーい!誰かまだ残ってんのかー?戸締まりするぞーー」
「「「はーい」」」
先生の声にびびって、急いで昇降口に走った。
そのときに、教卓の上に並べたかくれんぼ用品のことなんて、僕はすっかり忘れていた。
※『ひとりかくれんぼ』の用意するもの、やり方から少しずつ省いて書いています。




