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司のおかげで慣れてはいたけれど、正直身に覚えがないことでどう言われても、返事のしようがない。正直に言えばなおさら火に油を注ぐようで面倒なことこの上ない。屋上で女の子達に囲まれながらそんなことをのんきに考えているようでは、余程パニクっているかかわいげがないくらい腹が据わっているかなんだろう。
言いたいことは、不破と仲良くしてもらってるからって、大きい顔をするな、勘違いして不破と一緒にいるな。ついでに司の彼女の友達も。幼馴染みだからって仲良くし過ぎ、くっつきすぎ。でも彼女は何も言わない。
あからさまにため息をついてしまった。しまった、と思ってももう遅い。尖った空気と目が向けられている。
「わたしの友達のことだから、そう言われてもどうしようもない。わたしはあなた達と今初めて話してるけど、司も不破も、一応友達なの。知らない人より、友達を取るよ。本人がそう言ってきたんならまた対応も違うけど、あなた達の言い分を呑む義理はない。ついでに司の彼女。わたしが気づかないうちにあなたにいやな思いさせてたなら、それは謝る。わたしが無神経だった部分もあるだろうから。でも、何であなた、自分の口で言わないの?何で、他の人に便乗するの?」
「だぁからお前は……そう煽るなって言ってるでしょ。多勢に無勢。女の子も集団になれば怖いんだって」
不意に気の抜けるような声が割って入った。声とは裏腹に、しっかり怒った顔の司と、どういうわけか不破まで一緒にいる。
「司……何で」
「教えに走ってきたんだよ、お前のうるさい友達が。で、偶然聞こえる場所にいた不破くんが血相変えて走ってくるのを追いかけてみました」
「お前……自分のこと棚に上げて」
不破が司を睨んでいるけれど、確かに少し顔色が悪いかもしれない。
「ごめん、心配かけた。でも、慣れてるから」
「そうそう、雪音は強いよ。表面はね」
あっさりと頷きながら司は歩いてきて、既にすっかりたじろいで浮き足立っている女の子達とわたしの間に立った。めんどくさそうに、不破も立つ。ただ、振り返って軽く片手を上げ、すまなそうな顔になった。
司の目はまっすぐに、自分の彼女に向けられている。
「不満だか不安があったのに気づかなかったオレも悪いけど、こうやって雪音を囲むあんたより、受けて立つ雪音の方がオレには合うみたいだ。雪音は幼馴染みで親友だって、何度言っても信じなかったんだ」
「ちょ、司……それはなんでも話が飛躍……」
「してないだろ。オレは雪音が大事なの。ったく、無茶しいなんだからなぁ……」
「まあ、同感だなぁ。オレ、名前も覚えらんないあんた達が雪音さんにいやな思いさせてるの、かなり腹立つんだけど」
「ちょっと、不破……」
口を差し挟む余地もない。
非常に不本意ながら、二人の背中にしっかりと庇われている。これじゃあ逆効果、と思ってもどうしようもない。二人が出てこなきゃいけないような状況になったのは、わたしの不注意も不用意な発言もある。
ただ、女の子たちの方がよほど後ろ暗い部分があるから。司に引導を渡された彼女がこらえきれずに、結局最後まで何も言わずに踵を返して逃げるように走るのを、追いかけるように他の子たちも去ってしまった。




