表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世の理  作者: 日暮レイン
15/22

第十五話

「っ!?…誰かやったな」


顔面に父親からの拳が飛んでくる直前、ネビロスが見えていた記憶が消え、あたりは真っ暗になった。弱々しい笑みを浮かべるネビロスはホッとしたような声を上げた。しかし、此処からが問題だった。


――映像が消えたのは良い。だが、外部から干渉できるのは此処までだ。此処からは……。


黒い空間に足をつけるネビロス。目の前にいきなり現れたのは彼の幼き日の姿。後ろに出てきたのは大嫌いな父親。


――俺がこの空間から自力で出れば俺の心は成長する。『魔王』から外れた方向に、な。そうすれば世の理から大きく外れる。完全に『魔王の結末』を変えてしまう可能性が大きくなる。修正されるんだ。光の速度を超えられないように空間を歪めるように、変わりつつある俺の存在意義を変える為にな。


「なんで、子供を助けるの?」


子供のネビロスが静かに問う。


「家族がいないってのは寂しいからな」

「魔王に同情などという感情はいらん」


後ろから聞きたくもない声が飛ぶ。


「なんでだ?俺は『魔王』という前に『ネビロス』という個体だ。俺がどんな感情を持とうとお前には関係ないだろ」

「キマイラにいわれた言葉だろう」

「そうだな。あいつは良い奴だ」


表には出さなかったが、ネビロスは感激していた。正直『魔王』のイメージからかけ離れている自分を理解してくれる者は早々居ない。


「…仲間なの?」


高い声が飛ぶ。悲しげで感情の無い目がネビロスの姿を映す。


「あぁ」

「仲間は居ちゃいけないんだよ…?」

「いつか必ず死ぬ運命だからか」


ニヤリと目の前の幼子が笑う。


「そうだよ。仲間想いならなんで仲間を作るの?苦しむだけだよ?皆が苦しむだけだよ?魔王は一人で生きていかなきゃいけない完璧な存在なんだよ?孤独を愛する存在なんだよ?他の者など屑なんだよ?魔王は、魔王は一人で死ななきゃいけない運命なんだ!!!!」

「巨大な力を持つが故に誰にも愛されず、恐怖され、畏怖され、離れられる。世界を自分の物にすればその虚無から救われるんだ!!!」


頭に直接響く悪魔の囁き。幼い頃に教育されて一度根付いたしまったネビロスはその言葉に流されそうになるが何とか耐える。


「ハッ…。矛盾している…。虚無から救われるならば何故一人で死ななきゃいけないんだよ」

「「それが世の理だから」」


――またそれだ。俺は、一人は嫌だ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ