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こつん、と窓に小石がぶつかる音で顔を上げる。顔出せよ、の合図。
カーテンを開けてベランダに出た。待っていたように顔の真ん前に缶のミルクティーが突き出される。
「雪音、不破と付き合ってんの?」
「冗談」
「だろうな」
苦笑いしながら司は頷く。それでも今日、クラスメートが紹介したい人がいると言っていたのを、断った。そういうのは面倒だから。でも、きっとそうは見えなかったんだろうとは反応で分かったけど。
「司は?」
「ん~? 変わらず」
「そ」
「なぁ、不破には弁当あるのに何でオレだけないわけ?粗食続きで非常に不満なんですがね、雪音さん」
そう言われてもなぁ、と、もらったものを飲みながら缶の向こうに司の作った不満顔を見る。どうやら本気で不満に思っているみたいだけれど。
「幼馴染みの食事係だって言って、彼女納得する?気分いい?そこまで考えなさいよ、司。わたしだってこれ以上、身に覚えすらないとばっちりは受けたくない」
「これ以上?」
司の声が尖った。途中で気づいたけど遅すぎた。こういう時だけは耳ざといのだ。部屋の中に戻ろうとするわたしの方に司が手をのばすけれど、届きそうで届かない。
「雪音、待てよ」
「……ごちそうさま、司。忘れたの?ここのベランダは、届きそうで届かないんだよ」
「バカヤロウ……飛び移るぞ」
少し怒ったような声は、聞こえないふりをした。




